タレントのタレントによるタレントのための確定申告~書類の準備と読み方~

元 国税局職員 さんきゅう倉田です。
いざ、税務署で確定申告をしようと思っても、何を準備すればいいのか分かりませんよね。そんなタレント(芸人含む)のために、最低限必要な書類をまとめました。これらの書類をそろえれば、概ね申告できるでしょう。
書類の準備
- 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書→1月頃に所属事務所がくれる(事務所によってはもらえない場合もあるので注意)
- 給与所得の源泉徴収票→12月頃にアルバイト先がくれる
- 公的年金等の源泉徴収票→1月中旬に自宅に届く
- 個人年金の支払調書→1月中旬に自宅に届く
- 国民健康保険の控除証明書→1月中旬に自宅に届くが自治体によっては発行されない場合もある。
- 国民年金の控除証明書→11月に自宅に届く
- 生命保険の控除証明書→11月に自宅に届く
- 地震保険の控除証明書→11月に自宅に届く
持ち物は「確定申告書A」又は「確定申告書B」とこの8つと印鑑です。
人によって必要書類は異なります。例えば保険料を払っていない方には、保険料の控除証明は当然届きませんから、それらの書類はもちろん必要ありません。
ちなみに、確定申告書では、所得の種類を10個に分けています。1については事業所得か雑所得(公的年金等以外)、2については給与所得の欄に記入します。3については、雑所得(公的年金等)の欄に記入します。
もし、アルバイトをしていない場合は1だけですし、給料制のタレントの方は2だけかもしれません。年金をもらっている場合には、3又は4も必要になります。
もし闇営業に行って1をもらっていれば、事務所からもらった分と必ず合算してください。1をもらえない場合でももらった金額は合算してください。 それによって、事務所に闇営業が直接的にバレることはありません。バレるときは他の理由の場合が多いです。これはケースバイケースになります。
5,6,7,8は、11月~1月ごろには自宅に届いているのですが、紛失してしまったときは各発行団体に電話をすれば再発行してくれます。「再発行は面倒だからいいや」って思った方。納税額が少なくなりますので、用意してください。少し頑張れば、それがお金に変わるのです。是が非でもお願いします。また再発行には時間がかかる場合がありますので、申告期限ギリギリに再発行依頼するのは出来るだけ避けましょう。
参考までにですが、国民健康保険料については、控除証明書は確定申告にあたって必要ありません。支払った金額を納付書や通帳から集計すれば大丈夫です。
書類の読み方
報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
こんな紙です。

ざっくり解説すると、こうです。

「区分」と「細目」
あなたの住所と名前があって、その下に「区分」と「細目」があります。「区分」と「細目」は、確定申告を行う上で、どこかに書いたり、把握する必要がありません。見慣れない言葉が書いてあって、混乱の元となります。無視しましょう。少しでも簡単に確定申告を行っていただくことが、この記事の理念の一つでもあります。
「支払金額」と「源泉徴収税額」
「区分」と「細目」の右側には、「支払金額」と「源泉徴収税額」がありますね。この二つが重要です。この紙の中で、最も大事。この二つを確定申告書に書き写すのですが、誤ると納税額や還付金額が変わってしまいます。
「支払金額」は、あなたをベースに考えると『1年間にもらったお金』です。誰がくれたかというと、その下に書いてある「支払者」です。
1年間にお金をくれた人(あるいは会社)が1ヶ所なら、「支払金額」はそのままあなたの『年収』になります。
1年間にお金をくれた人が複数箇所あるなら、それぞれの「支払金額」を合算したものが『年収』になります。
「源泉徴収税額」は「支払金額」から天引きされた所得税のことです。概ね支払金額の10.21%ですが、算出方法はケースバイケースなので割愛します。
確定申告の結果、所得がゼロであれば、この「源泉徴収税額」が全て還付になります。所得がゼロでなくても、源泉徴収された金額(先ほどの天引きされた所得税)に対応する所得より概ねあなたの所得が低ければ還付、反対に所得が高ければ納税になります。どちらになるかは、確定申告書を書き進めると、分かります。
「支払金額」と「源泉徴収税額」の下にカッコ書きの数字がある場合
これは、この支払調書を「支払者」が発行した時点で未払いの金額です。あなたからすると、『去年の12月までに仕事をして12月中にはもらってもいいお金なのにもらってないお金』。THE未払い、です。未払いの金額は確定申告書を書くときには影響しません。つまり、カッコ書きの部分は無視して、確定申告書を書きます。
「支払者」
「支払者」はお金をくれた人(あるいは会社)です。芸人さんだと「(株)よしもとクリエイティブ・エージェンシー」とか書いてあるのではないでしょうか。
とくに、気にする必要ありません。
源泉徴収票
こんな紙です。

ざっくり解説すると、こうです。


ちなみに、平成28年分からマイナンバーの記載が新しくなってサイズが倍になりました。大きくなった源泉徴収票をこれからもよろしくお願いします。
主なもの
あなたの住所と名前があって、その下にa「支払金額」b「給与所得控除後の金額」c「所得控除の額の合計額」d「源泉徴収税額」と似たような言葉が並んで、あなたを惑わしてきます。
a「支払金額」とd「源泉徴収税額」は前述した支払調書と一緒です。この紙の中で、最も大事。この二つを確定申告書に書き写すのですが、誤ると納税額や還付金額が変わってしまうものです。
b「給与所得控除後の金額」は、aから『給与所得控除』を引いたものです。計算式があるので、aが決まると、bは自動的に決まります。年間にお金をくれた人(あるいは会社)が1ヶ所なら、bはそのままあなたの『所得』になります。
※『給与所得控除』は、経費が認められない会社員やアルバイトのために国が認めてくれた経費に相当するもの、です。計算式が国税庁のHPに載っていますので、気になった方はそちらを。
c「所得控除の額の合計額」は、さらにbから引くものです。所得が低ければ低いほど、税金は少なくなります。つまり、cがたくさんあれば、税金は低くなります。cにどんなものがあるかは、確定申告書を見れば分かりますが、準備していただいた3,4,5,6や基礎控除38万円、扶養控除38万円×人数、配偶者控除38万円などがあります。それらを、お金をくれた人(あるいは会社)が年末調整によって把握していれば全てcに反映されていますし、反映されていなくても、確定申告書に書いて証明書を提出すれば、税金が低くなります。
主なもの以外のもの
源泉徴収票の説明はほぼ終わりです。以下のものは、重要度がちょっぴり下がるので、ここでは簡単に説明します。
「控除対象配偶者の有無等」
配偶者控除の対象になる妻か夫がいる。世間で言うところの「年収103万円以下の妻か夫」がいるという意味です。
「配偶者特別控除の額」
配偶者特別控除は、配偶者控除より控除の金額が少ないです。「年収103万円以上141万円未満の妻か夫がいる」ときに適用されることがあります。
「控除対象扶養親族の数」
扶養控除の対象になる人が家族にいる場合です。16歳未満の子供は扶養控除の対象になりません。「特定」は19歳以上23歳未満、「老人」は70歳以上で適用されて、扶養控除が増えます。
「非居住者である親族の数」
留学などで、海外に家族がいる場合です。非居住者を扶養にするならば、特別な書類の提出をする必要があります。
「社会保険料等の金額」
年金や保険に支払った金額。
「生命保険料の控除額」
生命保険や介護保険。
「地震保険料の控除額」
地震保険。
「住宅借入金等特別控除の額」
いわゆる、住宅ローン減税。
といったところでしょうか。源泉徴収票の用語の意味が分かると、勤務先が処理を誤っていた場合に、事実と異なる部分をあなた自身で見つけることができます。この機会に、ぜひ。知識は、きっとあなたの役に立ちます。
年金の控除証明書〜地震保険の控除証明書
証明額を確定申告書に書きます。
発行先によって様式が異なりますが、ハガキをよく読むと、どの数字を確定申告書に書き写せばいいのか書いてあります。注意点としては、3,4は1年間に支払った金額を概ね控除できますが、7,8は控除限度額が決まっているので「支払額」ではなく「証明額」を確定申告書に書きます。
書類の準備ができ、読み方が分かれば、確定申告もスムーズになります。確定申告は、管轄の税務署で行ってください。管轄の税務署は、「税務署 ●●区」で検索すると出てきます。
おわりに
今年の確定申告期間は、2月16日(木)〜3月15日(水)。税務署の開庁時間は、午前8時半〜午後5時。土日はお休みです。平日は仕事で行けないよ、って方、一部の税務署であれば2月19日と26日は日曜なら、特別に空いてます。
e-taxを使用すれば、今回説明した書類の数字をe-taxのガイドに従って転記するだけで確定申告書を簡単に作成することができます。e-taxは国税庁のホームページより誰でも無料で利用できます。電子申告が難しいと感じられる方は、e-taxで紙の申告書を作成して所轄税務署に提出するのもよいでしょう。
合言葉は、「お早めに」。
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