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夫単独名義の住宅ローンを夫婦で返済。これって「贈与」になるの?税理士が解説

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夫単独名義の住宅ローンを夫婦で返済。これって「贈与」になるの?税理士が解説
Taka / PIXTA

首都圏での住宅価格の高騰が続く中、夫婦それぞれが資金を負担してマイホームを購入するケースは、もはや一般的といえる。

夫婦共働きであれば、ペアローンを組み、負担割合に応じた名義にするケースも多いだろう。

一方で、共働きであっても働き方は多様だ。妻が個人事業主などでローン審査に通りにくいといった理由から、会社員の夫が単独で名義人となり、実際のローン返済は夫婦それぞれが一定額を負担しているケースもある。

その際、妻が支払う返済分は、夫への「贈与」とみなされるのだろうか。鈴木洋輔税理士に聞いた。

●「夫の債務を妻が肩代わりしている」とみなされ、贈与税の対象になる可能性も

ーー夫名義のマイホーム(ローン返済も夫単独)で、妻が一定額を負担している場合、夫への贈与の対象となるのでしょうか。

不動産の名義および住宅ローンの債務者が夫単独である場合、法的な返済義務を負うのは夫のみです。

この状態で妻が住宅ローンの返済を負担すると、税務上は「夫の債務を妻が肩代わりしている」と判断され、妻から夫への贈与に該当する可能性があります(相続税法第8条)。

ただし、贈与税には年間110万円の基礎控除があります。たとえば妻が年間120万円(月10万円)を負担する場合、基礎控除額を差し引いた10万円が贈与税の課税対象となります。

●妻の負担分は「生活費・教育費の分担」に当てれば贈与税の対象外に

ーー妻が贈与とみなされる返済額を払っている場合、贈与税がかからないようにするために、どのような方法が考えられるでしょうか。

現実的な対応は、妻の負担分を「住宅ローン返済」としてではなく、「生活費や教育費の分担」として整理する方法が挙げられます。

夫婦が食費・光熱費・教育費などを分担することは自然な行為であり、税務上も「通常必要と認められる生活費又は教育費」は贈与税の非課税対象とされています(相続税法21条の3第1項2号)。

ただし、生活費として妥当な範囲を超える金額や、資産形成を目的とした資金移動は、税務上の指摘を受ける可能性があるため注意が必要です。

●妻が負担していても、夫の「住宅ローン控除」に影響はない

ーーローンが夫単独名義で妻が一定額を負担している場合、夫が受ける住宅ローン控除には影響があるのでしょうか。

住宅ローンが夫単独名義である場合、住宅ローン控除を受けられるのはあくまで債務者である夫のみです(租税特別措置法第41条)。

夫婦間で資金のやり取りがあったとしても、それによって妻が住宅ローン控除を受けることはできません。また、妻の負担によって夫の控除対象となるローン残高が差し引かれることもありません。

金融機関が発行する「年末残高証明書」も夫名義で届くため、確定申告や年末調整においても、夫のみが自身の借入残高に基づいた控除を受けることになります。

●夫婦間の資金の流れや資産の名義は、普段から整理しておくことが大切

ーーほかにも、夫婦間のお金のやりとりで、税金のトラブルになりやすいケースはありますか?特に不動産に関して注意すべき点を教えてください。

特に相談が多いのは、離婚時の税金についてです。

たとえば、夫名義の建物を妻が財産分与で取得する場合、「妻に贈与税はかかるのか」「夫に譲渡所得税が発生するのはなぜか」といった疑問がよく寄せられます。

財産分与は原則として贈与税の対象外ですが、分与する側(この場合は夫)には、時価で資産を譲渡したとみなされ、譲渡所得税が課される場合があります。

将来的なリスクを避けるためにも、資産の名義や資金の流れは曖昧にせず、普段から整理しておくことが重要です。

【取材協力税理士】
鈴木洋輔(すずき・ようすけ)税理士
地主様の相続と土地活用を支える税理士。ご家族の想いや悩みに寄り添いながら、財産を守り、想いを次の世代へつなぐサポートをしている。
税務の専門知識はもちろん、「家族を想う気持ち」や「将来への不安」にもしっかり耳を傾け、安心して相談できる存在として、相続や土地のことで悩む方々から日々多くのご相談を受けている。
事務所名 :鈴木洋輔税理士事務所
事務所URL:https://famvision.jp/

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