税務調査における「お土産」とは?【税務調査ガイド】

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税務調査における「お土産」とは?【税務調査ガイド】

著者: 倉田 健一 芸人

元国税局職員さんきゅう倉田です。好きなお土産は「もみじ饅頭」です。

税務調査を受ける可能性のある人々の中で、古来よりまことしやかに語り継がれている「お土産」というシステム。税理士の先生の中にも「なにかしらは出さないといけないでしょうね」などと言う方はいますし、社長が10人集まればお土産の話になるとも言われているとかいないとか。今回は「はたして、税務調査における「お土産」は本当にあるのか」という謎に迫りたいと思います。

国税庁の職員は真面目に税務調査を行なっている

税務調査における「お土産」とは、税務調査に来た調査官は、なにか結果を出さないと調査を終えてくれない。そこで、わざと帳簿上の誤りを見つけさせ、手柄を与えることで満足してもらい、さっさとお引き取り願おう・・・という都市伝説的なものです。

そもそも、調査官は税金からお給料をもらいながら、ただただ適当に働いているわけではありません。一般企業のお仕事と同じように、件数や目標を与えられ、精神的に追い込まれながら働いています。

「税金泥棒の公務員が俺たちと同じなわけないじゃないか。リストラの心配もなく、2000万円以上の退職金ももらえるだろう。恵まれた環境で働きやがって」とか思う方がいるかもしれませんが、同級生と比べてもお給料や退職金が高すぎることはないように思います。

地方にはのんびり働く方もいるかもしれませんが、国税庁では、そんな人はいないとは言い切れませんが、ごくごく一部の出世を諦めたなまぐさ公務員でない限り、税務調査で不正や申告漏れを発見しようと努めています。とはいえ「なにか結果を出さないと調査を終えてくれない」なんてことはありません。

「お土産」があれば調査が早く終わる?

税務調査は規模の小さい個人であれば1日、中小の小の企業であれば2日に渡って行われます。そこで“増差”、つまり調査による所得金額の増加のことですが、これがある程度確認できればそこで調査を終えて、書類をまとめて帰ることもあります。大きな金額の誤りがあれば、わざわざ重箱の隅をつつくような真似をして社長さんや税理士の先生を不快にする必要はありませんし、調査官だってさっさと帰って統括官への報告に備えたいわけです。

増差に加えて不正が見つかり、法人税、消費税、源泉所得税や印紙税といった、権限のある税目すべてに十分な否認事項があれば調査官としてはもうやることがありません。

そこで、お土産の存在を検討するのですが、調査官に早く帰って欲しいからといって、わざと見つかりやすい誤りを用意しておくというのは一般的なことではないでしょう。

ビジネスを最優先に考えたら、いつ来るかわからない税務調査に備えてあらかじめミスを用意しておくなんてことは無駄です。そんなことをするくらいなら、売上を増やす努力をした方がいい。

仮にお土産が用意されているのであれば、それは意図的な帳簿書類の操作であり単純なミスではありません。それでも、期ずれなどであれば「不正」と見なされず、過少申告加算税を賦課されるに止まるかもしれません。

調査官は、自分で見つけたものなのか、意図的に見つけさせられた「お土産」なのかはわかりません。「自分で見つけた!やったー!」と思うだけで、ゆめゆめ「お土産もらったからそろそろ帰ろう」とはならない。そして、たとえお土産を用意したところで、みなさんが意図的に捻出した金額では調査官が納得しないかもしれない。

まだまだ時間はあるからもっと探そうとか、これをやってるならあれもやってるなとか考えて、調査を続行するかもしれない。お土産を渡しても帰るとは限らないわけです。そんな博打を打つくらいなら、正しく申告して、正々堂々と調査官を迎え撃つ方が健全ではないでしょうか。

納税者に贈られる「お土産」とは?

もちろん税務調査が来る以上、「このくらいの追徴課税なら払ってもいいや」という線引きがあるかもしれません。税理士の先生も「覚悟しておいてくださいね」とか言うかもしれません。それでも、なにも見つからずに「あなたの申告は正しいです」是認の通知をもらう方がいい。わずらわしい作業や税理士の先生への修正申告書の作成費用もなく、余計なコストがかからない。

それならば、同業他社の風説なんかに惑わされず、お土産のことなど忘れて、正規の簿記で作成された美しい帳簿を見せるのがいちばんです。ただし誤りが見つかってしまったあとに、嘘や沈黙で抵抗せずに、すんなりと認めて受け入れることはあります。しかしそれは非を認めただけで、お土産にはならない。

かつて、自分が担当した調査や同僚の調査で「お土産をもらった」という話は聞いたことがありません。本当にもらっていないと信じたいですが本人が気づいていないだけで、あの増差たちはもしかしたら、差し出された「お土産」だったのかもしれません。

それでも、調査官はお土産など求めていませんし、正しくミスのない申告があることも知っています。なにもなければ、調査を延長することもなく潔く終了を告げるでしょう。そうすれば、みなさんには「是認の通知」というお土産が送られてくることになります。

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