じゃい、競馬で6400万円当てたら「巨額の納税」求められ憤り なぜこんなことに
税金・お金

お笑いトリオ・インスタントジョンソンのじゃいが、自身のYouTubeチャンネルで、競馬で当てた6400万円について、税務署から「マンションを買えるくらいの値段の請求」をされたことを明らかにして、話題になった。
じゃいのYouTubeによると、税務署の職員2人が去年秋に自宅を訪れ、通帳や過去の資料を全部持っていかれた。その結果、巨額の請求がきたそうだ。
じゃいは、はずれ馬券が経費にならず、「1億円使って、1億5000万円勝ったとすると、1億5000万円に税金がかかるということで、5000万円しか勝ってなくても、丸々持っていかれてしまう状態です」と説明している。
じゃいは、「納税なんてもんじゃない」「カツあげレベル」と憤った。さらに、裁判をしようとしても、最低でも6年かかると言われて、折れて支払うことにしたそうだ。結局、手元に金がなく、妻が子どもの将来のためにためていた金や、親が貸してくれた金を返済にあてた。
じゃいは「法律自体が時代錯誤だ」と訴えている。今回、はずれ馬券が経費にあたらないと判断されたが、どういう理屈になっているのか。福留聡 税理士に聞いた。
●経費に該当しない「一時所得」と判断された理由
はずれ馬券が経費として認められる、認められないケースの違いは何か。
「競馬の馬券の払戻金の所得区分については、はずれ馬券が経費に該当する雑所得か、経費に該当しない一時所得になりますが、馬券購入の期間、回数、頻度その他の態様、利益発生の規模、期間その他の状況等の事情を総合考慮して区分されます。
まずは、雑所得になるケースについて説明しましょう。馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して定めた独自の条件設定と計算式や、予想の確度の高低と予想が的中した際の配当率の大小の組合せにより定めた購入パターンに従って、偶然性の影響を減殺するために、年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入するなど、年間を通じての収支で利益が得られるように工夫しながら多数の馬券を購入し続けたケースです。
年間を通じての収支で多額の利益を上げ、これらの事実により、回収率が馬券の購入行為の期間全体として100%を超えるように馬券を購入し続けてきたことが客観的に明らかな場合は、雑所得に該当すると判断されました。
そのような例外的ケース以外の一般の競馬愛好家の方は一時所得に該当します。じゃいのケースでも、一般の競馬愛好家として一時所得として判断されたのだと思われます」
●丸々税金で持っていかれるわけではないけど・・・
一時所得の場合、「1億円使って、1億5000万円勝ったとしても、税金で丸々もっていかれる」というじゃいの説明は正しいのか。
「一時所得は<総収入金額ー収入を得るために支出した金額ー特別控除額(最高50万円)>の金額で算定され、収入を得るために支出した金額については、その収入を生じた行為をするため、または、その収入を生じた原因の発生に伴い、直接要した金額に限るため、外れ馬券は入りません。
じゃいが説明している例をもとに考えると、一時所得は=1億5000万円-50万円=149,500,000円、課税所得金額は一時所得の2分の1に相当する金額を給与所得などの他の所得の金額と合計して総所得金額を求めた後、納める税額を計算するため、所得控除や税額控除なく一時所得しかないとすると、課税所得金額は74,750,000円になります。
所得税は74,750,000円×45%-4,796,000円=28,841,500円になります。
住民税は74,750,000円×10%+5,000円(均等割)=7,480,000円になります。
一時所得しかないとすると、合計税額は36,321,500円になります。
あくまで単純計算ですが、勝った5000万円が丸々税金で持っていかれるわけではないけど、1400万円弱しか手元に残らない、ということにはなりますね」
【取材協力税理士】
福留 聡 (日本・米国ワシントン州)公認会計士、(日本・米国)税理士、行政書士
監査法人で上場企業の監査業務等を経験後、IPO支援、決算支援、IFRS導入支援、日米の法人の税務顧問等を行っている。本、雑誌、DVD等で約50の出版をしており、代表的な著作として『7つのステップでわかる税効果会計実務入門』がある。
事務所名 : 福留聡税理士事務所、福留聡国際会計アドバイザリー株式会社、福留聡クラウド会計給与合同会社
事務所URL:http://www.cpasatoshifukudome.biz/