最大20,000円分のマイナポイント 所得税がかかるってホント?
税金・お金

マイナンバーカードの普及率を上げるために実施されている「マイナポイント」。6月30日からスタートした第2弾では、最大20,000円分が付与される。
せっかくもらえるならばポイント付与の恩恵にあずかりたいものだが、国税庁のサイトによると『マイナポイントについては、<中略> 一時所得として所得税の課税対象となります。』とある。
つまり、マイナポイントを受け取った場合、人によっては確定申告が必要になるということだが、普段の買い物等でもらうポイントとはどのような違いがあるのだろうか。三宅伸 税理士に聞いてみた。
●同じ「ポイント」でも取扱いには差異がある
マイナポイントも「もうけ」になるので、ほかの一時所得との合計額が一定額を超えると課税されます。
ところが、決済代金に応じて企業から付与されるポイントは課税されません。ポイントなのに取り扱いが違うのはなぜでしょうか。
それは、そのポイントの発行企業が「ポイント分を値引きした」ととらえられるからです。通常の取引では、値引きは課税されるべき「もうけ」にはあたらないとされています。
しかし、同じ企業からキャンペーン等で臨時・偶発的に取得したポイント分は、値引きとは考えず「一時所得」の対象になります。同じ企業から受けたポイントでも、通常の値引きなのか、キャンペーンや賞金のような臨時的なものなのかで、取り扱いが異なるのです。
ただ、ポイントについて、現在はまだ体系的な法制度はありません。
たとえば、医療費控除の対象となる支出に、ポイントを使用したことが明らかな場合、ポイントを「値引き」とする方法と、「一時所得」とする方法が、国税庁のホームページに掲載されています。
こちらを詳しく解説すると、以下のようになります。
【例】ドラッグストアにて、定価100円の薬を同ストアのポイント10円分を使って90円で購入し、その薬代分を確定申告で医療費控除の対象とする場合
1 ポイント値引きとする方法
・医療費控除の対象は90円
・ポイント10円分は値引きと考えるため、一時所得の対象にならない
2 ポイントを一時所得の総収入金額とする方法
・医療費控除の対象は100円
・ポイント10円は一時所得の対象
●一時所得の合計額が年間50万円を超えなければ申告は不要
マイナポイント等の一時所得は、以下のように計算します。
「(総収入金額 ー 収入を得るために支出した金額 ー 特別控除額(最高50万円))÷2」
つまりマイナポイント分と、ほかの一時所得の利益の合計額が年間50万円を超えなければ、一時所得分の確定申告は不要です。
また、一般的な給与所得者の場合は、給与以外の所得金額の合計額が年間20万円を超えなければ、確定申告をしなくても良いことになっています。
給与以外の所得が一時所得だけの場合は、一時所得で得た利益の合計額が90万円(マイナポイント分を含めた合計額)を超えない限り、確定申告をする必要はありません。
同じ年に、マイナポイント以外に一時所得がなければ、多くの給与所得者の方は、マイナポイントの付与を受けても、確定申告をする必要はないといえます。
なお、「ふるさと納税の返礼品」も一時所得になりますので、多額のふるさと納税をされた場合は併せて、ご注意ください。
<参考>
・国税庁|マイナポイントの課税関係 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1490qa.htm
・国税庁|個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取扱い https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1907.htm
【取材協力税理士】
三宅伸(みやけ・しん)税理士
大阪府立大学経済学部卒業後大手リース会社勤務。仕事、育児、勉強を両立しながら大阪の税理士法人に勤務。平成26年11月堂島で三宅伸税理士事務所を開業。設立当初からクラウド会計の導入をすすめコロナ禍でもストレスフリーな事務環境の提供している。常にお客様の立場に立って考えお客様と共に成長していくことをモットーに起業支援、医療関係、相続等を軸に幅広く活動している。
事務所名 :三宅伸税理士事務所
事務所URL:http://miyake-tax.jp/index.html