霜降り粗品、突然大金を引き落とされてパニック…知っておきたい「予定納税」の仕組み
税金・お金

お笑いコンビ「霜降り明星」の粗品さんが、自身のYouTubeチャンネルで、突然預金口座から、身に覚えのない大金が引き落とされてしまい、借金返済ができなくなってしまったことを明らかにした。
粗品さんによると、8月1日にいきなり巨額のお金が引き落とされたため、調べてみたところ、「予定納税」だったことがわかったそうだ。
粗品さんは「ほんまにどうしたらいいの」「何勝手なことしてんねん」と戸惑いを口にしながらも、「金をつくらなきゃいけないから、闇営業ですかね」とギャグにしていた。
この「予定納税」というのはどんな仕組みになっているのか。勝手に引かれてしまうこともあるのか。山本邦人税理士に聞いた。
●その年の税金の一部をあらかじめ納付する制度
予定納税とは、前年分の所得金額や税額などに基づいて、その年の税金の一部をあらかじめ納付する制度です。
これは、租税収入の平準化と、納税者の分割納税の便宜を図ることが目的です。
粗品さんのような芸能人は、所属事務所との契約内容にもよりますが、多くは個人事業主として申告されていることでしょう。その場合、予定納税の対象となる税金は、所得税(復興特別所得税を含む)と消費税です。
原則として、前年の税額が一定以上の場合(所得税は、所得税と復興所得税の合計が15万円以上)、予定納税が必要になります。
所得税においては、前年の税額の3分の1の金額を、第1期分として7月31日までに、第2期分として11月30日までに納付する必要があります。
●通知もなく勝手に引き落とされることはない
納付の方法については、金融機関の窓口で納付する方法以外に、あらかじめ税務署に口座振替の希望を届けておいて、期日に口座引落をしてもらう「振替納税」という納付方法もあります。
粗品さんはこの振替納税の届出を出していたため、口座から引き落としがされたのでしょう。
ただし通知もなく勝手に引き落とされることはありません。事前に振替納税の金額と引き落とし日の案内が届きます。
仮に今年の納税額が昨年より大幅に減る場合は、7月15日までに「予定納税額の減額申請書」を提出することにより、予定納税額の減額が可能です。
所得税や消費税以外にも、個人事業主の場合、住民税・事業税については、前年の所得に基づいて、その翌年に納付を行うことになります。
前年儲かったからといって、手元に残ったお金を使い過ぎてしまうと、翌年忘れた頃に所得税・消費税の予定納税や、住民税・事業税の納税が必要になり、困ることになるので注意が必要です。
【取材協力税理士】
山本邦人(やまもと・くにと)税理士
監査法人にて経営改善支援業務に従事した後、2005年に独立。中小企業の財務顧問として業務を行う。税金面だけではなく、事業の継続的な発展という全体最適の観点からアドバイスを行う。
事務所名:山本公認会計士事務所
事務所URL:https://www.accg.jp