WBCで人気沸騰のヌートバー、賞金の税金はどうなる? 日本でCM出演した場合は?
税金・お金

WBCの侍ジャパンで活躍するラーズ・ヌートバー選手の人気が高まっています。ヌートバー選手はアメリカ育ちで、日系人としては初めて代表入りしました。
日本代表はグループBを4戦全勝し1位で突破。3大会ぶりの優勝を目指し、3月16日の準々決勝ではイタリアと対戦します。
WBCの賞金は、勝つほど増えていく方式です。もし優勝すれば300万ドル(約4億円)を30人の選手たちと所属連盟で折半することになります。
この賞金に対して、税金はかかるのでしょうか。仮にかかるとすれば、ヌートバー選手の場合、税金はどこに納めることになるのでしょうか。少し気が早いですが、日本が優勝したケースを想定して、福留聡税理士に考察してもらいました。
●優勝すれば1人5万ドルの賞金
WBCは、大リーグ機構(MLB)と選手会が共同で作る大会運営会社「WBCI」(WORLD BASEBALL CLASSIC INC)によって運営されています。
日本の選手は、全世界所得課税として5万ドル(約600万円)を一時所得として確定申告します。日本の選手は米国非居住者ですので、国内(米国)源泉所得に対して米国所得税が課税されるため、確定申告で外国税額控除を受けます。
一方、ラーズ・ヌートバー選手は米国居住者ですので、米国所得税及び居住の州の申告義務者になり、5万ドルに対する米国連邦税及び州税をそれぞれIR(米国内国歳入庁)、州に納めることになります。
●日本でCMに出演した場合は?
——ヌートバー選手はこの人気ぶりから日本のCMのオファーが殺到するのではないかという報道が出ていますが、その場合の税金はどうなるのでしょうか。
ヌートバー選手のような日本の非居住者に対して、日本の国内で源泉徴収の対象となる国内源泉所得の支払いをする者は、その支払いの際、所得税と復興特別所得税を源泉徴収し、納付する義務があります。
国内源泉所得の支払いが日本国外において行われる場合には、原則として源泉徴収の必要はありません。ただ、その支払者が日本国内に住所もしくは居所を持っている、または国内に事務所、事業所その他これらに準ずるものを持っているときは、その支払者がその国内源泉所得を国内において支払ったものとみなして源泉徴収をする必要があります。
ヌートバー選手は、米国においても全世界所得課税となるため、日本のCM収入も米国で他の所得と合わせて申告し、日本で源泉徴収された所得税は米国で外国税額控除を受けます。
【取材協力税理士】
福留 聡 (日本・米国ワシントン州)公認会計士、(日本・米国)税理士、行政書士
監査法人で上場企業の監査業務等を経験後、IPO支援、決算支援、IFRS導入支援、日米の法人の税務顧問等を行っている。本、雑誌、DVD等で約50の出版をしており、代表的な著作として『7つのステップでわかる税効果会計実務入門』がある。
事務所名 : 福留聡税理士事務所、福留聡国際会計アドバイザリー株式会社、福留聡クラウド会計給与合同会社
事務所URL:http://www.cpasatoshifukudome.biz/