「配当+優待投資で資産7億円」年間の手取り額はどのくらい?配当と株主優待で支払う税金も解説
税金・お金
主に株主優待と配当金で生活している投資家の桐谷広人さんが、2025年10月13日放送のテレビ番組「月曜から夜ふかし」に出演し、現在の資産額を明らかにした。
桐谷さんは、「資産も銘柄数も過去最高を更新しています」と話し、総資産を「7億円くらい」と告白した。
桐谷さんは、株主優待株や高配当株を中心に投資をしており、過去に雑誌で「配当+株主優待の合計利回りが4%以上」をひとつの基準としていると語っている。
資産7億円とはなんとも驚くべき額であるが、その資産に対して利回りが4%だった場合、配当金と株主優待を合わせた年間の手取り額はいくらになるのだろうか。一方で税金はいくら支払うことになるのだろうか。三宅 伸税理士に聞いた。
●資産7億円で利回り4%の場合、年間リターン(課税前)は約2,800万円
ーーもし資産が7億円で、配当+株主優待の合計利回りが4%(配当利回り3%、優待利回り1%と仮定)の場合、配当金と株主優待を合わせた年間の手取り額はいくらになるのでしょうか。
資産7億円で利回り4%(配当3%+優待1%)とすると、年間のリターン総額は2,800万円です。
このうち配当収入(2,100万円)を証券会社の「特定口座(源泉徴収あり)」で運用している場合、税引き後の手取り額は約1,673万円になります。
株主優待(約700万円)は、金券や商品券などがそのまま受け取れます。しかし、この700万円相当は課税前の利益であり、最終的な手取り額ではありません。
●税制の違いに注意。配当は源泉徴収、株主優待は総合課税の対象
ーーそれぞれ支払う税金はいくらになるのでしょうか。
配当収入には15.315%の所得税及び復興特別所得税と、5%の住民税が適用され、税率は合計20.315%です。源泉徴収税額は約426万6,000円です。
一方、株主優待分は「雑所得」として、給与所得など他の所得と合算して、総合課税の超過累進税率(所得税率5%~45%+復興特別所得税+住民税率10%)により課税されるので注意が必要です。
●NISA口座なら配当金は非課税、ただし株主優待は課税の対象に
ーーもしNISA口座を活用して配当・株主優待を得ている場合は、税金はどうなるのでしょうか。
2024年から始まった新NISA制度では、年間の非課税投資限度額が、「つみたて投資枠120万円」と「成長投資枠240万円」で、生涯の非課税保有限度額は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)です。
桐谷さんのように多額の投資をしている方はNISA口座を活用していないと思われがちですが、実際、高額な投資を行っている方でも、非課税枠の範囲内で一部資金をNISA口座で運用しているケースは少なくないと考えられます。
ただし、NISA口座で得られる配当金や売却益は非課税ですが、株主優待(商品券など)の利益は、雑所得として課税の対象となります。
また「つみたて投資枠」で運用できるのは一部の投資信託に限定されているため、株主優待を目的とした投資は「成長投資枠」内でのみ運用が可能です。
このように、配当重視の銘柄はNISA口座(成長投資枠)で管理し、優待重視の銘柄は課税口座で管理するなど、目的に応じた使い分けが重要です。特に税制を意識した運用設計が、長期的な資産形成においては大きな差を生みます。
【取材協力税理士】
三宅伸(みやけ・しん)税理士
大阪府立大学経済学部卒業後大手リース会社勤務。クラウド会計の導入をすすめ、インボイス制度や電帳法にも対応できるストレスフリーな事務環境を提供。事務所全体でAIの取組も進めている。常にお客様の立場に立って考え共に成長していくことをモットーに法人及び個人の会計税務、起業支援、相続等と幅広く活動している。また、無申告や税務調査のサポート対応も行っている。
事務所名 :三宅伸税理士事務所
事務所URL:https://miyake-tax.jp/















