「マンション買えば相続税が安くなる」は安易すぎる…マンション管理士が警鐘(後編) - 税金やお金などの身近な話題をわかりやすく解説 - 税理士ドットコム

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「マンション買えば相続税が安くなる」は安易すぎる…マンション管理士が警鐘(後編)

「マンション買えば相続税が安くなる」は安易すぎる…マンション管理士が警鐘(後編)
マンション管理士の宮路幸人税理士(2019年5月16日、税理士ドットコム撮影、東京都内)

タワーマンションの修繕積立金が不足し、いずれは大規模修繕のハードルが高くなるーー。前編ではこうした懸念などを、マンション管理士でもある宮路幸人税理士に語ってもらった。ヤフトピにも採用され反響は大きかった。

タワマンなど現時点で高い資産価値が見込める物件は、日本の富裕層に限らず、海外の富裕層も投資目的などで購入している。目的はどうあれ、所有者であることに変わりはないため、大規模修繕などでは彼らを含めて必要な決議を経ないといけない。

ただ、連絡が全くつかなかったらどうなるのか。意思疎通の問題はネックにならないのか。

加えて、この後編では、相続を受けた人の所在がわからず決議が取れないために、必要な修繕に着手できないことの恐ろしさや、「相続税対策」としてマンションを買うことが必ず節税につながるのかなどについて、宮路税理士に聞いた。

●相続人探し、かなりの手間

ーー相続人の不明などに伴うマンション決議の問題について教えてください 

マンション住まいも一般的となり、居住者の永住志向も6割を超えました。また高齢化も見られ、60歳以上の居住者がほぼ5割となっています。お年寄りの一人暮らしも多く、亡くなった人の相続人が不明である場合も増えています。

この場合、管理組合は弁護士などに依頼し、まず相続人を探し出さなくてはなりません。そして、いない場合は手続きを踏み、競売の申し立てなどをして管理費の回収を考えることになります。ただ、かなりの手間がかかります。

ーーどのような手間でしょうか

競売の場合、裁判所に支払う100万円前後の予納金をどうするかという問題が生じます。弁護士費用もかかりますし、その間も管理費の滞納は続きます。仮に競売で売却できても、滞納した管理費の回収ができるかわかりません。この手続きにかかる労力は相当なものです。

また、所有不明者が増えると将来の決議に影響します。マンションの場合、共用部分の重要な変更は区分所有者及び議決権の各「4分の3以上」の賛成が必要となりますし、建て替え決議に至っては、区分所有者及び議決権の各「5分の4以上」の賛成が必要となります。

ーー相続した所有者と連絡が取れず決議ができないことは今後増えるでしょうか

そうなることは十分考えられます。マンションはその決議割合のハードルが高く設定されているため、必要な意思決定ができなくなるという可能性があります。

国土交通省の調査によると「連絡先不通または所有者不明」マンションの割合は13.6%で、築年数が経つほど連絡が取りにくくなる傾向ということです。

加えて、最近は海外の富裕層がタワマンを投資目的で購入しており、日本語が読めないであろう人たちに対し、どのように意思疎通をするのかなど、様々な問題も生じてくることが考えられます。

●税務当局から否認されるケースも

ーーマンションは「相続税対策」として購入するケースがありますが、必ず節税メリットが見込めるのでしょうか 

まずマンションの取引価格は、ほぼ建物部分によるものとされます。土地については各戸が「敷地権」という名目で共有していることになりますが、戸数が多いほど敷地権の評価額としてはわずかなものとなります。

このため、相続税評価額が下げられることから、相節税対策をはじめとしてマンション購入は非常に有効な節税手段と言われてきました。

しかし、相続間際にタワマンを購入して相続税額を抑え、相続後すぐに売却した場合などは、税務当局から否認されるケースも出てきていますので注意が必要です。必ず節税メリットがあるということではありません。

ーー積立期間が長いと巨額がプールされ、適切な資金管理が求められますね

はい。管理組合の運営に無関心な居住者が多い場合、管理組合の理事長の独裁的な運用によって予算を私的に流用したり、特定の業者に仕事を発注する見返りにリベートを受け取ったりなどの不正を行っているケースも出てきています。

戸数の多いマンションは、積み立てられた管理費等が何十億となる場合もあります。

今後は、一定額以上の積立金がある場合は、専門家による会計監査を受けるとか、会計参与を置くことを法律で義務づけるなど、資金面でのチェックが必要だろうと思います。また理事会や総会が適正に運営されているかどうかのチェックとして、弁護士やマンション管理士等の活用も有益でしょう。

50年以上前にできた区分所有法では、決議割合をはじめとして現在のマンションの所有者の現状に対応しきれていません。

今後ますます、必要な維持管理費が不足し、スラム化するマンションが増加する懸念があります。将来を見据え、適切な法制度の改正がされることを希望します。

【取材協力税理士】
宮路 幸人 (みやじ・ゆきひと)税理士
簿記論、財務諸表論、法人税、消費税、国税徴収法の5科目合格。AFP・宅建士・マンション管理士等保有し、不動産関係が得意。趣味は楽しくお酒を飲むこと。
事務所名 :多賀谷公一税理士事務所
事務所URL:

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