NPO・NPO法人・認定NPO法人の違いって?NPOの種類・設立の流れ・税制優遇のまとめ

政府や企業の手が届かない社会問題を解決することを目的としたNPO(民間非営利組織)は、社会の多様化やニーズの変化にしたがって近年爆発的に増加しています。ゴミ拾いから地雷除去まで、NPOは幅広い役割を果たしています。普段はあまり意識することは無いと思いますが、その活動による様々な恩恵を受けていることでしょう。
さて、そんなNPOは平成25年の特定非営利活動促進法の改正によって、今まで縁のなかった会社員や主婦、さらには学生といった一般市民も簡単に設立できるようになりました。
今やっている活動を広げていくためにNPO化したい、新たにNPOを立ち上げたいという方、NPOにもいくつか種類があることを知っていましたか?今回はNPOの種類とそれぞれのメリットなどについてご紹介したいと思います。
目次
NPOとNPO法人と認定NPO法人の違いとは
NPOとは民間の非営利組織のことです。
民間の立場で利益を目的とせず、社会的な問題解決を目指す組織です。活動には医療や福祉に関するもの、環境保全や災害救助など様々なものがあります。
ところで、NPOには次の3種類があることは知っていますか?
NPO・NPO法人・認定NPO法人
NPOと名前が付いていますが、活動を行っていく上でも、社会的な信頼度の点でも大きく異なります。
NPOは誰でも名乗れる
NPOは総称ですので、民間で非営利活動を行う団体は、自由にNPOと名乗ることができます。つまり、どういう団体なのかを説明する単語にすぎません。
NPO法人・認定NPO法人は法人格を持った団体です。申請および審査が必要となりますし、認定NPO法人となるには厳しい要件があります。
法人格を持っていなくても、立派に活動しているNPOはたくさんあります。しかし、規模が大きくなってきた場合には、法人格の取得を考えたほうが良いでしょう。
審査が必要になるNPO法人
法人格を取得することで、法人として契約や取引が行えるようになり、社会的な信頼もより得られるようになります。
しかし、NPO法人を設立するためには、所轄庁(都道府県又は政令指定都市)により認証を受けなければなりません。審査の基準は次のようなものです。
- 特定非営利活動を行うことが主たる目的であること
- 営利目的でないこと
- 社員資格の取得・喪失に関して、不当な条件を付さないこと
- 報酬を受ける役員は役員総数の1/3以下であること
- 宗教活動や政治活動を主たる目的としないこと
- 特定の公職者・政党を推薦・支持・反対しないこと
- 暴力団および暴力団構成員でないこと
- 10人以上の社員を有するもの
認証には、定款や事業計画書、活動予算書などを添付した申請書類を提出します。提出した書類の一部は2ヶ月間、市民に自由に見てもらい点検されます。認証後、登記をすることにより法人を設立することができます。
さらに厳しい基準がある認定NPO法人
認定NPO法人となるには、厳しい基準があります。
2016年5月末において、NPO法人数が50,965件なのに対し、認定NPO法人・仮認定NPO法人数は905件という数からもお分かりいただけるかと思います。
申請を行っても、不認定や取り下げとなる場合も多いようです。
認定基準を確認してみましょう。
PST(パブリック・サポートテスト)に適合すること
市民から支援を受けているかを判断するための基準です。
次のうち、ひとつをクリアすることが条件です。
- 寄付金収入の割合が総収入の1/5以上であること
- 1年間における、3000円以上の寄付金を支払った人数が100人を超えること
- 都道府県又は市区町村から条例による個別指定を受けていること
共益的な活動が50%未満であること
活動内容は公益性をもたなければなりません。特定の範囲・対象に向けられた活動は50%未満でなければなりません。
- 運営組織および経理が適切であること
- 事業活動が適正であること
- 事業報告書等が公開されていること
- 所轄庁への書類提出がきちんとなされていること
- 法令違反・不正・公益に反する事実等がないこと
- 設立以降1年を超え、2事業年度の実績があること
認定基準が厳しいことから、1回に限りPST基準を免除した仮認定制度(3年間有効)が導入されています。
認定NPO法人になると税制優遇が受けられる
厳しい基準をクリアして認定NPO法人になることのメリットは、対外的な評価が上がるだけではありません。
NPO法人は、法人税に関しては原則非課税です(法人税法に規定された収益事業を除く)。さらに、認定NPO法人には税制上の優遇措置が設けられています。
認定NPO法人に寄付をすると、寄付をする側に次のような税制上の優遇措置がとられます。
- 法人の場合、一定限度内で損金算入できる
- 個人の場合、一定限度内で所得控除または税額控除が受けられる
- 相続財産を寄付すると、寄付した額は課税対象外になる
寄付をすることで、活動支援だけでなく節税をすることもできます。そのため、活動資金が集まりやすくなります。
おわりに
認定NPO法人となっても、5年ごとに更新の申請を行わなければなりません。また、認定が取り消される場合もあります。税制上の取り扱いも特殊なため、思わぬところで不正となってしまうこともあるようです。判断に迷った時には税理士などの専門家に相談をするようにしましょう。
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