遺言書のよくある隠し場所は? 遺言書の探し方と見つけたときの対処法

相続の手続きにおいて重要な意味を持っているのが「遺言書」です。ところが「あの人は遺言書なんて書いているはずがない」などと決めつけて、遺言書を探さない遺族の方が多いようです。
遺言書は後から見つかると、すでに進んでいる遺産分割協議を根底から覆してしまう恐れがあります。相続が発生したら、まずは手続きを進める前に遺言書を探すことが大切なのです。
今回は、遺言書がしまってある可能性が高い場所、そして見つけたらどうすれば良いのかについて解説します。
目次
遺言書は自宅で見つかる可能性が高い
遺言書の多くは自宅で見つかるとも言われています。例えば、故人の遺品整理をしている最中に、たまたま遺言書を発見するというケースが多々あります。自宅の中で遺言書が隠してある可能性が高い場所は以下の通りです。
- 仏壇もしくは神棚
- 本人の使っていた机の引き出し
- 自宅にある金庫の中
できれば亡くなる前に本人から所在を聞いておくことが一番良いのですが、なかなかそうもいきません。遺言書を自宅に保管している場合については、概ね上記のいずれかであることが多いようです。
遺言書はへそくりとは違い、誰かに発見してもらえなければ意味がありません。ただ、自分が生きているうちには発見されたくない、という心理も働くため、簡単には見つからないけれども、必ず死後に確認される場所であることが多いのです。
自宅以外で遺言書を保管しているならここ!

遺言書の機密性が高い場合は、自宅以外の場所に保管している可能性があります。主なケースとしては以下の通りです。
知り合いに預けている
生前から親交があった友人知人、もしくは、相続人ではない親族などに遺言書を託しているケースがあります。
弁護士や税理士に預けている
生前に顧問契約を結んでいた弁護士や税理士がいる場合は、それらの専門家に遺言書を預けて保管してもらっている可能性があります。特に、生前から確定申告を請け負っていた税理士がいる場合は、遺言書を預かっていないか確認しましょう。
公証役場に保管してある
生前に公正証書で遺言書を作成している場合(公正証書遺言と言います)、原本が公証役場に保管されています。相続人が公証役場に以下の必要書類を持参することで、故人の遺言書が保管されていないかどうか確認ができます。
【必要書類】
- 請求者である相続人の戸籍謄本
- 被相続人の戸籍謄本
- 請求者の印鑑証明書(発行3か月以内のもの)
- 本人確認資料
- 実印
これらを相続人が持参することで、遺言書の有無、そしてある場合は保管されている公証役場を特定できます。
遺言書の捜索で銀行の貸金庫は開けられるか?

警戒心の強い方は、遺言書を誰にも預けずに銀行の貸金庫に保管しているケースがあります。銀行の貸金庫であれば、自分が生きているうちは自分しか開けられないため安心です。ところが、相続が発生すると、貸金庫の扱いには注意が必要です。
相続人が複数いる場合、誰か一人の相続人のみの判断では、勝手に貸金庫を開けることができないからです。貸金庫については何が入っているか、亡くなられた本人にしかわかりません。銀行側は入っている中身を把握しているわけではないのです。
もしも、誰か一人の相続人が単独で貸金庫を開けたとなれば、万が一遺言書がその場で隠蔽されても誰にもわかりません。したがって、貸金庫を開けるためには、相続人全員の同意や立会いを銀行から求められることを覚えておきましょう。
見つけた遺言書を勝手に開けたら罰金って本当?
万が一遺言書と書かれた封筒が見つかると、その内容が気になるあまり、すぐに中身を確認したくなるかもしれません。ところが、見つけた遺言書をすぐその場で勝手に開封すると、ペナルティがあることをご存知でしょうか。
実は、遺言書の開封については民法で次のように規定されています。
民法1005条 前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所以外においてその開封をした者は、5万円以下の過料に処する。
遺言書については、改ざん、隠蔽、偽造などが問題となることが多いため、公正証書遺言以外については、まず家庭裁判所で正しい遺言書なのかをチェックする「検認」という手続きを経なければなりません。
この段取りを無視して勝手に開封したり、遺言書の内容を執行しようとすると、過料が科されますので十分気を付けましょう。
まとめ
仮に、遺言書が見つかる前に遺産分割協議をしていても、遺言書の内容がそれと異なる場合は、相続人全員が合意しないと、遺言書の内容を執行しなければなりません。遺言書の発見が遅れれば遅れるほど、遺産分割の手続きに混乱を招きますので、まずは遺言書が残されていないかをくまなくチェックすることが大切です。
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