不動産を相続しても、相続登記はしなくても大丈夫?しない場合のデメリットとは?

相続税が課税される世帯において、相続財産の中で最も大きな割合を占めているものはなんだと思いますか?それは「不動産」です。
預貯金と思うかもしれませんが、実は自宅などの不動産の価値の方が割合的には多いのです。なお、不動産を相続した際には相続の登記をする必要があると言われていますが、これは強制なのでしょうか。また、しなくても問題はないのでしょうか。
そこで今回は、不動産を相続した場合の相続登記のことについて詳しく解説します。
目次
そもそも登記って何?
ものには動かせる「動産」と、動かせない「不動産」があります。
例えば、パソコンや家具家電などは動産になります。動産は自分自身で物理的に所持して支配することができるため、自分のものであるということをあえて証明する必要性はありません。
ところが土地や建物などの不動産の場合は、必ずしも自分が所有している不動産に住んでいるとは限りません。仮に住んでいたとしても、それだけで自分のものだと証明できるわけでもありません。
そこで不動産の場合は、登記という不動産の持ち主に関するデータベースを作って、それによって管理しようということになったのです。
ですから、不動産の登記簿に名前が書いてあれば、たとえ遠方に住んでいても、たとえ他人に貸していても、自分が所有者であると他人に対して主張できるのです。
実は相続登記という登記はない!?
一般的に相続によって所有者の登記名義を変更することを「相続登記」と言いますが、実は厳密に言うと相続登記という登記はありません。
正確には、「相続を原因とした所有権移転登記」と言うのが正しいでしょう。一般的にはこれをわかりやすく表現するために、「相続登記」という言葉が用いられているのです。
ちなみに、登記を申請する役所のことを「登記所」と呼ぶ人が多いですが、こちらも実際は「法務局」やその「出張所」になります。そのため、建物の看板にも「法務局」としか書かれておらず、「登記所」とは書かれていませんので、間違えないようにしましょう。
相続登記はしなくても違法ではない?
相続登記に限らず、不動産登記についてはしなければならないという法的な義務はありません。よって、いつまでにしなければならないという期限もありません。
そもそも不動産登記申請は、所有者が自分の所有権という権利を守るために、本来、自発的にすべき手続きです。
ですので、仮に不動産を相続して登記を移転しなかったとしても、法律違反ではありません。ただ、相続登記をしないと、その土地が自分のものであるということを他人に対して証明する術がありません。
そうなると、主に次のような不都合が生じます。
不動産を売却できない
相続した物件を売却するためには、その物件を自分が相続して所有者となったことを、買主に対して証明しなければなりません。また、買った人が自分の名義に登記するためにも、まずは相続登記を完了させる必要があります。
遺産相続の場面では、不動産を売却して現金化し、それを法定相続分で分けるという換価分割のスタイルが取られることも多いため、不動産を売却するためにも相続登記をする必要があるでしょう。
不動産を担保にできない
例えば相続した物件を担保にお金を借りようとしても、銀行に対してその物件が自分の所有物であることを証明できないため、お金を借りることができません。
相続登記をしなくても、違法ではないが大丈夫でもない
このように、相続登記は強制ではありませんので、放置していても法的な責任を追及されるわけではありません。ただ、将来的に不動産を売却したり、担保にする際には、必ず相続登記をしなければなりません。
万が一、自分が相続登記をしないうちに死亡してしまい、相続登記がされていないままの状態で次の相続が発生してしまうと、非常に厄介な状況になります。
この場合は、その時点の共有者全員の同意が必要になり、書類にも署名捺印をしてもらわなければなりません。
すでに疎遠になっている人たちも出てくる可能性があるため、相続登記についてはできる限り確定した段階ですぐに申請することをおすすめします。
おわりに
このように、相続登記は強制ではないため、いつまでという期限もありません。ただし、その代わりに不動産が自分のものであるということを、他人に対して証明できないことによる不都合は必ず生じてきます。よって、相続登記については遺産分割が確定した段階で、すぐに司法書士に依頼して申請するようにしましょう。
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