「軽自動車は相続財産ではない」ってホント!?よく勘違いされている「軽自動車」を相続する際のポイント

最近何かと話題になることが多い「相続」ですが、相続にまつわる知識の中には非常に紛らわしく、誤解を招きやすい事柄がたくさんあります。
中でも、比較的誤解している人が多いのが「軽自動車の相続」に関する知識です。軽自動車の相続は、普通車と比べると微妙にやり方が異なる部分があり、そのせいで思わぬ誤解を生んでいます。
本記事では、軽自動車を相続する際のポイントについて、わかりやすく解説したいと思います。
目次
軽自動車と普通車の違いとは?
昨今では、ホンダのN-BOXや日産のデイズルークス、ダイハツのウェイク、スズキのハスラーなど、人気のある軽自動車が多数発売されていますが、そもそも、軽自動車と普通車の違いをご存知でしょうか。
軽自動車については、道路運送車両法という法律で、次のように規定されています。
全長 | 全幅 | 全高 | 排気量 | 乗車定員 | 貨物積載量 |
---|---|---|---|---|---|
3.4m | 1.48m | 2.0m | 660cc以下 | 4人以下 | 350kg以下 |
また、軽自動車についてはナンバープレートが「黄色」となり、普通車の「白」とは異なります。
軽自動車は税金、自動車保険料、高速道路料金、車検費用など、維持費にかかる全ての面で普通車よりも低く抑えられ、またサイズもコンパクトなため駐車場所にも困りません。
さらに最近の軽自動車は非常に低燃費で、リッターで35km以上走る車種もあるくらいです。
このように軽自動車には多くのメリットがあり、昨今でも新車販売台数の30%以上を軽自動車が占めています。
「軽自動車は相続の対象ではない」という噂は本当か

被相続人名義の軽自動車があった場合に、相続手続きについてディーラーにたずねると、「軽自動車は相続の対象ではないから、簡単に手続きできますよ」という案内を受けることがあります。
確かに、軽自動車の相続手続きは普通車に比べて簡略化されていますが、本当に相続の対象ではないのでしょうか。
誤解が多い部分なので、順を追って解説します。
軽自動車と普通車の相続手続きの違い
まず、軽自動車を相続するということは、軽自動車の名義を変更することになります。「軽自動車」の相続による名義変更手続きにあたって必要となる書類は以下のとおりです。
- 自動車検査証(車検証)
- 軽自動車税申告書
- 新所有者の住民票(発行3ヶ月以内)
- 自動車検査証記入申請書(軽自動車検査協会の事務所窓口にて入手できます)
- 亡くなった方の戸籍謄本等
- 新所有者の認印
もともと軽自動車の名義変更手続きは簡単なのですが、相続による名義変更手続きについても、通常の名義変更手続きに必要な書類に、「被相続人の戸籍謄本等」をプラスするだけです。
必要書類を見て分かるとおり、すべての書類は揃えようと思えば家族のうち誰か一人が単独で揃えることができます。
これに対して、「普通車」の相続による名義変更手続きに必要な書類は以下のとおりです。
- 自動車検査証(車検証)
- 戸籍謄本等
- 遺産分割協議書
- 相続人の印鑑証明証
- 相続人の実印または委任状
- 車庫証明
このように、普通車などの相続財産の名義変更には、相続人全員が実印を捺印した「遺産分割協議書」と「印鑑証明書」の添付が必要となりますが、軽自動車についてはそれが不要です。
そのため、家族なら誰でも単独で勝手に名義変更することができる、という認識を持っているディーラーの担当者が多く、そのイメージから「軽自動車は相続の対象外である」と思い込んでいるようです。
軽自動車も相続の対象です
結論から言って、軽自動車は相続財産であり、相続人全員で話し合う遺産分割の対象となりますので、軽自動車は相続の対象外であるという認識は間違っています。
軽自動車の名義変更手続きが簡単なのは、決して相続財産ではないことが理由ではありません。
そもそも軽自動車は先ほどもお話したように、性能が向上しており、維持費が低く抑えられることなどから、中古車市場でも普通車以上の査定額が出ることも少なくありません。
相続財産であるかどうかの判断基準は、名義変更手続きが単独でできるかどうかではなく、そのものに「経済的価値」があるかどうかが一つのポイントとなります。
すなわち、市場で売却してお金になりうるものは、相続財産と考える必要があるのです。
ですから、仮に一人の相続人がほかの相続人に秘密にしたまま、勝手に軽自動車の名義を変更した場合は、軽自動車の時価相当額の「損害賠償請求」や「不当利得返還請求」を受ける可能性があります。
相続した軽自動車を売却するためには
もしも相続する予定の軽自動車が非常に古い年式で、相続してもほぼ乗らないためすぐに売却したい、という場合はどうしたら良いのでしょうか。
軽自動車はすぐに売却する場合でも、一度被相続人から相続人に名義変更をしてからでなければ、第三者に売却できないことになっています。
そのため、軽自動車を売却してそのお金を法定相続分に従って分けようというケースでも、一度家族の誰かの名義に変更してからでないと売却できないため注意しましょう。
おわりに
軽自動車に乗っている年配の方は比較的多いため、軽自動車が相続財産となる可能性は高いと言えます。
軽自動車の相続手続きは簡単ですが、立派な相続財産ですので、相続人全員で遺産分割協議を行って、軽自動車を誰が相続するのか、明確に合意する必要があることを覚えておきましょう。
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