夫婦関係の俗説「離婚よりも死別の方が金銭的にお得」は本当か? 徹底シミュレーション - 税金やお金などの身近な話題をわかりやすく解説 - 税理士ドットコム

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  1. 夫婦関係の俗説「離婚よりも死別の方が金銭的にお得」は本当か? 徹底シミュレーション

相続税

夫婦関係の俗説「離婚よりも死別の方が金銭的にお得」は本当か? 徹底シミュレーション

夫婦関係の俗説「離婚よりも死別の方が金銭的にお得」は本当か? 徹底シミュレーション

夫婦の仲が悪化すると、離婚の危機を迎えるケースもありますが、その時に心配になるのがお金の問題です。このお金をめぐって、「夫と離婚するよりも、夫が亡くなった方が金銭的にお得だ」という声をSNSなどで見かけることがあります。

離婚する場合に、妻には財産分与や養育費(場合によっては慰謝料)などでお金が入ってくることがありますが、一方で夫が亡くなった場合には、妻は遺産相続に加えて、死亡保険金や遺族年金をもらうこともできます。

果たして、夫と離婚した場合と、夫が亡くなった場合、妻にとって、金銭面でどんな違いがあるのか。冨田健太郎税理士に聞きました。

●まずは前提となる知識から

ちょっと不謹慎な気もしますが、読者様の知的好奇心を満たすために、事例を用いて金額の多寡を検討していきます。なお、二児の父としてとてもスリリングなテーマであり、妻に隠れてコソコソと調べて書き上げたことをまずはお伝えします。

●離婚した場合の課税関係

離婚になった場合、財産分与と養育費の支払があるのが一般的です。通常、財産分与については、婚姻後に築いた財産に対して1/2を分与します。一方、養育費は原則として子どもが成人するまで毎月一定額を支払います。

これらについては、夫から妻への贈与には当たらず、贈与税は課税されません(養育費を一括払いした場合は課税されることがあります)。ただし、金額が多過ぎる場合や、贈与税・相続税を免れるために行ったと認められる場合は、贈与税がかかりますので、ご注意下さい。

なお、不動産を分与した場合は、以下のような課税関係になります。

・分与した人

分与時の時価で譲渡したものとして、譲渡所得税の課税対象となります。

・分与された人

分与時の時価が取得価額となり、譲渡時に譲渡所得税の課税対象となります。

●相続があった場合の課税関係

一方、死別で相続があった場合、相続した財産の相続税評価額に対して相続税が課税されます。ただし、「3,000万円+法定相続人の数×600万円」の控除が認められており、相続財産がこの金額以下であれば相続税はかかりません。

配偶者と子2人であれば、3,000万円+600万円×3=4,800万円までは課税されないということですね。なお、配偶者については、取得財産が1億6000万円までは相続税がかかりません。

また、相続には法定相続分というものがあり、配偶者と子のケースですと、配偶者と子で1/2ずつ分ける(子どもが複数いる場合は1/2を子どもの数で分ける)ことになります。もちろん、協議により、この割合と異なる割合を使用しても問題ありません。

●遺族年金

被相続人(亡くなった方)が国民年金・厚生年金に加入していた場合、遺族に対して遺族基礎年金・遺族厚生年金・寡婦年金を受け取ることができます。細かい要件は多々ありますので、年金機構のHPより内容をご確認下さい。

日本年金機構HP

http://www.nenkin.go.jp/

なお、これらの年金については、所得税・相続税などの税金は一切かかりません。

■事例検証

それでは、簡単な事例で確認していきましょう。

以下のような想定のもとで考えます。

この時点で離婚する場合と、10年経ってから死別する場合を想定しています。

夫(会社員、年収800万円)45歳(55歳で他界)

妻(会社員、年収400万円)40歳

子ども 息子13歳(中学1年生)、娘10歳(小学4年生)

夫婦共に婚姻前の財産はゼロ

3,000万円の分譲マンションを10年前にフルローンで購入。月々10万円の30年ローン(団体信用生命保険に加入)で、残り20年(時価:2,600万円、相続税評価額1,200万円、ローン残高:2,400万円)。

死亡保険金(貯蓄性なし):1,200万円

貯蓄(すべて結婚してから貯めた定期預金):1,000万円

寡婦年金:年間50万円×5年

遺族厚生年金:年間100万円

年間の貯蓄額:100万円

養育費は2人の子どもがそれぞれ成人するまで、夫が払い続ける

■離婚した場合

・財産分与

離婚時点で有している財産の1/2を分与されるものとします。

マンション:2,600万円

預金:1,000万円

ローン:△2,400万円

合計:1,200万円

財産分与額:1,200万円×1/2=600万円

・養育費

東京家庭裁判所が作成している養育費の算定表をベースに毎月の養育費を算定しますと、10万円~14万円程度となります。多い方を取って月額14万円(子ども1人あたり7万円)とします。

息子(13歳)分:7万円×12ヶ月×7年=588万円

娘(10歳)分:7万円×12ヶ月×10年=840万円

合計:1,428万円

・合計

600万円+1,428万円=2,028万円

■相続した場合

・取得財産

マンション:2,600万円

預金:1,000万円+100万円(年間の貯蓄額)×10年=2,000万円

生命保険:1,200万円

ローン:0円(団信適用)

合計:5,800万円

※法定相続分で取得した場合の配偶者の取り分:5,800万円×1/2=2,900万円

・相続税額

相続税評価額:1,200万円+2,000万円+1,200万円-1,200万円(生命保険の非課税)=3,200万円<3,000万円+600万円×3=4,800万円 (つまり、相続税ゼロ)

・合計

5,800万円-0円=5,800万円

上記金額にプラスして、寡婦年金・遺族厚生年金がもらえます。

●どっちが得か?

今回の事例ですと、離婚した場合は2,028万円(養育費込)、相続した場合は5,800万円(法定相続分は2,900万円)+寡婦年金+遺族厚生年金となりました。これだけ見ますと、相続の方が断然得と言えます。今回、ある時点での離婚と、それから10年後の死別を比較しましたが、離婚と死別を同じ時点で比較しても、結論に違いはありません。

あくまでシミュレーションですので、もちろん、実際の相続はいつあるか分かりません。10年後が20年後か、はたまた30年後か・・・夫婦関係が崩壊しているのであれば非課税である財産分与&養育費をもらって離婚する方が得なのかも知れません。

ですが、できれば家族円満で人生を全うしたいものですね。

【取材協力税理士】

冨田健太郎(とみた・けんたろう)税理士

税理士はお客様にとって「かかりつけ医」のような存在であるべきと考えております。そのため、当事務所ではお客様との対話を最も大切にしております。よく話を伺い、それを踏まえた最善の提案をご理解頂けるまで何度でも説明致します。

事務所名   : 税理士冨田健太郎事務所

事務所URL: http://zeirishiken.com/

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