保険業で顧問税理士をつけるメリットは?保険代理店・保険外交員の顧問料金実例を紹介

保険代理店・保険外交員といった「保険媒介代理業」は、顧客と保険会社との三者間取引になるため、日々の会計・税務処理が複雑になりがちです。
税理士にそれらの業務をお願いすることで作業負担を軽減することができますが、税理士との顧問契約で得られるメリットはそれ以上にあります。
そこで檜垣昌幸税理士事務所の檜垣昌幸税理士への取材の元に、顧問税理士をつけるメリットをまとめました。顧問料金の実例とあわせて紹介します。
目次
保険代理店・保険外交員の税理士顧問料はいくら?
税理士ドットコムに寄せられた、保険の代理店や外交員をされている方からの相談実績における顧問料の平均は、外交員で年間約17万円、代理店で年間約30万円となっています(※)。
では、実際にどんな依頼内容でいくらで契約されたか、実例を紹介します。
※税理士ドットコムの「税理士紹介サービス」に寄せられた相談
実例1)年間顧問料:150,000円
売上高1500万円/保険外交員(福岡県)
これまではご自身で白色申告をされてきましたが、売上が上がってきたので税理士との顧問契約を検討しているというご相談です。
ご紹介した税理士とオンライン面談をし、記帳代行、確定申告料込み年間15万円(税別)でご契約されました。
実例2)年間顧問料:200,000円
売上高3000万円/保険外交員(東京都)
ご契約中の税理士がいらっしゃいますが、顧問報酬を下げたいので新しい税理士を探しているというケースです。
外交員報酬以外に不動産収入が100万円程度あり、青色申告で記帳代行も依頼したいというご要望でした。
これまでの年間25万円よりもお安い見積もりを提示した税理士をご紹介し、記帳代行、確定申告料込み年間20万円(税別)でご契約となりました。
実例3)年間顧問料:160,000円
売上高1200万円/個人代理店(富山県)
事業縮小のため現在お付き合いのある税理士との契約継続が難しくなり、新しく税理士を探しているというご相談です。
可能であれば20万円以下で抑えたいというご要望に合う税理士をご紹介し、記帳代行、確定申告料込み年間16万円(税別)でご契約となりました。
実例4)年間顧問料:220,000円
売上高2500万円見込/法人代理店(神奈川県)
株式会社を設立したばかりの保険代理店業の代表者様より、顧問税理士を探しているというご相談です。
はじめての税理士探しでご予算感がわからないため、まずはご面談でいろいろ提案いただきたいというご要望でした。
数名の税理士と面談され、記帳代行、年末調整、決算申告料込みで年間22万円(税別)でご契約となりました。
実例5)年間顧問料:340,000円
売上高5000万円/法人代理店・レンタル業(北海道)
保険代理店とレンタカー業をされている法人の代表者様より、契約中の税理士に不満があるため、新しい税理士を探しているというご相談です。
現在契約中の税理士は、記帳代行と決算申告の事務的な対応しかしていただけず、今より顧問料が上がってもいいので、節税や資金調達などについてもアドバイスいただける税理士に変更したいというご要望でした。
ご予算35万円程度でお探しし、電話面談された税理士と記帳代行、年末調整、決算申告料込み年間34万円(税別)でご契約されました。
確定申告(決算申告)のみを依頼する場合の相場はこちらの記事をチェック
顧問税理士をつけるメリット
売上が上がってきたときや開業といったタイミングで、税理士との顧問契約を検討する方が多いでしょう。
顧問税理士をつけるかお悩みの方のために、顧問契約の具体的なメリットを、檜垣昌幸税理士事務所の檜垣昌幸税理士に伺いました。
Q.保険媒介代理業を営む事業者が、税理士と顧問契約することでどのようなメリットがあるでしょうか?
ー 檜垣昌幸 税理士「複雑な会計・税務処理を任せられる」
税理士と顧問契約をするいちばんのメリットは複雑な会計・税務処理を任せられることです。
保険代理業は保険加入者からの保険料の預り、保険会社からの保険手数料の受け取りというように、一般的な取引の流れ(顧客から直接サービス対価を受け取る)とは違い、三者間での取引です。
また、紹介者に対して紹介料・リベート等を支払う場合、支払う相手先・状況によって紹介料か交際費のどちらに該当するか判断する必要があります。
それ以外でも、給料と外交員報酬の判定等の判断も必要です。
このように会計・税務処理が複雑になるため、一般的な会計・税務の知識だけでは対応できない場合があります。
税理士と顧問契約をしていればそんな複雑な会計・税務処理をその都度、確認することができます。
それ以外でも、税務調査への対応や節税、資金調達の相談等、一般的な企業が税理士と顧問契約をすると得られるものと同様のメリットもあります。
注意すべき保険媒介代理業の会計・税務のポイント
これから保険媒介代理業を開始される方や、自計化をされている保険媒介代理業の方に向けて、注意すべき会計・税務のポイントも檜垣昌幸税理士に伺いました。
Q.保険媒介代理で注意すべき会計・税務のポイントを教えてください。
特に注意すべき点は次の2点です。
(1)収益計上のタイミング
収益計上のタイミングは法人税基本通達2-1-21の7(請負に係る収益の帰属の時期)により、「引渡し等の日の属する事業年度の益金の額に算入される」とされています。
保険代理業の場合の“引渡し等の日”は、保険契約者と保険会社の契約が成立した日が「引渡し等の日」に該当すると考えられます。
「保険会社から保険手数料が支払われた日」を収益計上のタイミングとして処理していると、収益を計上する期がズレ、誤った処理になってしまう可能性がありますので注意してください。
(2)紹介料の支払い
保険加入に際して、紹介者へ謝礼を渡すことも多いと思います。その紹介者が保険加入者の紹介を事業として行っているか否かによって、紹介料の処理方法が異なります。
紹介を事業として行っている場合
→情報提供料(全額経費計上可能)
紹介を事業として行っていない場合
→交際費(中小企業:経費計上の上限800万円 個人事業:上限なし)
しかし、紹介を事業として行っていない場合でも、次の3つの条件をすべて満たせば、情報提供料として全額経費計上が可能になります。
- その金品の交付があらかじめ締結された契約に基づくものであること
- 提供を受ける役務の内容が当該契約において具体的に明らかにされており、かつ、これに基づいて実際に役務の提供を受けていること
- その交付した金品の価額がその提供を受けた役務の内容に照らし相当と認められること
※「租税特別措置法61の4(1)-8(情報提供料等と交際費等との区分)」より
税理士をお探しの「保険代理店・保険外交員」の方へ
税理士は節税対策や資産形成の相談も扱うことがあり、税理士自身が保険代理店として機能しているケースも多くあります。そのため、同業種として業界への理解度が高い一方で、競合になることも考えられます。
税理士選びのポイントとしては、「料金」「事務所との距離」「人柄など相性」「業界への理解度」など、さまざまな要素があります。自身にとって、会社にとって何が重要かよく確認し、面談でよく検討してから実際の契約を行いましょう。
「会社設立のサポートからお願いしたい」「税理士費用が高く感じているので変更したい」「同業種の顧問経験のある税理士が良い」など税理士探しでお悩みの方は、税理士ドットコムの<税理士紹介サービス>までお問い合わせください。経験・実績豊富なコーディネーターがご要望に合う税理士をご提案します。
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