ニセ税理士には気をつけよう!ニセ税理士のリスクや見分け方

個人の確定申告や会社の決算申告などの税務代行ができるのは、税理士資格を持った人のみと税法で定められています。
このため、もし「税理士でない税務に詳しい知人」がいたとしても、確定申告書の作成などをお願いしないようにしましょう。また、税理士資格を保有していないのに税理士を語る「ニセ税理士」による被害も発生していて、国税庁や税理士会のHPなどでも注意するよう注意喚起されています。
そこで、このページでは、ニセ税理士などの税務資格を持っていない人に税務を依頼した場合のリスクや、その見分け方をご紹介いたします。
目次
税理士とは?
税理士とは、税に関する仕事が専門的にできる、税務のスペシャリストのことです。税理士になるために必要な税理士資格は国家資格となっています。
税理士の役割(業務)は税理士法第二条に定義されており、次のような業務を行うことができます。
- 税務代理
- 税務書類の作成
- 税務相談
また、税理士として税理士業務を行うためには、その業務が有償・無償かを問わず、日本税理士会連合会の税理士名簿に登録を行わなければなりません(税理士法第十八条)。
ニセ税理士ってなに?
税理士資格を持たずに、税理士を名乗り、税務業務を行っている人をニセ税理士と呼ばれています。
税理士法第五十二条により、税理士の資格を保有していない人が、税理士業務を行うことは禁止(違法)されています。
税理士法第五十二条 「税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない。」
ニセ税理士へ依頼してしまうケース
まずは「ニセ税理士だと知らずに依頼した」ケースが挙げられます。「税理士」と名乗っているので、信用して業務を依頼したら、実は資格がなく、知らないうちにニセ税理士に依頼してしまうこともあるでしょう。
「ニセ税理士または無資格者だと分かっていて依頼した」ケースもあるでしょう。ニセ税理士や無資格者であれば、報酬が相場よりも安いことから、選んでしまうこともあるかもしれませんが、次に挙げるような大きなリスクがあるので注意が必要です。
また、記帳代行業者のサービスを利用する場合も注意が必要です。税理士が提供しているサービスであれば問題ありませんし、税理士と提携するなど適切に法令を遵守している業者もありますが、そうでないのに決算申告までを請け負っている業者は危険ですのでご注意ください。
ニセ税理士に依頼した場合のリスク
もし、業務を依頼した税理士が、ニセ税理士だった場合、主に次のようなリスクが挙げられます。
税務書類に署名捺印が行えない
本来であれば、各種税務書類は、税理士が作成したら署名捺印をします。ニセ税理士はこの署名捺印が行えないので、税理士が作成した書類として認められなくなります。
税務に関する知識が乏しい/間違っている
税制というのは、毎年改正されているので、常に勉強が必要です。また、資格がないので税務に関する知識が乏しかったり、誤っていたりします。
知らないうちに脱税・粉飾していた
拙劣な処理や申告をするため、知らないうちに脱税・粉飾していたということもあります。
節税アドバイスを受けられない
節税ではなく、明らかな脱税行為を勧められるかもしれませんし、そもそもの節税知識がない場合もあります。
税務調査に立ち会えない/対処できない
税理士ではないので、税務調査が入っても立ち会うことができません。また、問題などが発覚した場合や質問をされたときなどに、書類を作成した者がいないため、対応が難しくなるでしょう。
責任をとらない/逃げる
税理士としての資格も能力もないので、ミスが起きても責任を取らず、逃げたり、突然いなくなる可能性があります。また、ニセ税理士であることが発覚し、逮捕されてしまうこともあるでしょう。
こういったリスクは挙げればキリがないほどありますが、最大のリスクとしては、杜撰な処理・申告であることが発覚し、ペナルティとして加算税や延滞税が発生し、本来は払う必要が無い多額の税金を支払うことになってしまうということや、知らずに行われていた脱税などがあれば、場合によっては逮捕されてしまうことなどが挙げられます。
ニセ税理士を疑うべきケース

知らないうちにニセ税理士を選んでいたらどうしよう。と不安に感じる方もいると思います。次のようなケースに当てはまったら、ニセ税理士である可能性が極めて高いので、注意が必要です。
破格の料金設定
ニセ税理士を選ばないようにするにはまず、破格に安い料金設定の税理士には気をつけましょう。
税理士報酬は税理士が自由に報酬を決めて良いことになっています。そのため、依頼内容が同じでも、料金の見積もりに差が出ることはよくあります。
見積もりがあまりにも格安であれば、ニセ税理士である可能性もあるので、そういった場合は注意が必要です。
ただし、スタートアップ支援等で格安の設定にしている場合もあるので、一概に料金だけでは判断することができません。
できないことが多い
税務調査に立ち会うことができない。資金調達のアドバイスができない。税務書類に署名捺印ができない。
このように、通常であれば税理士ができることを「できない」と言われたら疑ってみましょう。
名義貸しをしている場合に注意!
名義貸しという行為も税理士法上の違反行為となります。名義貸しとは、無資格者が作成した税務書類に、有資格者である税理士が署名捺印をする行為のことです。
よくあるのは、ニセ税理士が本物の税理士に署名捺印してもらう。という場合です。こういった名義貸しという行為もあるので、作成された書類を見ても偽物だとは見抜けない場合がありますので、署名捺印があるからといって、必ずしも信頼に値するわけではないので注意してください。
また、こういった違反行為で懲戒処分を受けている税理士は国税庁のHPで確認することができます。
無自覚のニセ税理士?!
ニセ税理士は、明らかな税理士法違反なので、すぐわかりますが、実は一般の方でも、無自覚で税理士法に違反してしまっている場合があるのです。
例えば、確定申告書の書き方がわからず、知人に書類の作成と申告手続きをしてもらったとします。
謝礼などは特に支払わず、軽い気持ちでお願いしたことですが、この行為は、税理士法第二条の税理士業務に当てはまるので、税理士法第五十二条違反となります。
税理士業務を行うことに、報酬の有無は関係なく、税理士以外の人が税理士業務を行ってはいけません。ということです。
ですから、もし周りに税務に詳しい知人がいても、その人が税理士ではない場合は、税務に関する業務の依頼などは控えましょう。
※税理士法第二条により、「税理士は、他人の求めに応じ、これらの事務を行うことを業とする」と記載されているので、自分の確定申告や会社の決算申告の手続きを行ったという場合は、「他人」に該当しないので、この限りではありません。
ニセ税理士を見抜く方法
ニセ税理士がいかに危険な存在であるかは、おわかりいただけたかと思います。ニセ税理士かも?!と思った際に、確実に見抜く方法は、主に以下の2つが挙げられます。
1つめは「税理士バッジ」を見せてもらう方法です。
税理士は必ず「税理士バッジ」と「税理士証票」と持っているので、これらを所有していれば確実に本物の税理士なので安心してください。「見せられない、失くした」などと言われた場合にはニセ税理士である確率も高くなるので注意しましょう。
2つめは、日本税理士連合会や各税理士会のHPや問合せで確認する方法です。
日本税理士会連合会が運営する税理士情報検索サイトでは、税理士登録されている全国の税理士情報を検索することができます。依頼する予定の税理士名や税理士法人名で検索をしてみてください。
おわりに
ニセ税理士や無資格者への依頼は、ハイリスク・ノーリターンで危険しかありません。「報酬が安い」「お付き合いがあって断れない」という理由があったとしても、デメリットの方がかなり大きいので、絶対にやめましょう。
このページで紹介したニセ税理士を見分ける方法を活用して、きちんと資格を持っている税理士に業務を依頼するようにしましょう。
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