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2020年の年末調整を徹底解説 抜本的な変更点が多く要注意

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2020年の年末調整を徹底解説 抜本的な変更点が多く要注意
写真はイメージ(CORA / PIXTA)

2020年分(令和2年分)では、年末調整に大きな影響を与える税制改正が行われたことにより、基礎控除の引上げや給与所得控除の引き下げなどの抜本的な変更が起きています。

また、申請書の書式が大幅に変更され、これまでの年末調整よりも申請が複雑になります。

さらには、国税庁が推進するペーパーレス化・電子化によってマイナポータル連携が始まるという変更点もあります。

2020年の年末調整は昨年までと何が違うのか、どんな人が増税・減税の影響を受けるのかなどの変更点を、福島直樹税理士が説明します。

●年末調整に影響する税制改正の内容

2020年の税制改正により、年末調整の控除に関する内容が以下のように変更されました。

①給与所得控除の改正

②基礎控除の改正

③所得金額調整控除の創設

④配偶者・扶養親族等の合計所得金額要件等の見直し

⑤ひとり親控除及び寡婦(寡夫)控除に関する改正

新たに創設された控除もありますので、順番に見ていきましょう。

①給与所得控除の改正(給与所得控除の引き下げ)

給与所得控除とは、被雇用者(サラリーマンの方等)に対して適用されるもので、所得税の計算において、最初に給与等の収入金額(以下、年収)から差し引かれている概算経費になります。この控除の額が、一律10万円引き下げられました。

また、年収に応じて区分されている給与所得控除の上限額が220万円から195万円へ引き下げられ、さらに、控除上限額(改正後195万円)の適用対象となる年収が1,000万円から850万円に引き下げられました。

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②基礎控除の改正(基礎控除の引き上げ)

基礎控除はこれまで適用されるための要件が必要なく、全ての納税者の所得から38万円が控除されていました。

今回の改正に伴い、合計所得金額に応じた適用要件が設定され、かつ、基礎控除の額が最大48万円に引き上げられることとなりました。

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■改正に伴う所得税への影響は、年収850万円超の場合に実質的な増税に

①給与所得控除の引き下げ、②基礎控除の引き上げの改正についてまとめると、年収が850万円以下の方には、ほとんど影響がありません。

しかし、年収が850万円を超えると、改正前よりも年収から控除される金額が少なくなるため、実質的に「所得税の増税」となります。

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③所得金額調整控除の創設

年収が850万円を超えると、実質的に「所得税の増税」となりますが、介護や子育てをする世代の税負担を軽減するため、「子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除」が創設されました。

その年の年収が850万円を超える人で、㋑本人が特別障害者である場合、㋺23歳未満の扶養親族がいる場合、㋩特別障害者である同一生計配偶者または扶養家族がいる場合、のいずれかに該当する場合には、年収(その年収が1,000万円を超える場合には1,000万円)から850万円を控除した金額の10%に相当する金額(上限15万円)を給与所得の金額から控除することとされました。

年末調整で所得金額調整控除の適用を受ける場合には、「所得金額調整控除申告書」の提出が必要となります。

④配偶者・扶養親族等の合計所得金額要件等の見直し

①~③の改正に伴い、下記5つの合計所得金額要件も見直されました。

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※配偶者特別控除額の算定の基礎となる配偶者の合計所得金額の区分についても、それぞれ10万円引き上げられました。

⑤ひとり親控除及び寡婦(寡夫)控除に関する改正

所得者がひとり親で、下記の要件を満たす場合には、ひとり親控除として、その人のその年分の総所得金額から35万円を控除することとされました。

a)その人と生計を一にする子を有すること

b)合計所得金額が500万円以下であること

c)その人と事実上婚姻関係と同様の実情にあると認められる人がいないこと

年末調整でひとり親控除の適用を受ける場合には、「給与所得者の基礎控除申告書」の提出が必要となります。

■実務上の注意点 従業員への事前の周知・アナウンスの重要性

これまでの配偶者控除等申告書の様式が変更になり、新たに加わる「給与所得者の基礎控除申告書」と「所得金額調整控除申告書」が合体し、1枚の様式になります。

従業員ごとに記入する項目が変わるため、記入漏れ等が例年以上に発生する可能性があります。記入項目や内容のチェック、計算内容の確認などが煩雑となるため、担当者のミスの原因にもつながります。

「誰が」「どこに」記載するかを個別に把握したうえで、従業員へのアナウンスや書類の正しい書き方の指導を、事前に適切に行う必要があります。

●年末調整業務の電子化・マイナポータル連携とは?

年末調整手続きに必要な控除証明書等について、従業員から書面で提供を受ける必要がありましたが、一定の要件を満たせば電子化を行うことができるようになりました。

国税庁から無償提供されている年末調整ソフトをダウンロードし、マイナンバーの個人向けサイト「マイナポータル」と連携させれば、金額等の必要項目が自動入力され、勤務先に送信することで手続きを完了させることができます。

<年末調整手続きの電子化による主な変更点>

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※控除証明書等が保険会社からデータで提供される予定

■年末調整業務の電子化・ペーパーレス化の注意点

メリットが多く感じられる電子化・ペーパーレス化ですが、事前の準備も必要です。

注意点①:電子化対応をする場合には税務署への届出が必要

従業員から年末調整申告書に記載すべき事項を電子データにより提供を受けるためには、勤務先があらかじめ税務署に「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」を提出し、その承認を受ける必要があります。

注意点②:控除証明書発行主体の電子データ対応

控除証明書等のデータ提供は義務ではないため、銀行や保険会社、税務署といった控除証明書等発行主体の全てが電子データの提供に対応しているとは限りません。

実際に、地震保険料控除については、控除証明書のデータ提供は今回の年末調整では実施ができないと言われています。

■マイナポータル連携に関する注意点

マイナポータル連携を利用するには、マイナンバーカードの取得及び、ICカードリーダライターまたはマイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォンなど事前準備が必要です。

■最後に

改正後、初年度となる今回の年末調整業務は、例年以上に負担が増えると予想されます。改正のポイントを踏まえ、デジタルサービス等の活用することで、業務簡略化を検討されてみては、いかがでしょうか。

【取材協力税理士】
福島 直樹(ふくしま なおき)税理士
日本クレアス税理士法人 ディレクター。2015年税理士登録。個人・法人を問わず4,000を超える幅広いお客様にサービスを提供している同社にて、会計・税務業務に携わる。
事務所名 : 日本クレアス税理士法人
事務所URL: https://j-creas.com/

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