泉佐野市「閉店キャンペーン」Amazonギフト券100億円 ふるさと納税、国をまたも刺激

2017年度に全国トップの135億円を「ふるさと納税」で集めた大阪府泉佐野市は2月5日、100億円分のAmazonギフト券を還元するキャンペーンを始めると発表した。総務省がAmazonギフト券を返礼品にすることを問題視するなか、「支援者への感謝」として行う。
●「返礼率」実質5割超も
2月1日〜3月31日の期間限定で、泉佐野市の特設サイト「さのちょく」(https://furusato-izumisano.jp/ )から寄付を申し込んだ人が対象。返礼品の配送時期を5月以降に指定すれば、Amazonギフト券の還元率は最大20%になる。
寄付額のバリエーションは様々で、1万5000円を寄付して返礼品がビール1ケースの場合、Amazonギフト券3000円分がもらえる(通常の配送月ならAmazonギフト券は1000円分)。
例えば1万5000円の寄付ではエビスビール1ケースも選べるが、実際の売値は5000円台前半。ここに3000円分のAmazonギフト券が加わり、「返礼率」は実質5割を超える。総務省が「返礼率は3割以下」「返礼品は地場産品」と求め、多くの自治体が従うなか、「お得度が高い」と話題になる可能性がある。
多くの場合、自治体ではふるさと納税のポータルサイトに対し、手数料などとして寄付額の10%前後を払っている。だが今回、泉佐野市は自前の特設サイトを使っての寄付だけを対象にすることで、その分を浮かせ、Amazonギフト券を用意する費用にあてることにした。
●総務相、釘さしたばかり
ふるさと納税の返礼品は、法改正により、6月から規制が一段と強化される見通しだ。
その前のタイミングでAmazonギフト券を返礼品とし、高い返礼率で寄付を募る自治体に対しては、「法改正という制度的なすきまをとらまえた行動は、良識ある行動とは思えない」と、石田真敏総務相が苦言を呈したばかり(1月11日の閣議後会見)。
泉佐野市はAmazonギフト券を単独の返礼品とせず、もらえる返礼品のオマケだと位置付けている。キャンペーンの構想は2018年4月ごろから練っていたという。阪上博則・理事は「総務省を刺激することになるかもしれないが、ケンカを売るつもりはない」と取材に話した。
泉佐野市は、過去に財政難の状態に陥った経験から、「歳入を増やすための攻めの改革の一つとして、ふるさと納税に力点を置くことにした」(千代松大耕・市長)としている。総務省が目指す法規制に対しては「一方的な見解に基づく」とし、公然と再考を訴えてきた。