Jリーグ驚きの「補強プラン」 資本金スリムに、徹底「節税」
税金・お金

J2など、プロサッカーで経営基盤が強くないチームは、選手の補強にあてる資金を工面するのに苦労している。スポンサーによる大口の出資のほか、「減資」による「節税」も有効な手段という。いったいどういうことなのか。
昨年11月、サッカーJ2の「FC岐阜」の運営会社は臨時取締役会を開き、約2億6900万円あった資本金を8000万円に減らす議案を承認した。岐阜新聞によると、これにより約1100万円の節税効果があり、クラブではこの資金を活用し選手補強費を増やすという。
Jリーグの資料によると、2017年度決算ベースで、J2では山形、水戸、岡山、山口、讃岐、大分の6チームが資本金1億円未満となっている。ここに岐阜が加わることになる。
減資がどう節税につながるのかなどについて、J2のジェフユナイテッド市原・千葉のサポーターでもある高橋創税理士に聞いた。
●数百万円の節税効果
ーー減資をすると税制上どんないいことがあるのでしょうか
「税金の世界では、資本金1億円以下を中小法人といい、税金が安くなるような措置がとられています。
中小法人は、課税所得が800万円以下の部分については法人税の軽減税率が適用されますし、普通は認められない交際費も800万円まで認められます。
この2つだけでも数百万円の節税効果があります。さらに赤字であっても課されてしまう地方税の外形標準課税も課税の対象外となるなど、ほかにも税金面では良いことづくめです」
ーー良いことずくめならみんな減資をすればいいとも思いますが、そうはなっていない理由は何でしょうか。デメリットが何かあるのでしょうか
「資本金は一般に会社の体力を表すものと考えられますので、大きければ大きいほどイメージや信用度は向上すると考えられます。
実際には会社の信用と資本金の大きさは直結するわけではないのですが、減資をすることによるイメージダウンや銀行融資が受けにくくなってしまうことを恐れているのかもしれないですね。
Jリーグのチームであれば強くなることが信用度を高めるような気もしますので、節税をしてその分補強をしていただきたいところではあります。
とはいえ、例えば『資本金100万円のサッカーチーム』というのもちょっと不安な気になりますので、そのあたりはうまくバランスを取っていただきたいですが」
【取材協力税理士】
高橋 創 (たかはし・はじめ)税理士
資格予備校講師(所得税法)、会計事務所勤務を経て、2007年に独立。
事務所名 : 高橋創税理士事務所
事務所URL: https://takahashi-hajime.jp/