FAXは将来なくなる? 税理士たちの声 「全てが無駄」だけど「税務署とのやり取りで多用」
税金・お金

企業の現場で今でも多用されているFAXについて、花王が一掃に乗り出したことが日経コンピュータで報じられ、SNSで話題になりました。
日経コンピュータによると、花王の場合、大手スーパーや量販店とは、電子取引を介して受注していましたが、業務用製品の取引先には中小企業が多く、受注件数の6割がFAXで届いていたそうです。
今回、病院やホテルなど、約5000の顧客について、中小企業共通EDIへの移行を図り、受発注のコストを抑える狙いがあるそうです。
今後、さらに電子化が進む中で、FAXをどうするのかは、様々な業界で課題になりそうです。今回、中小企業の現場、さらに税理士業務でのFAXのやりとりについて、税理士ドットコムに登録している税理士にアンケートを実施しました。
●「事業者が高齢化している状況ではFAXの使用は不可欠」の声も
回答した税理士は33人。「中小企業の現場において、今後、FAXの利用はなくなる方向に進むのか」という質問に対して、「はい」が54.5%、「いいえ」が33.3%、「わからない」が12.1%で、意見が割れました。
その理由について、自由回答で尋ねたところ、「はい」と回答した税理士からは、「メールの利用者が多くなっていることに加えて、写メやPDF化が進みデータのやり取りが今以上に進むと考えられる」(税理士法人悠久 杉本会計事務所)、「メールで代替できる。メールは誤配のリスク、個人情報が他人の目に触れるリスクが小さい」、「全てが無駄、メリットが無い」などの声が寄せられました。
「いいえ」と回答した税理士からは、「建設業では、請求額の確認等普通に使われている。若くてもITリテラシーの低い人がまだ多い」(相田謹典税理士)、「50代以上の方ではPCの使い方がわからないといっておられる方が多いから」、「事業者が高齢化している状況ではFAXの使用は不可欠」などの声があがりました。
●税理士業務では「すでに、やむを得ない場合以外使っていない」の声も
また、「税理士業務で、今後FAXの利用がなくなる方向に進むかどうか」という質問に対しては、「はい」が57.6%、「いいえ」が27.3%、「わからない」が15.2%で、こちらも意見が割れました。
その理由について、「はい」と回答した税理士からは、「年配の先生が廃業され、若い税理士が主体となれば」、「すでに、やむを得ない場合以外使っていない」、「実際業務でほとんど使わなくなった」、「私の事務所では始めからFAXは置いていませんが、何ら不自由はないです。不便で不安定なのにお金だけはかかる、社会の効率化の障害になっている機器」などの声が寄せられた。
一方、「いいえ」と回答した税理士からは、「中小企業の現場でFAX文化がなくならないことに加え、税務署とのやり取りでFAXが多い。また、税理士会の研修の申し込みなどもいまだにFAXしかなかったりするため」(Pision合同会計事務所)、「税理士会からはほとんどFAXで連絡があります」、「顧問先が100%がPDF等で処理できるか疑問」など、現実を踏まえた声が寄せられた。
このほか、インターネットFAXを利用して、FAXを使いながらも、ペーパーレスになっているという意見も複数あった。