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「新聞の軽減税率適用」直近の社説で論じた新聞はゼロ 飲食料品の議論は活発なのに…

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「新聞の軽減税率適用」直近の社説で論じた新聞はゼロ 飲食料品の議論は活発なのに…
新聞各紙

10月1日の消費増税が迫ってきました。増税と同時に導入される、軽減税率には、飲食料品の他に新聞も含まれます。インターネット上では、「なぜ生活必需品の生理用品やオムツが10%で新聞が8%なのか」といった議論も起こっています。また、部数が減る紙の新聞は8%のままで、普及している電子版は10%など、理解に苦しむ部分が少なくありません。新聞社の主張を掲載する「社説」で、新聞の軽減税率適用について論じた新聞社はあるのでしょうか。直近3カ月の全国紙と一部の地方紙の社説を調べてみました。(ライター・国分瑠衣子)

●全国紙5紙とブロック紙3紙の社説をチェック

調べたのは、朝日、読売、毎日、産経、日本経済新聞の全国紙5紙と、地方紙の中でも発行部数が多い、北海道、中日、西日本新聞の3紙です。データベースで調べました。その結果、新聞の軽減税率について社説で論じた社はゼロでした。

もちろん軽減税率について触れている社説はたくさんあります。多くがキャッシュレス決済によるポイント還元の公平性や、税率が異なるイートインとテイクアウトで消費者が混乱しないよう対策を求める内容です。

一部を紹介すると――。

「(ポイント還元制度は)キャッシュレスに不慣れな消費者や中小零細店から、不満が出かねない。そうした人たちへの目配りも忘れてはならない」(読売新聞、9月1日付)

「飲食料品が中心の軽減税率導入やキャッシュレス決済時のポイント還元など、増税による国民負担増を上回る総額2兆円超を投じる。そうまでしないと景気が腰折れするなら、本来であれば増税自体を見送るのが筋」(北海道新聞、9月1日付)

「飲食コーナーのある小売店などは、利用者が混乱しないよう準備を進めてほしい」(日本経済新聞、8月31日付)

「キャッシュレス決済時のポイント還元制度は(中略)、複雑になる上、恩恵を受ける人が限られる。もともと増税対策という位置付けが無理だろう」(西日本新聞、9月1日付)

以上のように、各社が増税について積極的に論じています。

しかし、新聞については、適用されるという事実の説明は若干ありましたが、論じる対象としている社説はなく、歯切れが悪い印象を受けます。新聞の軽減税率は、「一般社会的事実を掲載し、週2回以上発行される新聞」に適用されます。一般紙やスポーツ紙、業界紙などが対象です。ただし、定期購読されている新聞が対象で、駅売りの新聞は対象外になります。また、スマートフォンなどで読む「電子版」も10%が課税されます。

●朝日新聞で湯浅誠さんが「議論がほとんど紙面にない」とツッコミ

新聞社のはっきりとした見解が分からず、モヤモヤする中で、2019年4月16日付けの朝日新聞朝刊に、興味深い記事を見つけました。「年越し派遣村」の村長で、内閣府参与も務めた湯浅誠さんが、「新聞に軽減税率が適用されたことについての議論が、朝日新聞紙上でほとんど展開されていなかった」と指摘し、朝日新聞社のゼネラルエディターに「紙面展開が少なかったのはなぜか」と迫っています。

湯浅さんの問いに対し、ゼネラルエディターは「会社として『民主主義を支え活字文化を守るためには、知識への課税は最小限度にとどめるべきだ』との考えがあります」と話します。その上で「世の中に表明しているこの立場を横に置いて、多様な意見を紹介しても『アリバイづくり』に見られるだけではないか、という懸念がありました」と説明し、「新聞への軽減税率適用の是非を超えて、『新聞は民主主義社会のインフラだ』とみなさんに認めてもらえるような良質な紙面を届け続けることが、ご理解を得る近道だと考えています」と理解を求めています。

湯浅さんはこの説明に対し、「紙面で取り上げないことで自社への利益誘導と見られるおそれもあるのでは」と迫り、「『良質な紙面を届け続ける』だけでは弱いのでは」と疑問を投げかけています。

●新聞協会「欧州では食品よりも新聞の課税率が低い国もある」

新聞社や通信社など、129社が加盟する日本新聞協会は「知識に課税してよいのかという立場から、税の軽減を30年近く要望してきてきました」と説明します。同協会によると、ヨーロッパでは、食品よりも新聞の課税率が低い国もあるといい、「今後も駅売りや、電子版の新聞が軽減税率の適用対象になるよう要望を続けます」と話します。

同協会が9月に全国の加盟社向けに作成した、軽減税率のQ&A集では「インターネット上に情報があふれる中、なぜ新聞に軽減税率が適用されるのか」といった質問を掲載しているといいます。どう回答しているかについて聞きましたが、「あくまで加盟社向け、ということで公表は差し控えたい」ということでした。

租税法の専門家で軽減税率に反対の立場の、青山学院大の三木義一学長は「新聞は軽減税率の導入が決まるまで、問題点を積極的に報道しなかった。新聞の他にも、医療や公共交通機関など生活に必要なモノやサービスはある」と指摘します。

軽減税率の適用は、新聞社のためではなく、新聞の読者、ひいては国民のためにあるはずです。朝日新聞のゼネラルエディターが言うように、仮に「アリバイづくり」と見られてしまうにしても、もっと新聞社自身による説明や、多様な議論の紹介があった方がいいのではないでしょうか。

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