確定拠出年金とは?特徴と節税効果のまとめ

老後に備え、貯金だけでなく投資などをしている人もいるでしょう。日本には年金制度がありますが、公的年金だけで生活をしていくことは困難です。その不足分を補うための方法はいろいろありますが、今回は確定拠出年金についてみていきましょう。確定拠出年金の特徴から、メリットである節税効果に関してまとめました。老後資金の計画の一助になれば幸いです。
目次
確定拠出年金とは?
年金は、以下の表のように、公的年金・企業年金・私的年金の3種類に分けられます。公的年金は加入の義務がある国民年金や厚生年金のことです。企業年金や私的年金は、老後に備えて企業や個人が自主的に加入します。
区分 | 種類 |
---|---|
公的年金 | 国民年金・厚生年金・共済年金 |
企業年金 | 確定給付企業年金・厚生年金基金・企業型確定拠出年金 |
私的年金 | 国民年金基金・個人年金保険・個人型確定拠出年金 |
確定拠出年金は企業年金・私的年金の両方に分類することができます。企業年金のタイプを企業型確定拠出年金といい、私的年金のタイプを個人型確定拠出年金といいます。
確定拠出年金は銀行や信用金庫などが運営管理機関となります。毎月一定額の掛金を納め、預貯金や投資信託、保険などの商品を原則として自身で運用することにより、将来の年金額を増やしていきます。
企業型確定拠出年金の場合は企業が導入を決め、掛金を全部または一部負担します。企業型確定拠出年金の場合でも、加入者自身が運用し、運用の損益に関して責任を負います。
確定拠出年金は、老後の所得保障を目的とするもののため、中途解約して払い戻しを受けることはできません。原則60歳から年金として、もしくは障害給付金や死亡一時金として受取ることができます。
加入要件
確定拠出年金は、誰もが加入できるわけではありません。もともと企業年金のないサラリーマンや自営業者に向けてつくられた仕組みです。また掛金には上限が決まっています。それぞれのタイプ別にみていきましょう。
企業型確定拠出年金
企業を通じて加入するタイプです。加入できるのは国民年金第2号被保険者で、企業型年金規約の承認を受けた企業に勤務する従業員です。掛金の月額上限は以下のとおりです。
- 厚生年金基金等の確定給付型の年金を実施していない場合:55,000円
- 厚生年金基金等の確定給付型の年金を実施している場合:27,500円
個人型確定拠出年金
加入できるのは国民年金第1号被保険者または国民年金第2号被保険者で、企業型年金加入者、厚生年金基金等の加入員の対象となっていない企業の従業員です。対象外の公務員や会社員の配偶者も、今後加入できるよう、現在法改正の審議が進められています。
掛金は加入者自身が全額負担します。掛金の月額上限は以下のとおりです。
- 国民年金の第1号被保険者:68,000円(国民年金基金との合計の上限)
- 国民年金の第2号被保険者:23,000円
4つの特徴
確定拠出年金の特徴として以下の4点を挙げることができます。
- 加入者自身が運用方法を決定し、結果その損益が老後の年金に反映されます。リスクはありますが、運用次第で年金額を増やすことができます。また、元本保証型のものを選ぶこともできます。
- 原則60歳から受け取ることができるため、公的年金が支給される65歳までのつなぎ資金とすることができます。
- 加入者ごとに個人管理されている為、転職をした場合でも積み立てた資産を移管することができます。
- 掛金額の変更や中断、再開をすることができます。拠出を停止しても、運用のみをすることができます。
3つの節税効果
確定拠出年金が普及したことの一因に、節税効果が高いことが挙げられます。どのような節税ができるのでしょうか。確定拠出年金は「支払時」「運用中」「受取時」それぞれのタイミングで税制上の優遇措置を受けることができます。
毎月の掛け金支払時
掛金の全額を所得から控除できます。したがって所得税・住民税の節税につながります。
他の個人年金保険と比較すると、個人年金保険に新規加入した場合は、年間で40,000円までを控除できます。一方、確定拠出年金の場合、仮に個人事業主で月額上限の68,000円を拠出していた場合、年間816,000円まで控除することができます。
企業型確定拠出年金の場合も、個人払いの分はもちろん控除できます。企業が拠出した分も全額損金扱いになるため、企業の節税メリットも大きくなります。
運用期間中
運用益は非課税となります。利息や配当、運用益などに通常かかる20.315%の税金がかかりません。このため、投資信託などを行う場合と比べると、非課税となる分、節税につながります。
年金受け取り時
60歳になり、年金を受け取る時の方法は、以下のいずれかになります。
- 一時金としてまとめて受け取る
- 年金として何年かに分けて受け取る
- 一部を一時金とし、残りを年金として受け取る
確定拠出年金と個人年金では受け取る時、所得の区分が以下のように異なります。
保険の種類 | 一時金 | 年金 |
---|---|---|
確定拠出年金 | 退職所得 | 雑所得の公的年金等控除の対象 |
個人年金保険 | 一時所得 | 雑所得 |
退職所得は加入年数により控除額が決まっています。最低でも40万円×加入年数が非課税となります。一時所得の場合、控除額は他の一時所得も含めて、50万円です。
公的年金控除とは、公的年金の収入金額によって、65歳未満は最低70万円、65歳以上は最低120万円が非課税となります。
このように、受け取り時についても、個人年金保険への加入と比べて節税メリットは大きいものとなっています。
おわりに
一般的な投資ではおよそ2割が課税されてしまいます。老後のことを考えて貯蓄運用していくには、確定拠出年金はいい仕組みかもしれません。ただし、自己運用する分のリスクが伴いますので、経済情勢等を見極めながら慎重に投資商品を選ぶようにしましょう。
税理士をお探しの方は税理士紹介サービスをご利用ください。
もっと記事を読みたい方はこちら
無料会員登録でメルマガをお届け!