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【不動産所得の節税まとめ】家賃収入で経費になるものは?具体例と会計処理の注意点

監修: 山岡 輝之 税理士

アパート経営などがうまくいって徐々に収入が増えてくると、考えなければならないのが「節税対策」です。せっかく収入が増えてもその分税金負担が重くなってしまうと、手元資金がなくなってしまい、物件の競争力を高める設備の導入や修繕などに資金を回すことが難しくなってきます。

そこで本記事では、アパート経営などを行っている不動産投資家や大家さん向けに、知っておくべき節税対策や必要経費について詳しく解説します。

目次

不動産所得など家賃収入にかかる税金

アパート経営などの家賃収入によって生じる利益については「不動産所得」に区分され、他の所得と合算した総所得に基づいて所得税や住民税が課税されます。

また、アパート経営が次のいずれかの規模を上回る場合については、「事業的規模」として認められます。青色申告で65万円の特別控除などのメリットがある一方で、所得が290万円を超えると個人事業税の納付も必要になります。

  • アパートの場合は賃貸できる部屋が10室以上
  • 独立家屋の場合は概ね5棟以上

事業的規模として認められた場合のメリット

青色申告の届け出をし、複式簿記による記帳などを行うことが必要ですが、次のようなメリットを受けることが出来ます。

  • 青色申告特別控除が適用できる(最大65万円の特別控除)
  • 専従者控除が適用できる
  • 青色申告により3年間の繰り越し控除が適用できる
  • 回収不能な家賃を貸倒損失として必要経費にできる

不動産所得の計算方法

不動産所得は収入金額から必要経費を差し引いて算出します。

不動産所得=収入金額−必要経費

アパート経営の主な収入金額と必要経費は以下のとおりです。

  • 収入金額:家賃、管理費、更新料、礼金など
  • 必要経費:減価償却費、仲介手数料、広告費、管理料、手数料、修繕費、税金、損害保険料 など

不動産経営(事業)に直接的関係のない支出については、必要経費とは認められません

不動産業におすすめの節税対策

不動産所得は高額になるにつれて税率がどんどん高くなっていき税負担が重くなるので、家賃収入が一定以上の金額になってきたら手元にキャッシュを残していくためにも、適切な節税対策を講じていく必要があります。

ここでは、数ある節税対策の中でも、不動産賃貸経営に適した節税対策を紹介します。

平均課税の適用

家賃収入は概ね一定額で推移し、前年と比較して金額が大きく変動することはほとんどありませんが、契約更新などで一時的な収入が重なり、その年だけ納税負担が重くなるケースがあります。

このような場合は「平均課税制度」を適用することで、毎年の平均的な金額(平均課税所得金額)をベースとして課税計算でき、一時的な負担増を回避することが可能です。

具体的には、3年以上賃貸していて頭金などを2年分以上受け取るような場合について、平均課税制度を適用することで、年によって税負担が大きく変動することを回避できます。

平均課税制度の適用可否については、本人の不動産以外の所得状況によっても変わってくるため、詳しくは税理士に確認することをおすすめします。

別の所得と損益通算する

不動産所得については、必要経費にはなるもののキャッシュアウトはしない減価償却費が計上できることから、キャッシュフロー上は黒字でも不動産所得が赤字になることがあります。

不動産所得で生じた赤字については、他の所得から相殺することができるので、個人の総所得を引き下げて節税に役立てることができます。

たとえば、株式による配当所得がある方については、不動産所得の赤字分を配当所得から差し引いて総所得を減らすことができます。

未収家賃は貸倒損失として計上する

家賃滞納が発生した場合、実際にキャッシュが入金されていなくても会計上は売上として計上することになるため、そのままにしていると未入金の家賃に対して税金が課されることになってしまいます。

後から家賃が遅れて入金されればよいのですが、現実的に回収ができない状況であれば「貸倒損失」として処理することが重要になります。

ただし、家賃滞納を貸倒損失として経費化できるのは、次のような事情が認められる場合に限られます。

  • 賃借人が自己破産して債務免除されたような場合
  • 賃借人に返済するだけの資力がないことが明らかな場合
  • 賃借人が退去して1年以上経過している場合

このように家賃滞納であれば何でも認められるというわけではないので注意しましょう。

本則課税を選択する

不動産賃貸経営の節税対策でひとつのポイントになるのが「消費税」です。

消費税は、収入金額に課税されて預かった消費税から、必要経費などで支払った消費税を差し引いてその差額分を納税します。

アパート経営の主な収入源である家賃収入(居住用)は、消費税が非課税なので、収入に対する消費税はほとんどありません。

対して、管理会社に支払う管理料や仲介手数料などについては消費税が課税されるので、預かった消費税よりも支払った消費税の方が多くなるケースが一般的です。消費税を多く払いすぎた場合には消費税の還付を受けることができます。

消費税の計算方法は、次の2通りありますが、消費税の還付を受けるためには「本則課税」を選択する必要があります。

  • 本則課税
    1事業年度で預かった消費税と支払った消費税のすべてを算出して計算する方法
    ※原則課税(一般課税)とも呼ばれます
  • 簡易課税
    預かった消費税にみなし仕入れ率をかけた金額を納めた消費税とする方法

簡易課税は本則課税に比べて非常に計算が簡単で、基準期間の売上が5,000万円以下の小規模事業者であれば選択することが可能ですが、消費税の還付は受けられなくなるのでアパート経営など還付が生じやすい業種については、本則課税を選択したほうが有利です。

また、基準期間の課税売上高が1,000万円以下の場合は消費税の免税事業者となることも可能ですが、免税事業者になると消費税の還付は受けられなくなってしまいます。売上高が1000万円以下の場合でも、「課税事業者選択届出」を所轄の税務署に提出し、あえて本則課税を選択することで、消費税の還付を受けることができます。

法人化の検討

不動産所得が事業的な規模になってきたら、法人化を検討することで次のような節税メリットを期待することができます。

  • 不動産賃貸業に関わらず、事業目的の支出は全て経費として計上できる
  • 個人に集中していた所得を、家族に役員報酬あるいは給与としてを出すことで所得分散できる
  • 所得税の累進課税であり、所得が高額になると税率が高くなるため、法人税の方が安くなるケースがある

このように、節税におけるメリットが複数あります。ただし、個人の確定申告とは違い、決算申告は難易度が高いので、税理士に依頼する必要性が出てくるでしょう。

経費として認められる具体例

アパート経営をしている方が効率的に節税するためには、経費として認められている項目を理解しておくことが重要です。

経費として認められる具体例

減価償却費、管理費、各種税金(固定資産税、登録免許税、不動産取得税など)、損害保険料、仲介手数料、広告費、ローン返済額の利息部分 など

次の項目については計上が漏れてしまいやすい項目なので、意識しておくようにしましょう。

  • 接待交際費
    保有物件が増えてくると、管理会社や不動産会社の担当者、さらには顧問税理士などと飲食店で打ち合わせをする機会が出てきます。その際に支出した飲食費については、接待交際費として経費にできます。
  • 研修図書費
    不動産経営に関するノウハウを獲得するために外部研修等に参加されたり、書籍を購入する場合には、その発生した費用も経費にできます。
  • 交通費
    遠方の物件に投資している方については、現地まで赴いた際にかかった電車代、ガソリン代、高速道路代、駐車場代など交通費として経費にできます。
  • 通信費
    管理会社や不動産会社、入居者との連絡に使用する携帯電話の通話料、書類の郵送代などは通信費として経費にできます。私用の携帯電話の場合は、通話明細から経費に該当する通話をピックアップして経費にします。
  • 青色事業専従者給与
    青色申告している場合は、家族に支給した給与を全額経費にできます。

経費として認められないもの

個人としてアパート経営をしている場合については、賃貸経営の利益のために支出したものしか経費にできません。たとえば、家族旅行のついでに物件現地に立ち寄ったというだけでは、費やした旅費について経費として認められない可能性が高くなります。

また、ローンを利用して不動産を購入している場合、利息を経費にできますが、元本部分の返済は経費にはなりません。

会計処理の注意点

賃貸経営における会計処理については、慣れるまで判断に迷う部分が多々あります。その中でも特に注意が必要な点があります。

事業的規模の判断

先ほども少し触れましたが、賃貸経営が事業的規模として認められると不動産所得よりも節税がしやすくなります。

一般的には5棟10室以上が基準となりますが、個別の事案に応じて判断が微妙に変わってくる場合もあります。

資本的支出の判断

賃貸物件の内装費用については、必要経費としてその年の家賃収入から差し引くことができますが、工事費用が60万円以上、または物件購入価格のおよそ10%を超える高額な工事を行った場合については、資本的支出として固定資産に計上しなければなりません。資本的支出にあたるかどうかは、判断が難しい部分です。

事務所の賃貸は消費税がかかる

居住用として賃貸する場合の家賃は消費税が非課税となりますが、事務所などとして貸し出す場合には、賃借人が法人か個人かは関係なくその家賃には消費税がかかります。

また、事務所の共益費なども同様に消費税の課税対象となります。なお、保証金や礼金のうち、返還を要しないものは課税、返還を要するものは対象外となります。

不動産所得が赤字の場合の損益通算

不動産所得が赤字の場合、他の所得と損益通算ができることになっていますが、土地取得にかかる借入金の利息部分は損益通算ができません。会計処理によって黒字化するべきか、また、黒字化が可能かどうか判断が求められます。なお、建物部分の取得にかかる借入利子は損益通算の対象となっています。

親族に無償で貸している場合

賃貸物件を親族に無償で貸与している場合については、減価償却費や固定資産税などについて必要経費として認められません。さらに、家賃相当分の贈与があったと判断されてしまう恐れもあります。

身内に物件を無償貸与する場合は、経費処理だけでなく贈与税への対応など必要な対処を行いましょう。

おわりに

「賃貸経営は税金との戦い」という言い方をする大家さんもいるくらい、家賃収入等にはシビアに税金が課税されます。何の対策もしないと、せっかく規模を拡大しても税負担が大きくなるばかりで、手元にお金が残らなくなってしまいます。

賃貸経営は他の事業や投資に比べ、収入金額が比較的安定しているので、適切な節税対策をとるかとらないかで本人の手取り額は大きく変わってきます。

物件のリフォームや内装工事をした際における資本的支出の判断や消費税の還付などについては、判断が難しいことがあり納税額にも大きく関わってくるので、自己判断せずに節税対策なども合わせて税理士に相談してアドバイスしてもらうようにしましょう。

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