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青色申告の「専従者控除」まとめ〜節税額シミュレーション・届出書の書き方〜

毎年2月と3月は、個人事業主やフリーランスの方にとっては悩ましい確定申告の準備を行う時期です。この確定申告は、白色申告と青色申告の2種類に分かれます。

事前の届出を行い、手間をかけて細かく申告する青色申告には、その分、節税につながる多くのメリットが用意されています。

このページでは、その節税効果のひとつである青色申告の「専従者控除」について、どのような場合に専従者といえるのか、その節税効果や仕訳方法、手続きの方法などについて、詳しくご説明いたします。

目次

専従者控除とは?

個人事業主などが、その仕事を手伝う家族に対して支払う給与は、原則として経費には認められていません

ただし、一定の要件を満たした場合には、所得を控除し支払う税金を少なくできる仕組みがあり、この仕組みのことを「専従者控除」といいます。

専従者控除は、専従者(事業専従者)に支払った給与が対象で、事業主が白色申告か青色申告かによって、 その控除額が異なります。

事業専従者の要件

専従者(事業専従者)とは、簡単に言えば、個人事業主の方が経営する事業に、従業員として従事する家族(配偶者や親族)のことを指します。

税法によって事業専従者と認められるのは、以下の2つの要件に当てはまる人のことです。そして、その専従者に支払う対価(給与)を専従者給与といいます。

  • 事業主と生計を一にする15歳以上の配偶者・親族
  • 年間6か月以上その事業に専ら従事する

白色申告を選択している事業主の事業専従者を事業専従者、青色申告を選択している事業主の事業専従者を青色事業専従者といいます。

事業専従者給与の控除

事業専従者が配偶者であれば最高で86万円、配偶者以外は最高で50万円を、事業専従者控除として、事業主の所得から控除することができます。確定申告時には、書類にこの控除の金額や必要事項を記入して提出します。

青色事業専従者給与の控除

事業主が青色申告の場合で、後述する特定の要件を満たときに、支払う給与のことを青色事業専従者給与といいます。

青色事業専従者給与は、全額を経費として扱うことができるので、大きな節税効果があります。 青色事業専従者を雇用する最大のメリットはこの点です。

ただし、「青色申告者の事業専従者として給与の支払を受ける人」または、「白色申告者の事業専従者である人」は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれませんので注意が必要です。

青色事業専従者給与の3つの要件

青色事業専従者給与として認められるには、事業専従者の要件にプラスして、以下の3つの要件を満たす必要があります。

「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出

その年の3月15日まで、または、その年の1月16日以後に事業を開始した場合や新たに専従者がいることとなった場合は、事業開始日や雇用開始日から2か月以内に、「青色事業専従者給与に関する届出書」を事前に提出しておく必要があります。書き方などについては後述します。

届出書に記入されている支払い方法・金額を満たすこと

届出書には、職務の内容・給与の額・支払時期を記入します。この記入された内容通り(またはそれ以下の金額)であることが必要です。

労働の対価に見合う金額であること

専従者に支払う給与は、同様の職務内容や職種と比較し、不自然でない、常識の範囲内での金額である必要があります。

届出書に記入しておく金額は「上限額」となります。このため、実際に支給する額より多めに記入しておく場合もあると思いますが、実際の支給額がその労働の対価として適切な金額である必要があります。

なお、記入した金額を上回る支給額になる場合は、再度書類を提出する必要があります。

青色事業専従者給与額の決め方

家族に手伝ってもらう業務は、その事業内容などによって、経理や販売、ちょっとした雑務まで様々なものがあるでしょう。

青色事業専従者給与の要件として、労働の対価に見合う金額であることが求められています。このため、金額を決める場合には、同様の職務内容や職種の給与額を参考にしましょう。

  経理 一般事務 販売スタッフ 販売責任者 SE・プログラマ
年収 347万円 304万円 319万円 409万円 467万円
月収 20~30万円 15~25万円 15~25万円 25~35万円 30~35万円
想定時間給 1250円~1875円 938円~1563円 938円~1563円 1562円~2188円 1875円~2188円

上記は2017年2月時点の、主な求人情報サイトを参考に、職務内容ごとの平均給与をまとめたものです。もちろん、年齢・経験・仕事量・勤務時間などで異なりますので、まずは時間給を定め、「時間給×暫定労働時間」などで決めるとわかりやすいでしょう。

届出書に記入しておくのは上限額のため、平均より高く記入しても良いですが、高すぎると認められないこともあるのでご注意ください。

節税効果シミュレーション比較

青色専従者になると配偶者控除や扶養控除を受けられなくなりますので、節税効果を期待して給与を支払ったのに、逆に税金が高くなってしまうケースもあります。

ですから、専従者給与を最終的に決定するときには、予め納める税額をシミュレートしておくと良いでしょう。

納税額シミュレーション比較表と計算式のまとめ

以下は、個人事業主の夫と配偶者(専業主婦の妻)を例として、その設定条件や納税額、計算式をまとめたものです。

なお、「夫は青色申告事業者で事業以外の収入はなし、妻の給与は全て青色事業専従者給与」とし、その他の扶養親族は考慮していません。また、所得税には復興特別所得税・住民税には均等割分は含めずに単純化してシミュレートしています。

正確な数字を計算するには、細かな情報が必要となるため、ここでは概算で金額を出しています。

※ここでいう収入は、事業で得た「売上から経費」を引いたあとの額とします。(計算の便宜上、青色専従者給与は経費に含んでいません)

ケース1:夫の収入「500万円」専従者給与(妻の給与)「30万円」

  所得税 住民税 個人事業税 合計税額
306,500円 372,000円 90,000円 768,500円
0円 0円 なし 0円

世帯税額合計:768,500円

夫:
■所得税:「500万円 - 65万円(青色申告特別控除) - 38万円(基礎控除) - 30万円(青色専従者給与) = 367万円」 = 367万円 × 20%(税率) - 427,500円(控除額) = 30万6千500円
■住民税:「500万円 - 65万円(青色申告特別控除) - 38万円(基礎控除) - 30万円(青色専従者給与) = 372万円」 = 372万円 × 10%(税率) = 37万2千円
■個人事業税:「500万円(収入) - 290万円(事業主控除) - 30万円(青色専従者給与) = 180万円」 = 180万円 × 5%(税率) = 9万円

妻:
■所得税:30万円(青色専従者給与) - 65万円(給与所得控除) - 38万円(基礎控除) = 0円
■住民税:30万円(青色専従者給与) - 65万円(給与所得控除) - 33万円(基礎控除) = 0円

ケース2:夫の収入「500万円」専従者給与(妻の給与)「なし」【配偶者控除有り】

  所得税 住民税 個人事業税 合計税額
290,500円 369,000円 100,500円 760,000円
0円 0円 なし 0円

世帯税額合計:760,000円

  • 妻の給与はなしで、配偶者控除を利用したほうが税金が安くなりました。

夫:
■所得税:「500万円(収入) - 65万円(青色申告特別控除) - 38万円(基礎控除) - 38万円(配偶者控除) = 359万円」 =359万円 × 20%(税率) - 427,500円(控除額) = 29万500円
■住民税:「500万円(収入) - 65万円(青色申告特別控除) - 33万円(基礎控除) - 33万円(配偶者控除) = 369万円」= 369万円 × 10%(税率) = 36万9千円
■個人事業税:「500万円(収入) - 290万円(事業主控除)」= 210万円 × 5%(税率) = 10万500円

ケース3:夫の収入「500万円」専従者給与(妻の給与)「120万円」

  所得税 住民税 個人事業税 合計税額

179,500円

282,000円 45,000円 506,500円
8,500円 22,000円 なし 30,500円

世帯税額合計:537,000円

  • 妻の税金の負担が増えましたが、トータルで見ると一気に税金が安くなりました。

夫:
■所得税:「500万円(収入) - 65万円(青色申告特別控除) - 38万円(基礎控除)  - 120万円(青色専従者給与) = 277万円」 = 277万円 × 10%(税率) - 97,500円(控除額) = 17万9千500円
■住民税:「500万円(収入) - 65万円(青色申告特別控除) - 33万円(基礎控除)  - 120万円(青色専従者給与) = 282万円」 = 282万円 × 10%(税率) = 28万2千円
■個人事業税:「500万円(収入) - 290万円(事業主控除) - 120万円(青色専従者給与) = 90万円」  = 90万円 × 5%(税率) = 4万5千円

妻:
■所得税:120万円(青色専従者給与) - 65万円(給与所得控除) - 38万円(基礎控除) = 17万円 × 5%(税率) = 8千500円
■住民税:120万円(青色専従者給与) - 65万円(給与所得控除) - 33万円(基礎控除) = 22万円 × 10% = 2万2千円

このように自身のケースに合わせて、最も節税効果が期待できる給与金額に設定するとよいでしょう。

ただし、あくまで実際の支給額がその労働の対価として適切な金額である必要がありますので、ご注意ください。

また、上記のシミュレーションは社会保険料については考慮していないため、その点も合わせて給与の設定をすることをおすすめします。

青色事業専従者給与の書き方・記入例

次は、青色事業専従者給与の書き方についてご説明いたします。

青色事業専従者給与に関する届出の用紙は、国税庁のホームページからダウンロードすることができます。

前半は開業届と同様の内容になりますので、記入に際して難しいポイントはありません。給与は賞与も含めて記入します。昇給の基準の部分については、他に従業員(使用人)がいれば同様に、いなければ「業績による」などと記入すると良いでしょう。

青色事業専従者給与に関する届出書の記入例

【前半部分】

【後半部分】

給与の仕訳・勘定科目

事業主の給与、専従者給与、従業員の給与の仕訳方法はそれぞれ以下のようになっています。

事業主の給与

経費にならないため、事業主貸として処理します。個人事業主は給与という概念がなく、生活費としてプライベートな出費をしたという扱いなので「事業主貸」という勘定科目を使用します。

貸方 借方
事業主貸  ◯◯万円 普通預金  ◯◯万円

専従者の給与

専従者ではない家族と白色申告の場合

経費にならないため、事業主貸として処理します。

貸方 借方
事業主貸  ◯◯万円 普通預金  ◯◯万円

青色申告(青色事業専従者)の場合

経費になるため、専従者給与として処理します。

貸方 借方
専従者給与  ◯◯万円 普通預金  ◯◯万円

従業員(使用人)の給与

経費になるため、給料賃金として処理します。

貸方 借方
給料賃金  ◯◯万円 普通預金  ◯◯万円

事業主貸借の確定申告時の処理

事業主貸と事業主借は、確定申告時の処理として、相殺後の残高を、元入金に反映させる必要がありますのでご注意ください。

【相殺後「事業主貸」の方が多かった場合】 事業の元入金から事業主貸の残高をマイナスします。
【相殺後「事業主借」の方が多かった場合】 事業の元入金から事業主借の残高をプラスします。

おわりに

青色専従者に給与を支払う際のポイントのまとめです。以下のポイントをおさえれば高い節税効果が受けられるでしょう。

  • 事業に専ら従事する家族であること
  • 青色専従者の届出を出し、記入した給与の範囲内で支払うこと
  • 給与の範囲は高すぎると認められないので常識の範囲内にすること
  • 実際に支払う給与を決定する際には、配偶者控除と扶養控除が適用できなくなることを考慮すること

また、青色申告は、ここでご説明した青色専従者給与以外にも、多くの節税メリットがあります。事前の届出が必要なため、今年は白色申告の方も、次の確定申告に向けて、以下の関連記事なども参考に検討しておくことをおすすめ致します。

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