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棚卸資産の評価損とは?損金算入が認められるポイントを解説

工場や倉庫、店舗に売れ残り商品などがあり、不良在庫になっている場合は、棚卸資産の「評価損」の計上を検討しましょう。評価損の計上は法人税の節税にもつながりますが、税務上の損金として認められるには厳格なルールが決められています。

そこでこの記事では、棚卸資産の評価損の損金算入が認められる条件や、計上する際の注意点などを解説します。

目次

棚卸資産の評価損とは

会計上では、いわゆる在庫のことを棚卸資産といいます。棚卸資産の評価損とは、決算時の棚卸資産の評価額が、取得価額よりも下回った際に計上できる損失のことです。「在庫の評価替え」や「在庫評価損」などとも呼ばれます。

棚卸資産の評価損を計算式で表すと、以下のようになります。

棚卸資産(在庫)の金額-棚卸資産の時価(販売可能価額等)=棚卸資産の評価損

ただし、税務上で損金算入が認められるためには、厳格なルールを守る必要があります。なお、損金算入が認められれば、それにより課税所得が減少するため法人税の節税につなげることができます。

評価損の損金算入が認められる条件

棚卸資産の評価損の損金算入が認められるには、棚卸資産の評価損について損金経理し、かつ、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。

1)災害によって著しく損傷した場合

災害によって商品や材料が著しく損傷し、販売できない商品や使い物にならない材料は、棚卸資産の評価損として損金算入することができます。なお、評価損は通常「売上原価」として計上しますが、災害によって著しく損傷した場合は「特別損失として計上することができます。

2)著しく陳腐化した場合

棚卸資産に物質的な欠陥はないものの、経済的な環境の変化に伴って価値が著しく減少し、今後も価額の回復が期待できない場合が当てはまります。「陳腐化」と聞くと一見意味がわかりにくいですが、具体的には以下のものが該当します。

    • 季節商品で、今後通常の価額では販売することができないことが過去の実績等から明らかな場合
    • 形式、性能、品質等が著しく異なる新商品が販売され、今後通常の方法で販売できなくなった場合

3)上記1または2に準ずる事象が発生した場合

たとえば破損や型崩れ、棚ざらし、品質変化などによって、通常の方法で販売できなくなった場合が該当します。

評価損が出やすい商品の特徴

棚卸資産の評価損が生じやすい商品には、以下のような特徴があります。

      • 季節や流行が過ぎるとセール価格でないと売れない商品…アパレル商品など
      • 新機種が出ると値崩れする商品…パソコン、携帯電話、家電製品など

一方で、単なる物価変動や過剰生産、建値(生産業者が卸売業者などに示す販売価格)の変更などが要因で、商品価格が下落したという場合は、損金算入は認められません。棚卸資産の評価損については判断が難しいので、税理士に相談してみましょう。

評価損を損金算入するときのポイント

このように、節税効果が期待できる棚卸資産の評価損ですが、税務調査で指摘されやすい部分なので注意が必要です。税務調査で損金算入を否認されないためには、評価損に用いた時価や評価損として扱う理由に、合理性や妥当性があることを証明する必要があります。評価損の計上を行う際には、以下の準備を行うようにしましょう。

時価の算定根拠を明らかにする

棚卸資産の評価損を損金算入するときには、「時価の算定根拠」を明らかにすることが重要です。この際の時価は、その商品が実際に売れる金額が基本になります。たとえばその商品を同業他社で販売している場合は、決算セールの販売価格などが根拠となります。これらが掲載されている広告やチラシなど、金額の証拠となるものを保管しておくとよいでしょう。

評価損の理由となる証拠資料を用意

前述したとおり、棚卸資産の評価損は「災害などによって損傷した場合」「著しく陳腐化した場合」「破損や型崩れなどを起こした場合」にのみ損金算入が認められます。そのため、これらに当てはまることを証明できる資料を用意する必要があります。詳しくは以下のとおりです。

災害等の場合

災害等によって損傷した場合は、損傷の原因がはっきりして、さらに外見上の損傷がわかりやすいため、客観的に証明しやすいといえます。そのため、実際に災害が起きたこと、災害によって商品が損傷していることを証明できる資料を用意しておきましょう。いずれも日付を明示するようにし、写真の場合は日付が入るように撮影するとよいでしょう。

  • 災害等の様子が掲載された新聞記事など
  • 災害によって損傷した商品や保管現場の写真
  • 災害現場の状況報告書やその災害に関する稟議書など
  • 損害保険会社の評価に関する資料

陳腐化の場合

経済環境の変化などにより陳腐化した場合は、外見上の損傷がないため、客観的には証明しにくいといえます。そのため、陳腐化した事実を客観的に証明できるように、「流行遅れとなっていること」など、経済的な環境の変化に伴ってその価値が著しく減少し、その価額が今後回復しないと認められる状態にあることを証明できる資料を準備しておきましょう。

  • 新製品のカタログ、価格がわかる書類など
  • 商品の販売実績の低下を証明できる集計表など
  • 同様の商品を他店で割引価格で販売していることがわかるチラシや広告など
  • なぜ陳腐化したかの事実をまとめた報告書や稟議書など

災害等による損傷や著しい陳腐化に準ずる事業が発生した場合(破損、型崩れなどの場合)

破損や型崩れの場合は「災害等の場合」と同様に、外見上の損傷があるため客観的に証明しやすいでしょう。ただし災害等とは異なり原因を証明しづらいので、破損、型崩れなどの原因がわかる資料をしっかり残しておくことが必要です。

  • 破損や型崩れした商品や、棚ざらしになっている状況の写真
  • 品質劣化する前の見本となる商品
  • 破損や棚ざらしの理由をまとめた報告書や稟議書など

評価損を計上した在庫の取り扱い

棚卸資産の増減による利益調整は容易に行えることから、税務当局は企業の期末資産を注意深くチェックしています。

たとえば、ある棚卸資産が販売不能で時価が0円であると判断し評価損を計上した場合に、その後も引き続き商品ラインナップの1つとして長期間在庫を保管していると「当該商品を販売する意思があるのであれば時価を販売予定価額とすべき」との指摘を受け、損金算入額の一部または全額が否認される可能性があります。

また、売却する際に評価損計上時の時価以上の金額で販売すると、税務調査の際に「評価時に用いた時価の算定方法等に誤りがある」と指摘を受ける可能性があるので、評価損計上時に算出した時価以下で売却しましょう。

なお、評価損を計上する前にセール価格で売却し、売れ残った在庫の時価を、セール価格と同じに設定するという段取りを踏むと、時価の算定根拠を客観的に証明しやすくなります。

売却が難しいなら廃棄処分を行う

値引きをしても売れるかわからない、ブランドイメージの低下を避けるため低価格で販売することができないなどの場合は、廃棄処分を行いましょう。廃棄処分を行う際には、廃棄した時期と事実を証明するために、廃棄業者が発行する「廃棄証明書」を保管しておきましょう。

おわりに

期末までに不良在庫を処分できない場合には、棚卸資産の評価損を計上することで、節税につながります。ただし、評価損の損金算入が税法上認められるには厳しい条件を満たす必要があり、場合によっては税務調査などで否認されるリスクもあります。

評価損と認められるかの判断や、根拠となる金額の算出なども必要になってくるので、もし不良在庫の処理に困っている場合は、節税対策に強い税理士に相談するのがおすすめです。

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