「不動産小口化商品」とは?相続税の節税効果やJ-REITとの違い

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「不動産小口化商品」とは?相続税の節税効果やJ-REITとの違い

著者: 竹内 英二 不動産鑑定士・中小企業診断士

昨今、都心の一等地のオフィスビルを小口化し、投資できるような商品が増えてきています。不動産を小額から投資できるものには「J-REIT」もありますが、J-REITとの違いは何でしょうか。また、不動産小口化商品では、一部に相続税の節税効果がある商品もあります。

そこで、不動産小口化商品とはどういうものか、J-REITとの違いや節税効果等について解説いたします。

目次

不動産小口化商品とは

不動産の小口化とは、ひとつの不動産を多数の権利者で所有したり間接的に支配したりすることです。

高額の不動産も、多数の権利者で小口化することでそれぞれの権利が安くなり、個人レベルでも都心部の大型物件の権利の一部を取得することが可能となります。

不動産を小口化する方法として挙げられるのは、主に以下の3つです。

  1. 単純に多数の権利者の共有で持つ方法
  2. 不動産を信託し、信託受益権を分割する方法
  3. 出資を受けた一定の者が不動産の取引を行ないその利益を分配する手法

このうち、3番目の手法は「不動産特定共同事業法(※)」によるスキームで商品化されたものを指します。

一般的に不動産小口化商品は「不動産特定共同事業法」を利用した金融商品が多いことから、「不動産小口化商品=不動産特定共同事業法を使った金融商品」というイメージで語られることが多いです。

※不動産特定共同事業法は簡単にいえば、出資等を受けて不動産投資をするための規定で、投資家を保護する目的で施行された法律のことです。

不動産小口化商品のメリット

不動産小口化商品のメリットは、個人投資家ではとても買えないような都心部の一等地の大型物件に投資ができるという点です。

J-REITの中にも都心部の大型優良物件は含まれていますが、投資法人自体が利回りを上げるため、郊外の物件も持っています。

そのためJ-REITでは、本来なら投資をしたくないような物件に対しても投資をしていることになり、投資家が本当に投資してみたい物件を選べないというデメリットがあります。

また、不動産小口化商品では投資対象を明確にでき、しかも個人ではとても手が届かないような物件の所有権等が得られるというメリットもあるのです。

J-REITとの違い

J-REITとの最大の違いは、J-REITは投資法人という多数の不動産を所有している投資法人に出資を行うのに対し、不動産小口化商品はひとつの不動産の権利を購入するという点です。

J-REITの場合、投資法人が複数の物件を運用することによって得た収益を投資家に配分しています。投資法人の持っている物件には良い物件も悪い物件もあり、何に投資をしているのか実態が分からないという特徴があります。

それに対して、不動産小口化商品は、たとえば「恵比寿駅前のこのオフィスビル」というように物件が特定され、その物件の小口化された権利に投資を行うことができるのです。

不動産小口化商品に投資をする場合は、投資家に物件の選定力が求められ、通常の不動産投資と近い感覚の投資となります。

一方で、J-REITに投資をする場合は、物件の集合体に投資しているため、個々の不動産に対する選定力は求められません。むしろ、投資法人のスポンサー企業はどこなのか、どのような用途の不動産を多く持っているか等の全体感が投資の判断材料となります。

不動産小口化商品が節税になる理由

ここからは、不動産小口化商品を「不動産特定共同事業法に基づく商品」に絞って説明していきます。

不動産特定共同事業法に基づく商品は、「匿名組合型」「任意組合型」「賃貸型」の3つに分けることができます。しかし、賃貸型に関しては投資家が全員共有者となり、売却が困難となってしまうため、あまり利用されていません。

任意組合型に関しては、投資家が直接不動産の所有権を共有で持つことになります。共有であっても不動産の所有権を持つということは、賃貸アパートや投資用ワンルームマンションの所有権を持つのと同じことなのです。

また、投資家が直接不動産の所有権を共有で持つことのメリットとしては「相続税の節税効果」が挙げられます。

まず不動産の評価額は、土地は「相続税路線価」、建物は「固定資産税評価額」によって決まります。そして、賃貸している不動産の評価額は、土地については貸家建付地評価減、建物については借家権割合による評価減の適用を受けることができます。さらに、被相続人等の貸付事業用の宅地等として、小規模宅地等の特例も適用することができます。

これらの評価減を適用すると、不動産は時価よりも安くなるため相続税の節税効果が期待できます。

J-REITや匿名組合型の不動産小口化商品は、出資であるため証券の所有権を保有していることになります。出資タイプの金融商品は株式投資と同じであるため、相続税の節税効果はありません。

したがって、相続税だけを考慮すれば、不動産の所有権が得られる「不動産小口化商品の任意組合型」が有利といえます。

不動産小口化商品で節税する際の留意点

不動産小口化商品には、相続税の節税効果があることがお分かりいただけたかと思います。しかし不動産小口化商品自体、元々少額でも投資が可能になることを前提として商品が作られているため、個々の投資額は大きくありません。

そのため資産家の場合は、不動産小口化商品を大量に買わなければ大きな節税効果を得ることができないという点には注意が必要でしょう。

不動産小口化商品を買い集めるなら、1棟マンションに投資した方が大きな節税効果が得られ、効率的です。

不動産小口化商品による節税効果といっても、あくまでも補助的な効果であることを覚えておきましょう。

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