【図解】どっちを使えばいい?確定申告書のA様式とB様式

確定申告の用紙は1種類ではありません。そのため、初めて確定申告をしようと思ったときに「どの用紙にすればよいかが分からない」と悩んでしまったり、「用紙を間違えて記入してしまった」なんてこともあるでしょう。
そこでこのページでは、用紙の種類の違いやどちらを使うべきかについて、具体的なケースを交えてわかりやすく解説します。
※令和5年1月から申告書Aは廃止され、申告書Bに一本化されます。
目次
確定申告の用紙の種類
所得税の確定申告書には、「A様式」と「B様式」の2種類があります。このどちらかを必ず使用し、必要事項を記入して期限内に提出しなくてはいけません。
さらに、B様式では、特定の条件を満たした場合に「分離課税用(第三表)」または「損失申告用(第四表)」を合わせて作成し、提出する必要があります。
No | 提出する用紙 |
---|---|
1 | 確定申告書A(A様式) |
2 | 確定申告書B(B様式) |
3 | 確定申告書B(B様式)+分離課税用(第三表) |
4 | 確定申告書B(B様式)+損失申告用(第四表) |
A様式の確定申告を使用するケース

A様式の確定申告書は、申告する所得の種類が以下に当てはまり、予定納税が無い人が作成して提出する用紙です。
予定納税とは、前年度の所得税が15万円以上の個人事業主が、所得税を確定申告の前に納めることを意味します。
所得の種類 | 説明・収入の例 |
---|---|
給与所得 | 勤め先からの給料・賃金・賞与など |
配当所得 | 株式・出資の配当金など |
一時所得 | クイズ・懸賞などの賞金、一時的に受け取った保険金など |
雑所得 | 年金、作家以外の人が受け取る原稿料など |
具体的には、以下のような人などがA様式を提出することになります。A様式は、給料や年金などの収入を得ている人が、簡単に確定申告できるように設けられている様式と覚えておくと良いでしょう。
- 会社勤めのサラリーマンで医療費控除・雑損控除・寄付金控除を受ける人
- 住宅ローン控除を受ける人
- 2か所以上から給与をもらっている人
- 生命保険の満期金のある人
- 収入が公的年金のみの人
B様式の確定申告を使用するケース

B様式の確定申告書は、A様式に当てはまらない人が作成して提出する用紙です。
つまり、所得の種類に関係なく誰でも使用できるのがB様式です。具体的には、以下のような人などがB様式を提出することになります。
- 個人事業主(白色申告書・青色申告者)
- アパートやマンション経営をしている人
白色申告を行う人はB様式と収支内訳書を提出し、青色申告を行う人はB様式と青色申告決算書を提出することになります。
また、特定の事情で収入が一時的に増えて、平均課税の適用を受ける人もB様式を使用します。
なお、以下の条件に当てはまる、分離課税の所得がある人、所得金額が赤字の損失申告をする人は、合わせて別表を作成して提出する必要があります。
B様式+分離課税用(第三表)を使用するケース

分離課税の所得がある人は、様式Bと分離課税用(第三表)を作成して提出します。
分離課税とは、他の所得と区別してその所得だけで税金を計算することを意味します。一般的には、総合課税といって、すべての所得の合計に対して税金が計算されますが、特定の所得については、総合課税と区別して単独で税金を計算します。
具体的には、以下の所得がある人が該当します。
- 土地建物等の譲渡所得がある人
- 株式等の譲渡所得等がある人
- 申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得がある人
- 申告分離課税の先物取引の雑所得等がある人
- 山林所得や退職所得がある人
B様式+損失申告用(第四表)を使用するケース

以下の条件に当てはまる人は、様式Bと損失申告用(第四表)を作成して提出します。
- 所得金額が赤字の人
- 所得金額から雑損控除額を控除すると赤字になる人
- 所得金額から繰越損失額を控除すると赤字になる人
損失申告とは、事業で赤字(損失)が出た場合に申告を行うことで、その金額を翌年度以降へ繰り越すことを指します。
ただしすべての損失に適用できるわけではなく、対象となるものは純損失(事業所得、不動産所得、譲渡所得、山林所得の損失)や、雑損失などに限られるため注意が必要です。
確定申告の提出用紙(A様式・B様式)フローチャート
ここまでで述べたように、どちらの様式を使うべきかは「自分がどの条件に当てはまるのか」で決まります。最後に、より簡単に判別できるようフローチャートを用意したのでこちらもご参照ください。

おわりに
確定申告の準備をする前に、まずは使用する用紙を間違えないように事前に確認しておきましょう。どちらを使用すればいいのかどうしてもわからない、という場合には税務署に問い合わせて確認したり、「みんなの税務相談」で相談するなどし、万全の準備で確定申告に臨みましょう。
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