【まとめ】総合課税と分離課税とは?対象となる所得一覧と計算方法を解説

所得税は、所得の合計をもとに税額を計算して確定申告により税金を納める「総合課税」が原則ですが、ある一定の所得については、他の所得金額と合計せずに分離して税額を計算する「分離課税」となります。
なぜ、このような2つの課税方法があるのでしょうか?今回はどんな所得がどの課税方法になるのか、それぞれの制度での計算方法など、所得税を申告する際に知っておきたい課税制度について解説します。
目次
所得区分ごとに課税方法は異なる
所得は所得の性質によって、給与所得や事業所得など10種類に分けられています。
そして、その所得区分によって所得税のかけられ方が異なっています。課税方法には「総合課税」と「分離課税」の2種類があります。
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「総合課税」の対象となる所得
所得税の課税は、原則的には総合課税となります。総合課税を一言でまとめると、「各種の所得金額をひとまとめにして税額を計算する方法」です。総合課税の対象になる所得区分には、次の8種類となります。
- 利子所得(源泉分離課税に該当しないもの)
- 配当所得(源泉分離課税に該当しないもの)
- 不動産所得
- 事業所得
- 給与所得
- 譲渡所得(株式・建物・土地を除くもの)
- 一時所得
- 雑所得
「分離課税」の対象となる所得
一方、分離課税は「ほかの所得とは合算せずに別々に分けて税額を計算する方法」です。総合課税に比べて適用される税率が低くなることがあります。
これは一時的に得た所得が大きい場合、総合課税で計算すると所得税額が大きくなってしまうので、これを避けるためになります。分離課税の対象となる所得は以下のものになります。
- 利子所得(源泉分離課税に該当しないもの)
- 配当所得(源泉分離課税に該当しないもの)
- 退職所得
- 山林所得
- 譲渡所得(株式・建物・土地など)
また、分離課税はさらに確定申告で本人が申告する「申告分離課税」と源泉徴収により自動的に納付される「源泉分離課税」の2種類に分けられます。
総合課税制度による税額の計算方法と納税方法

総合課税制度の計算手順は以下のとおりです。
1.総合課税に該当する所得金額を合計する
2.所得金額の合計額から該当する所得控除額を差し引く
3.所得税の速算表に基づき税率を課して所得税額を計算する
総合課税制度では、上記のように求めた所得税額を申告納税によって納めます。
申告分離課税制度による税額の計算方法と納税方法
申告分離課税制度の計算方法は、以下のようになります。
1.所得区分ごとの合計額を計算する
2.それぞれの所得に対して所得税率を課して所得税額を算出する
申告分離課税制度では総合課税制度と同じく、上記で求めた所得税額を申告納税によって納めることになります。
なお、確定申告の際には一般に使用する確定申告書第一表、第二表のほかに第三表(分離課税用)も作成して、提出しなければなりません。該当する収入欄、所得欄、税金欄に金額を記入して、忘れずに第三表も提出するようにして下さい。
源泉分離課税制度による税額の計算方法と納税方法
源泉分離課税制度も申告分離課税と同じく、所得税率を個別に課す課税方法となっています。ただし、納税方法は「源泉徴収」によって行われます。源泉分離課税での税額の計算方法は次のとおりです。
1.利子所得・配当所得などはその所得額に20.315%(所得税15.315%+住民税5%)が課される
2.一定の割引債の償還差益はその所得額に18.378%(特定のものは16.336%)が課される
源泉分離課税制度では、源泉徴収によって納税するため、あえて自分で確定申告をする必要はありません。利子所得や配当所得などであれば、一般的には取り扱いをしている証券会社などが源泉徴収をして納税してくれています。
同じ所得区分でも課税方法が異なる場合もあるので注意
雑所得や譲渡所得なども原則は総合課税ですが、内容によっては分離課税になることもあるので注意が必要です。
ほかに、利子所得や配当所得は原則として総合課税制度によって所得税額が計算されます。しかし、利子所得であれば、預貯金の利子や公社債の利子などは多くが源泉分離課税の対象です。
また、配当所得であれば「確定申告不要制度」を選択することで源泉分離課税の対象にできるよう制度化されています。
おわりに
このように所得税は所得区分にとって課税方法が異なり、また納税方法も違ってきます。確定申告の際には、自分の所得がどの課税方法に当てはまるのかを確認した上で、正しく申告・納税するようにしましょう。このページがご参考になれば幸いです。
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