事業承継・引継ぎ補助金をわかりやすく解説!対象者や補助額は?【令和3・4年版】

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事業承継・引継ぎ補助金をわかりやすく解説!対象者や補助額は?【令和3・4年版】

監修: 香川 晋平 税理士

事業承継や、M&Aの仲介をきっかけに設備投資や新しく事業を始めたりする際には、多くの資金が必要になります。

そうした際に活用できる制度が「事業承継・引継ぎ補助金」です。

本記事では、補助の対象となる条件や補助額、補助金交付までの流れなどを解説します。

目次

事業承継・引継ぎ補助金とは

「事業承継・引継ぎ補助金」とは、事業承継やM&Aを行う中小企業者個人事業主に対して、経費の一部を補助する制度です。

事業承継や事業再編を促進することで、日本経済の活性化を図ることを目的としています。

この補助金制度は、「経営革新事業」「専門家活用事業」「廃業・再チャレンジ事業」と3つの事業に分かれています。

2022年8月現在、「事業承継・引継ぎ補助金」には、令和3年度補正予算と、令和4年度当初予算の2つの事業がありますが、本記事では令和3年度補正予算をメインにご紹介します。

どんな人が対象になる?

補助対象となるのは、以下の要件を満たす中小企業者や個人事業主です。なお個人事業主は青色申告者に限定されます。

  • 日本国内で事業を営むもの
  • 地域経済に貢献している(専門家活用は除く)
  • 反社会的勢力または反社会的勢力との関係がない
  • 法令順守上の問題がない など

どの制度の申請を検討すべき?

どの制度の申請を検討すべきか

M&Aでの事業承継を考えていて、仲介会社などの専門家に依頼する場合は、「専門家活用事業」。事業承継やM&A後に、新しい取り組みを行う後継者は、「経営革新事業」。事業を廃止して再チャレンジを考えている場合は、「廃業・再チャレンジ事業」への公募を検討するといいでしょう。

専門家活用事業と経営革新事業のいずれの条件にも当てはまる場合は、両方に同時申請することが可能です。なお、廃業・再チャレンジ事業の場合は単独申請と併用申請があります。

以下よりそれぞれを詳しくみていきましょう。

経営革新事業

事業承継・M&A後に、新しい商品の開発やサービスの提供、設備投資や販路開拓などの経営革新を行う際に、それに伴う経費の一部が補助されます。

補助対象者に応じて「創業支援型」「経営者交代型」「M&A型」に分類されます。いずれも後継者が補助対象者となります。

  • 創業支援型…廃業を予定している事業者から経営資源を引き継いで創業する
  • 経営者交代型…親族内承継や従業員承継など、事業承継を契機として、経営革新等に取り組む
  • M&A型…事業再編・事業統合などのM&Aを契機として、経営革新等に取り組む

補助対象経費

承継後の取り組みにかかる経費が補助の対象です。廃業を伴うケースは廃業費も補助の対象となります。

  • 承継後の取り組みにかかる経費...人件費、店舗等借入費、設備費、試供品・サンプル品の原材料費、謝金、旅費、マーケティング調査費、広報費、外注費、委託費など
  • 廃業費...廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、移転・移設費用など

補助額

補助上限額は600万円以内で、さらに上乗せ額(廃業費)が150万円以内となっています。補助率は補助対象経費の2/3以内です。

適用要件

  • 以下のいずれかに該当すること
    └中小企業基本法等の小規模企業者
    └直近決算期の営業利益または経常利益が赤字である
    └新型コロナウイルス感染症拡大以前と比べて売上高が減少している
    └中小企業活性化協議会等からの支援を受けており、公募申請時において再生計画等を「策定中」または「策定済」で公募終了日からさかのぼって3年以内に再生計画等が成立等している
  • 2023年1月31日までに、事業承継またはM&Aによる事業の引き継ぎを行ったまたは行うこと
  • 事業承継の形態がそれぞれの型で定められたものであること など

専門家活用事業

M&Aにより経営資源を他者に引き継ぐ(売り手支援型)、または他者から譲り受ける際(買い手支援型)に、ファイナンシャルアドバイザー(FA)や仲介にかかる費用、デューデリジェンスなど、専門家活用にかかる経費の一部を補助する制度です。

補助対象経費

事業の引き継ぎ時にかかる専門家への経費が補助の対象です。廃業を伴うケースは廃業費も補助の対象となります。

  • 事業の引き継ぎ時にかかる専門家への経費...謝金、旅費、外注費、委託費※、システム利用料(M&Aマッチングサイト等の登録料、利用料、成約手数料等)、表明保証保険料など
  • 廃業費...廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、移転・移設費用など

委託費のうち、FA業務または仲介業務に係る相談料、着手金、成功報酬など、M&Aの手続きに関する手数料に関しては、「M&A支援機関登録制度」に登録された登録FA・仲介業者が支援したものに限られます。

補助額

補助上限額は600万円以内で、さらに上乗せ額(廃業費)が150万円以内となっています。補助率は補助対象経費の2/3以内です。

適用要件

  •  FA・M&A仲介費用を補助対象経費とする場合は、M&A支援機関登録制度に登録された登録 FA・仲介業者に関する情報について、事務局から M&A支援機関登録制度事務局に対し情報提供すること等に合意すること
  • 2023年1月31日までに、経営資源の売り手側と買い手側とので事業再編・事業統合が着手もしくは実施される予定であること
  • 経営資源引き継ぎの形態がそれぞれの型で定められたものであること など

廃業・再チャレンジ事業

令和3年度補正予算から新設された制度で、事業承継・M&Aに伴い、既存事業を廃業する際にかかる経費の一部を補助するというものです。

廃業後、新たに法人を設立したり、個人事業主として事業を行う、知識や経験を活かせる企業へ就職するなど、再チャレンジに取り組むことが要件となります。

前述した経営革新、専門家活用に伴い一部廃業を行う場合には、経営革新事業または専門家活用事業に併用する形で廃業費が補助されます(併用申請)。

この場合は、上乗せという扱いになるため、廃業・再チャレンジ事業への別途申請は不要です。

また、次のような要件を満たす場合は、事業承継・M&Aを伴わない廃業も補助の対象となります。

  1. 会社自体を廃業するために、補助事業期間内に廃業登記を行う、在庫を処分する、建物や設備を解体する、原状回復を行う
  2. 事業の一部を廃業(事業撤退)するために、補助事業期間内に廃業登記を行う、在庫を処分する、建物や設備を解体する、原状回復を行う

※廃業・再チャレンジの単独申請は1のみ、経営革新および専門家活用で申請する際には1・2が対象となります。

補助対象経費

廃業時にかかる以下の経費が補助の対象となります。

  • 廃業費...廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、移転・移設費用)

補助額

補助上限額は150万円以内、補助率は補助対象経費の2/3以内です。

適用要件

【併用申請】

  • 補助事業期間終了日までにM&Aまたは廃業が完了していること。また廃業に伴って以下のいずれかを行った、または行う予定であること
  • └事業承継・M&A後の新たな取り組み
  • └M&Aによって他者から事業を譲り受ける
  • └M&Aによって他者に事業を譲り渡す など

【単独申請】

  • 補助事業期間終了日までに廃業が完了していること。また廃業に伴い2020年以降に売り手としてM&Aへ着手し、6か月以上取り組んでいること+廃業後に再チャレンジを行った、または行う予定であること
  • M&Aに着手したものの、成約に至らなかった者であること
  • 廃業後、再チャレンジする事業に関する計画を作成し、認定支援機関の確認を受け、提出すること など

申請期間

2022年8月現在、いずれの事業においても2次公募の申請を受付しています(2022年9月2日(金)17:00まで)。

なお各事業ともに、申請期間は4期間設定されているため、タイミングに応じた申請が可能です。

補助事業期間

交付決定日から最長で2023年1月31日までです。原則、補助事業期間中に契約・発注・支払いを行った経費が補助の対象となります。

ただし第1回公募のみ、申請時点で補助対象経費に係る契約・発注を行っている場合でも対象となる、事前着手が認められています。

補助金交付までの流れ

補助金交付までのおおまかな流れは以下のとおりです。

参照:事業承継・引継ぎ補助金WEBサイト

申請は、経済産業省が運営する補助金の電子申請システム「jGrants(Jグランツ)」を利用します。なお、jGrants(Jグランツ)の利用には「gBizIDプライム」のアカウント取得が必要です。

補助事業は交付決定を受けたあとに開始し、事業完了後に補助金が交付されます。

なお、経営革新事業と廃業・再チャレンジ事業は、交付申請の前に認定経営革新等支援機関に相談する必要があります

交付申請や必要書類は各事業によって異なるため、詳しくは上記公式サイトでご確認ください。

令和4年度当初予算とはどう違う?

2022年7月7日に公募要領等が発表された、令和4年度当初予算の事業承継・引継ぎ補助金も、「経営革新事業」「専門家活用事業」「廃業・再チャレンジ事業」と、3つの事業に分かれており、適用要件や申請の方法などはほぼ同様となっています。

ただし、補助額や申請受付機関、補助事業期間などが異なります。

補助額

・経営革新事業
補助上限額 : 500万円以内、補助率 : 補助対象経費の1/2以内
・専門家活用事業
補助上限額 : 400万円以内、補助率 : 補助対象経費の1/2以内
・廃業・再チャレンジ事業
補助上限額 : 150万円以内、補助率 : 補助対象経費の1/2以内

申請受付期間

2022年7月25日(月)〜8月15日(月)の予定

補助事業期間

2022年12月16日まで

なお、令和3年度補正予算において事業承継・引継ぎ補助金をすでに申請している場合、令和4年度当初予算で同じ類型の事業に申請することはできません(令和4年度当初予算で申請している場合も同様です)。

特に補助額や補助率に関しては、令和3年度補正予算のほうが有利といえるでしょう。

事業承継で利用できる補助金や制度

「事業承継・引継ぎ補助金」以外にも、事業承継やM&Aによる事業の引き継ぎを検討している方が利用できる補助金や制度があります。その一部をご紹介します。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者が自社の経営を見直し、持続的な経営に向けた経営計画を作成した上で行う、販路開拓や業務効率化の取り組みを支援するため、必要な経費の一部を補助する制度です。

後継者支援枠」では、中小企業庁が行う、全国各地の中小企業の後継者・後継者候補が新規事業アイデアを競うピッチイベント「アトツギ甲子園」において、ファイナリストに選ばれた小規模事業者が補助金を受けられます。

補助上限額は200万円以内で、補助率は2/3以内となっています。

またすべての枠で採択審査の対象となる政策加点に、事業承継加点(代表者が満60歳以上で、後継者候補が補助事業を中心になって行う場合)が用意されています。

地方創生 起業支援金

地方での起業や、東京圏からUIJターンにより起業する個人事業主や法人を対象とする支援制度です。地域の課題解決に取り込む社会的事業を支援するもので、都道府県が支援金を支給します。

東京圏以外の道府県などで、付加価値の高い分野で社会的事業を事業承継で行うなどの条件を満たすことで、最大200万円の支援金が受け取れます。

事業承継・集約・活性化支援資金

日本政策金融公庫が行う融資制度で、事業承継を行うために必要な設備資金や運転資金などに利用することができます。

融資を受けるには、中期的な事業承継を計画し、現経営者が後継者とともに事業承継計画を策定しているなどの条件があり、融資限度額は7,200万円でうち運転資金は4,800万円までとなっています(小規模事業者や個人事業主などを対象とした国民生活事業の場合)。

事業承継税制

法人が事業を引き継ぐ際には、会社の株式を後継者へ承継します。事業承継が生前であれば贈与税が、経営者が亡くなってから承継する際は相続税が後継者に課されます。

このときにかかる相続税・贈与税の納税猶予および免除が受けられる制度が「事業承継税制」です。この制度を活用することで、株式にかかる贈与税や相続税が最終的に100%免除されます。

個人版事業承継税制

個人事業主が事業を引き継ぐ際には、先代経営者が保有していた事業用の資産を引き継ぐことがあります。

このとき後継者にかかる贈与税や相続税の納税猶予および免除が受けられる制度が「個人版事業承継税制」です。

この制度を活用することで、贈与税や相続税が最終的に100%免除されます。

アトツギファースト

全国の若手後継者が、先代から受け継ぐ経営資源を活用して新たな領域に挑戦する「ベンチャー型事業承継」を支援する、​​一般社団法人ベンチャー型事業承継が運営するオンラインコミュニティです。

同じ境遇のアトツギが、互いの体験をシェアしながら解決策を探ることを目的としているため、39歳以下の承継予定者限定となっています。

全国のアトツギベンチャー社長がメンターとなり相談に応じてくれたり、アトツギ支援施策や補助金、全国各地のアトツギ向けイベントなどの最新情報を発信しています。

おわりに

事業承継や事業統合により、新たな取り組みを行う際には、多くの資金が必要となります。そのため「事業承継・引継ぎ補助金」は、事業承継にかかる資金についてお悩みの中小企業や個人事業主を後押しする制度といえるでしょう。

なお、補助金申請は手続きが複雑なため、専門家のサポートを受けることをおすすめします。この制度では、認定経営革新等支援機関への相談が必要となることもあるため、認定経営革新等支援機関である税理士などの専門家への相談を検討してみてください。

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