自筆の遺言書、その書き方だと無効かも。“ただの紙クズ”にしないルールを税理士が解説
相続税
「元気なうちに、自分の想いを残しておきたい」。そう考えて、ペンを取って自分で遺言書を書く人は少なくありません。公証役場に出向く必要も費用もかからず、いつでも手軽に作成できる「自筆証書遺言」は、終活の第一歩として人気の方法です。
しかし、この手軽さには落とし穴があります。自筆証書遺言は、民法で書き方のルールが厳格に定められており、一つ不備があるだけで、その遺言書は「法的に無効」、つまり、ただの紙切れになってしまうのです。
自筆証書遺言が有効になる要件は、次のとおりです。
<自筆証書遺言が有効になるための主な要件(民法968条)>
(1)遺言の全文を自分で手書きする(財産目録は例外あり)
(2)作成した日付を正確に自書する
(3)氏名を自書する
(4)押印する
一見シンプルに見えるこれらのルールですが、実際には多くの人がつまずきます。そこで、自筆証書遺言でやってしまいがちな「無効になるミス」と、確実に有効な遺言を残すためのポイントについて、高山弥生税理士に話を聞きました。
●「自筆」の要件を満たさないと無効になるので注意
ーー自筆証書遺言が無効になってしまう代表的なミスについて教えてください。
法律により、自筆証書遺言はすべて遺言者が自分で書くことを求められています。そのため、「日付をスタンプで押す」「パソコンで作成する」「家族に代筆してもらう」と無効となります。これは「自筆」という要件を満たしていないからです。
また、自筆証書遺言は「自署押印」が求められており、これを満たさない場合も無効となります。押印は実印でなくてもかまいません。拇印でも有効ですので、必ず押すようにしましょう。
●「〇年〇月吉日」はNGだが「還暦の日」は有効
ーー特に間違いが多いと言われる「日付」の書き方について、どのような間違いがあるのでしょうか?
実際にあったケースですが、「〇年〇月吉日」と表記されていたことがあります。このような表記では「いつ」であるか特定できないため無効となってしまいます。
一方で、遺言者の「還暦の日」や「令和〇年元旦」といった、いつの日であるか特定できる表現であれば有効となります。
ーー自筆証書遺言を作成中に、間違えてしまった場合の対処法について教えてください。
間違えた箇所に二重線を引き、そのそばに正しく書き直します。二重線を引いた部分、またはそのすぐ近くに自署押印したときと同じ印鑑を押します。余白に「本文〇行目、3字削除4字加入。 氏名(手書き)」と記入します。修正テープや修正ペンは無効になってしまいますので注意してください。
【取材協力税理士】
高山 弥生(たかやま やよい)税理士
VSG相続税理士法人溝の口オフィス代表税理士。実務の傍ら、執筆やセミナー講師を務める。
VSG相続税理士法人では、相続税申告において日本最大級の実績とノウハウにより、顧客の立場に立って一番有利な相続アドバイスを行う。グループの行政書士・司法書士・社会保険労務士法人と連携をとり、あらゆる相続の悩みに対応している。
事務所名 :VSG相続税理士法人
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