草間彌生さん死去で考える「おひとりさまの相続」。配偶者も子もいない人の財産は誰が継ぐのか
相続財産
水玉模様の作品で世界的に知られる芸術家の草間彌生さんが97歳で亡くなりました。生涯結婚することなく、子どももいなかったことが伝えられています。
著名人の訃報をきっかけに関心が集まりやすいのが、「配偶者も子もいない人が亡くなったら、その財産は誰のものになるのか」という問題です。「身寄りがなければ国に持っていかれる」というイメージを持つ人も少なくありません。
実際、相続人がいないために国庫へ帰属した財産は、2024年度で1,292億円にのぼり、この10年で約3倍に増えています。決して珍しい話ではなくなりつつあります。
ただし、「配偶者も子もいない=相続人がいない」とは限りません。むしろ多くのケースでは、親やきょうだい、甥・姪が相続人になります。つまりこれは、独身の人だけの問題ではなく、独身のきょうだいやおじ・おばがいる人にとっても、自分に関わる話だということです。
配偶者も子もいない人が亡くなったとき、財産は誰に渡り、本当に相続人がいない場合はどうなるのか。高山弥生税理士に聞きました。
●相続人は親から兄弟姉妹、そして甥・姪へ。継ぐと相続税は2割増し
ーー配偶者も子もいない人が亡くなった場合、誰が相続人になるのでしょうか。相続人として遡る範囲はどこまでとなるのでしょうか。
配偶者も子もいない場合、直系尊属(親など)が相続人になります。直系尊属がいない場合兄弟姉妹が相続人となり、兄弟姉妹がすでに死亡している場合、甥・姪が相続人となります。兄弟姉妹や甥・姪が相続人となった場合、相続税額は2割増しとなります。
なお、甥・姪も亡くなっている場合、その子どもへは引き継がれません。兄弟姉妹の代襲相続は甥・姪の一代限りで、そこに誰もいなければ相続人がいないことが確定します。
●相続人が誰もいなければ、清算を経て国庫へ
ーー相続人が誰もいなかった場合、財産は最終的にどうなるのでしょうか。国庫に入るまでにどんな手続きが必要で、誰が動くことになりますか。
遺言書があれば財産は遺言者が指定した人や団体に遺贈されます。
遺言書がなく、身寄りが誰もいない場合は、家庭裁判所によって「相続財産清算人」という管理人が選ばれます。管理人が債務(借金)などを清算した後、「特別縁故者」(亡くなった方と深い関わりがあった人)が申し立てることで、財産の全部または一部を受け取れる場合があります。
特別縁故者もいない(または認められなかった)場合、清算手続きを経て残ったすべての財産は国庫に帰属(国の所有物)することになります。
●遺言を書くなら公正証書で。遺言執行者の指定も忘れずに
ーー独身で子どもがいない方が、自分の財産を自分の意思どおりに引き継いでもらうには、生前に何をしておく必要があるのでしょうか。
自分で財産の行先を確認できる生前贈与や、家族信託を利用して元気なうちに信頼できる人に管理を託す方法もあります。遺言書を書く場合は、公正証書遺言で行い、遺言執行者を指定しましょう。
【取材協力税理士】
高山 弥生(たかやま やよい)税理士
VSG相続税理士法人溝の口オフィス代表税理士。実務の傍ら、執筆やセミナー講師を務める。
VSG相続税理士法人では、相続税申告において日本最大級の実績とノウハウにより、顧客の立場に立って一番有利な相続アドバイスを行う。グループの行政書士・司法書士・社会保険労務士法人と連携をとり、あらゆる相続の悩みに対応している。
事務所名 :VSG相続税理士法人
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