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ペットに遺産を相続させられる? 日本で使える3つの方法と税金の注意点

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ペットに遺産を相続させられる? 日本で使える3つの方法と税金の注意点
itakdalee / PIXTA

「自分が死んだら、この子に全財産を遺して不自由なく暮らしてほしい」……。愛犬家・愛猫家の方なら一度は抱く願いでしょう。

海外では、米国の富豪レオナ・ヘルムズリーが愛犬のマルチーズ「トラブル」のために1,200万ドル(当時のレートで約14億円)を信託に遺したケースが話題になりました。もっとも、この金額は後に裁判所によって200万ドルに減額されています。アメリカではペットの世話を目的とする「ペット信託(Pet Trust)」が法律で認められていますが、ペット自身が財産の持ち主になる制度ではありません。

では日本はどうかというと、ペットに直接相続させることはできません。相続や遺贈で財産を受け取れるのは「人または法人」に限られ、ペットは法律上「物」として扱われるためです。遺言書に「愛猫の○○に預金3,000万円を相続させる」と書いても、その部分は無効になってしまうのです。

そこで、愛犬・愛猫に財産を遺したいと思っている方向けに、日本でペットのために財産を遺す3つの方法と、税金などの注意点をまとめました。

●(1)負担付遺贈(ふたんつきいぞう)

「ペットを終生飼育すること」を条件(負担)に、特定の人や団体に財産を遺す遺言です。たとえば「Aさんに500万円を遺贈する。ただし、Aさんは私の愛猫○○が天寿をまっとうするまで飼育しなければならない」と書くというものです。

手軽な反面、相手は遺贈を放棄できるというデメリットがあります。また、相手が負う飼育の義務は、遺贈された財産の価額が上限です。そのため、生前に相手の意思を確認し、飼育費に見合う額を遺しましょう。約束が守られるよう、遺言の内容を実行する「遺言執行者」を指定しておくことも大切です。

●(2)負担付死因贈与契約(ふたんつきしいんぞうよけいやく)

「私が死んだら、ペットを飼育してもらう代わりに財産を贈与する」という契約を、生前に相手と結ぶ方法です。相手の合意を得たうえで結ぶため、死後に受け取りを断られるリスクを下げられます。契約書は公正証書で作っておくと安心です。

ただし、飼育の約束が守られているかは、第三者がチェックする仕組みがないと見えにくい点は、負担付遺贈と同じです。

●(3)ペット信託

信頼できる人や法人に、飼育費用となる財産を託す仕組みです。主な登場人物は次の通りです。

・委託者(現在の飼い主):財産を託し、信託の内容を決める人

・受託者:託された財産を管理し、飼育費を渡す人(親族や、そのために設立した一般社団法人など)

・受益者:信託から利益を受ける人(将来の飼い主)。ペットは受益者になれないため、飼い主自身を当初の受益者とし、亡くなった後は新しい飼い主が引き継ぐ形が一般的

・信託監督人:受託者が財産をペットのために使っているかをチェックする専門家など

お金を一度に渡さないため使い込みが起きにくく、飼い主が認知症などで判断能力を失った後も機能するのが強みです。一方で、判断能力があるうちでなければ契約できず、専門家に依頼する費用もかかります。

●相続税と「2割加算」に注意

当然ながら、ペットは納税ができないため、財産を受け取った人に相続税がかかります。死因贈与も贈与税ではなく相続税の対象です。信託の場合も、飼い主の死亡で受益権を取得した人は、遺贈で取得したものとみなされます。

受け取るのが配偶者・子・親以外(兄弟姉妹や友人など)の場合は、相続税額が2割加算されます。とはいえ、正味の遺産額が「3,000万円+600万円 × 法定相続人の数」以下と、相続税の基礎控除額の範囲内なら、原則として相続税はかかりません。

負担付遺贈の場合は、財産の価額から、遺贈の時点で確実と認められる負担額を差し引いた金額に課税されます。なお、保護団体などの法人に値上がりした不動産や株式を遺贈すると、時価で売ったものとみなされ、亡くなった方に所得税がかかる場合があります。団体への遺贈を考えるなら、事前に税理士へ相談しましょう。

●遺留分と、相続人がいない場合

「全財産をペットの飼育者に」という遺言は、相続人から遺留分侵害額請求(金銭の支払いの請求)を受けるおそれがあります。ただし、遺留分があるのは配偶者・子(孫)・親(祖父母)で、兄弟姉妹にはありません。

相続人がいない方も、何もしなくてよいわけではありません。遺言がなければ、財産は債権者への支払いや特別縁故者への分与などを経て、最終的に国庫に帰属します。ペットの飼育費も、引き取り手も用意されないままになりかねません。

●まとめ

日本では、ペットに直接財産を遺すことはできません。しかし、負担付遺贈や負担付死因贈与、ペット信託を使えば、自分が亡くなった後もペットが暮らしていくための資金と引き取り手を確保しやすくなります。動物愛護管理法でも、飼い主はペットが命を終えるまで適切に飼うよう努めることとされています。

まずはご自身に相続人がいるか、どんな財産をどれだけ遺せるかを整理し、ペットに理解のある専門家へ相談することから始めてみてはいかがでしょうか。

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