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「タワマン節税」は本当に終わったのか。最高裁判決と新通達のいま【税理士が解説】

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「タワマン節税」は本当に終わったのか。最高裁判決と新通達のいま【税理士が解説】
yama1221 / PIXTA

不動産経済研究所の調査によると、2025年の東京23区の新築マンション平均価格は1億3613万円(前年比21.8%増)。首都圏平均も9182万円まで上昇し、「億ション」はもはや珍しいものではなくなりました。

価格が上がれば、相続の場面で気になるのが「では、相続税の評価額はいくらになるのか」です。かつて富裕層の定番だった「タワマン節税」は、この時価と相続税評価額の大きな乖離を利用した手法でした。市場価格3億円のマンションが、評価上は1億円を切る。この差が数千万円単位の節税を生んでいたのです。

しかし、この数年で環境は一変しました。

まず2022年4月19日の最高裁判決は、行き過ぎた節税に対して国税側の「伝家の宝刀」が振り下ろされた形となりました。

約13.9億円で購入したマンション2棟を路線価等で約3.3億円と評価し、借入と組み合わせて相続税を0円と申告した事案について、財産評価基本通達の例外規定「総則6項」による国税側の再評価(約12.7億円)が適法とされたのです。「ルール通りに評価しても、著しく不適当なら否認され得る」というメッセージは、実務に大きな衝撃を与えました。

続いて2024年1月1日以後の相続・贈与から、居住用の区分所有財産に新しい評価ルール(いわゆるマンション通達)が適用されています。これは、築年数・総階数・所在階・敷地持分狭小度から「評価乖離率」を計算し、時価との乖離が大きい物件は評価額を引き上げるという仕組みです。これにより、評価額が算式上の市場価格の6割の水準になるよう補正されます。

そして次の一手も見えてきました。2026年度税制改正では、相続開始前5年以内に取得した貸付用不動産について、取得価額を基に地価の変動等を考慮した価額の80%で評価する方向が示され、2027年(令和9年)1月1日以後の相続・贈与から適用される見通しです。

新通達の適用から2年半。現場では何が起きているのか。いま不動産を持っている人、これから買う人は何に気をつければいいのか。相続と不動産に詳しい鈴木洋輔税理士に聞きました。

●通達適用後も、時価1億6,000万円のタワマンが約5,300万円

ーーマンション通達の適用から2年半。タワーマンションの相続税評価額は、実際どれくらい上がったのでしょうか。

それでは、実際にあった事例を元に試算してみましょう。

<条件>
都心のタワーマンション高層階(築20年・総階数50階・25階部分・専有面積75㎡・時価1億6,000万円)

まず前提として、時価1億6,000万円のタワーマンションでも、相続税の評価額は驚くほど安くなります。

このケースでは、通達適用前の評価額は土地(路線価評価額)1,500万円、建物(固定資産税評価額)1,400万円で、合計2,900万円と時価の5分の1以下です。

ここにマンション通達による補正が加わります。区分所有補正率は1.8282となるため、土地は約2,740万円、建物は約2,560万円、合計で約5,300万円と2倍近くまで上がる計算です。

とはいえ、時価1億6,000万円に対して約5,300万円。確かに上がっているものの、依然として3分の1程度の水準にとどまります。

通達の算式は評価の簡便性を優先していますので、すべての物件が時価に見合った補正になるわけではありません。実際のところ、補正後もなお割安な評価に落ち着いていることも少なくありません。

●2027年からの「5年縛り」。対策は早く動くほど有利に

ーー2027年からは、相続開始前5年以内に取得した貸付用不動産の評価も変わる見通しです。ご相談の現場では、どんな影響が出ていますか。

現場ではかなり大きな影響が出ています。多額の相続税がかかる地主さんや社長さんを中心に関心が高く、「5年縛り」というフレーズもすっかり一般化してきました。

今回の改正で厳しくなるのは、「相続開始の直前」に慌てて動くタイプの対策です。逆に言えば、5年を過ぎてしまえば従来どおりの評価方法で計算できますので、ゆとりを持ったスケジュールで進めることの重要性が一段と増しました。

加えて、昨今は建築費が高騰し、融資の利率も上昇しています。着手が遅れるほど、同じ規模の建物でも投じる資金は膨らんでいきます。

建築費と金利の上昇、そこに5年縛りが加わったわけですから、対策が遅れて良いことは何ひとつありません。早い段階から計画を立てて動くことが、これまで以上に必要になっています。

●持ち続けるほど評価額は下がり、時価との差は再び開く

ーーマンション価格が高騰し続けるいま、すでにタワマンを持っている人・これから購入を考えている人にとって、税務上の評価で知っておくべきポイントを教えてください。

知っておいていただきたいのは、補正率が築年数とともに下がる点です。同じ条件の物件でも、新築なら2.2044、築20年で1.8282、築40年なら1.4322。10年ごとにおよそ0.2ずつ下がっていきます。

さらに、建物の固定資産税評価額も年々下がっていきます。ところが、立地の良いタワーマンションの中古価格はそう簡単には下がりません。

つまり、持ち続けるほど評価額は下がり、時価との差は再び開いていくことになります。

【取材協力税理士】
鈴木洋輔(すずき・ようすけ)税理士
地主さん・社長さんの相続と資産承継を支える税理士。ご家族の想いや悩みに寄り添いながら、大切な財産を手放すことなく、次の世代へつなぐサポートをしている。
税務の専門知識はもちろん、「家族を想う気持ち」や「将来への不安」にもしっかり耳を傾け、安心して相談できる存在として、相続や不動産のことで悩む方々から日々多くのご相談を受けている。
事務所名 :鈴木洋輔税理士事務所
事務所URL:https://famvision.jp/

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