「実家は早めに名義を移したい」その前に。生前贈与と相続で変わる税金を徹底比較
生前対策
「親が元気なうちに実家の名義を移しておきたい」そう考える人は少なくない。だが「生前贈与」と「相続」では、かかる税金の種類も金額も大きく変わる。
贈与税と相続税はもちろん、不動産取得税や登録免許税の負担も異なり、相続なら使える「小規模宅地等の特例」が生前贈与では使えないケースもある。良かれと思って早めに贈与した結果、かえって税負担が重くなることもあるのだ。
実家の引き継ぎ方で損をしないために、判断のポイントを高山弥生税理士に聞いた。
●贈与税と相続税だけではない。登録免許税と不動産取得税でも差がつく
ーー実家を「生前贈与」した場合と「相続」した場合とで、かかる税金にはどんな違いがありますか?
生前贈与した場合は「贈与税」、相続した場合は「相続税」です。どちらも累進課税ですが、贈与税は基礎控除が相続税に比べて小さく、税率上昇が早いため、税負担が大きくなりがちです。贈与・相続ともに登録免許税がかかりますが、贈与のほうが税率が高くなります。不動産取得税は相続では課されませんが贈与では課税されます。
●相続なら評価額が8割減。ただし使えるのは要件を満たす人に限られる
ーー「小規模宅地等の特例」は生前贈与では使えないと聞きます。これはどれくらい結論に影響しますか?
小規模宅地等の特例が使える場合、自宅敷地の330㎡までの部分について、相続税評価額の20%に相続税が課税されます。相続税評価額5,000万円の土地は、1,000万円だけが相続税の課税対象となるということになります。税負担を考えると、贈与税は相続税と比べて不利になりやすいといえるでしょう。
なお、この特例は相続や遺贈で取得した宅地にしか使えません。生前贈与で名義を移してしまうと、同じ土地でも5,000万円がそのまま課税対象になります。また、特例を使えるのは取得者が配偶者、同居していた親族、あるいは一定の要件を満たす別居親族(いわゆる「家なき子」)である場合に限られ、面積の条件を満たせば誰でも使えるわけではありません。
●「特定の子に確実に渡したい」なら、生前贈与も選択肢になる
ーーどんな人は生前贈与が向いていて、どんな人は相続まで待つべきなのか、一般的なケースで教えてください。
子どもが複数人いて、仲が悪いが、面倒をみてくれた子どもに家を譲りたいといったケースは生前贈与を考えるのもよいでしょう。
高額な贈与税負担とならないように相続時精算課税での贈与も選択肢としてありますが、相続時精算課税による贈与財産は相続財産に加算され(持ち戻し)、小規模宅地等の特例は適用できなくなります。
【取材協力税理士】
高山 弥生(たかやま やよい)税理士
VSG相続税理士法人溝の口オフィス代表税理士。実務の傍ら、執筆やセミナー講師を務める。
VSG相続税理士法人では、相続税申告において日本最大級の実績とノウハウにより、顧客の立場に立って一番有利な相続アドバイスを行う。グループの行政書士・司法書士・社会保険労務士法人と連携をとり、あらゆる相続の悩みに対応している。
事務所名 :VSG相続税理士法人
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