交通事故による損害賠償金や慰謝料は課税対象?非課税になるケースならないケースのまとめ

交通事故に巻き込まれてしまうこともあるでしょう。もし被害者となってしまった場合には、損害賠償金や慰謝料などを受け取ることになると思いますが、これらは税制上、どういった扱いなのでしょうか。ここでは交通事故の損害賠償金や慰謝料と税金の関係について解説いたします。
目次
交通事故による損害賠償金等は非課税になる
基本的には、交通事故による損害賠償金や治療費、慰謝料などは所得税制上、非課税として扱われます。これらが非課税となる理由は「積極的に利益を得ているとは考えにくい」からです。ただし、一部の損害賠償金は各種所得の収入金額として扱われるので注意しなければなりません。
非課税として扱われるもの
交通事故によって受け取る損害賠償金等のうち、以下に挙げた4種類に該当するものは非課税として扱われます。
損害賠償金…修理費用や買替費用など
損害賠償金とは不法行為や交通事故などによって財産に損害が生じた場合に受け取れるお金のことを言います。財産とは例えば自動車などが当てはまるので、この破損による「修理費用」や「買替費用」が損害賠償金となります。
慰謝料…精神・肉体的苦痛、治療費や入通院費など
続いて慰謝料とは心身に加えられた精神・肉体的苦痛に対して受け取れるお金のことです。具体的に言うと大きく入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の3種類に分けられ、違いは以下のとおりです。また、治療費や入通院費は、治療代や入通院に係る交通費等の実費相当額となります。
- 入通院慰謝料:交通事故による入院・通院により請求できるお金
- 後遺障害慰謝料:交通事故による後遺症により請求できるお金
- 死亡慰謝料:交通事故によって死亡した場合に遺族が請求できるお金
見舞金…菓子折りなど
3つ目の見舞金とは心身に加えられた損害、または財産に加えられた損害に対して受け取れるお金などのことです。ただ、見舞金は上記の損害賠償金や慰謝料とは異なり、あくまで「怪我を負ったことに対してのお見舞いの気持ち」として渡すものとなっています。
保険金…生命保険金や車両保険金など
最後の保険金には被害者が加入している保険(医療保険)から受け取れるお金や、車両保険から支給されるお金などが該当します。非課税として扱われる保険にはその他に搭乗者傷害保険や自損事故保険なども含まれます。
非課税にならない場合などの注意すべきケース

交通事故によって先にあげたお金を受け取る場合に注意すべきポイントもあります。そこでケースごとに分けて解説します。
交通事故の治療費で医療費控除を受けたい場合
交通事故による医療費は高額になることも珍しくなく、医療費控除を受けたいと考える人もいます。医療費控除とは1年間(1月1日~12月31日)に支払った医療費が10万円を超えた場合に、最高200万円まで所得控除を受けられる制度のことです。
ただ、交通事故の治療費として受け取った金額で支払う医療費などは控除を受けられないので注意しましょう。なぜなら、慰謝料などは医療費を補てんするためのお金だからで、医療費控除の対象にはならないからです。なお、交通事故以外の医療費であれば通常通り、医療費控除の対象として扱うことができます。
破損した自動車を損金計上したい場合
交通事故に遭った人が自営業者などの場合もあるでしょう。この場合、仮に自動車が廃車しているのであれば必要経費として扱えます。
ただし、損害賠償金を受け取っているのであれば、その部分を必要経費から除かなければなりません。その結果、「必要経費>損害賠償金」となったら、その差額を損失計上できます。また、「必要経費<損害賠償金」となっても、差額は非課税として扱われます。
交通事故で商品等の損害が生じた場合
自動車に商品を積んでいる場合に交通事故に遭う可能性もあります。この場合にも損害賠償金を受け取れることもあります。
注意すべき点は、この商品の損害に対する損害賠償金は「収入金額」として扱われる点です。なぜなら、この場合では損害賠償金が収入金額に変わる性質を持っているからです。したがって、非課税としては扱われず、事業所得になるので気をつけなければなりません。
交通事故で店舗等に損害が生じた場合
店舗に自動車が飛び込んでくる交通事故の場合もあり、こういったケースでも損害賠償金を受け取れることがあります。
この場合、修繕中に仮店舗を賃借する場合で、その賃借料を補償する部分の金額は収入金額として扱われます。これは賃借料分が必要経費を補てんするものになるからです。そのため、事業所得として扱われることを注意する必要があります。
おわりに
交通事故の被害に遭った際に受け取れる損害賠償金や慰謝料の税金上の扱いについて説明いたしました。これらのお金は基本的に非課税として扱われるお金です。ただ逆に言うと、非課税だからこそ医療費控除を受けられないので注意しなければなりません。なお、事業性資産に損害が生じた場合にも扱いに気をつける必要があります。
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