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なぜマイナンバーカードは日本人に敬遠されるのか? 伝わらない利便性、国への不信感

なぜマイナンバーカードは日本人に敬遠されるのか? 伝わらない利便性、国への不信感
森信茂樹氏(国分瑠衣子撮影)

普及率がいまだ13%となかなか普及しないマイナンバーカード。その影響もあり、ワンストップの確定申告や、子育て支援など生活に便利な機能を持つ、政府のオンラインシステム「マイナポータル」も宝の持ち腐れ状態になっている。早くからマイナンバーの活用を提唱し、「デジタル経済と税」(日本経済新聞出版社)などの著書がある、東京財団政策研究所の森信茂樹研究主幹は、「税務申告が簡単になるマイナポータルは、フリーランスや副業を選択する人のセーフティーネットになる」と強調する。マイナンバーカードとマイナポータルの将来性について聞いた。(ライター・国分瑠衣子)

●国民に理解されていないマイナンバーカードの個人認証機能

――なぜマイナンバーカードが普及しないのでしょうか

マイナンバーカードについている個人認証機能が国民に理解されていないからだと思います。「自分の12桁のマイナンバーを他人に知られるのは嫌だ」という声を聞きますが、個人認証はマイナンバーカードのチップを利用するので、個人に割り当てられた12桁の番号は関係ありません。このことが国民に理解されていませんし、政府の説明も不足しています。北欧では付番されたカードを首から下げて歩いている人も多く見かけるぐらいです。

個人認証機能ほど便利なものはありません。2021年3月から一部の医療機関でマイナンバーカードが健康保険証として使えるようになります。マイナポータルとイータックスのシステムがつながり、医療費控除にも使えるようになるので、普及につながると思います。

これまでの医療費控除は、領収書を保存したり、申告書作りが大変でした。税務署側も臨時のアルバイトを雇ったり、大きな会場を用意したりしなければならなかった。こんなことにお金を使うのはもったいない。

――ヨーロッパでは、税務当局が所得や源泉徴収額などをあらかじめ申告書に記入して、納税者に送る「記入済み申告制度」が、納税者の利便を高めています。「日本型記入済み申告制度」が導入されれば、マイナポータルで、税務申告が簡単になると期待されています。

国は副業を推進していますが、副業が増えると雑所得が増えます。マイナポータルは、このような人の税務申告の利便性を高めると同時に、国税当局も税の無申告や過少申告による税収減「タックス・ギャップ」が少なくなるので、ウィンウィンの関係になります。

ウーバーイーツの配達員のように、インターネットを介して、単発の仕事を請け負う「ギグ・エコノミー」の労働者に対して、セーフティーネットをめぐらせることが必要です。フリーランスの人は、個人事業主のため雇用保険もなく、失業保険も労災も適用されません。

一方、サラリーマンは、年末調整の時には会社が税務申告、納税をしてくれます。個人事業主になった途端、全ての経費をためて個人で申告しなければならず、全く違う世界になってしまうのです。同じ働き方をする勤労者なら、同じ制度を導入すべきでしょう。

●国に対する不信感の強い日本人、資産の把握を嫌がることがネックに

――制度が追い付いていないということでしょうか

税と社会保障がついていっていません。税に関する議論は、政府の税制調査会や自民党税制調査会、社会保障について所管する厚生労働省の中でも、労働と年金の担当が分かれています。このように完全な縦割りになっていて議論が横ぐしになっていない。ICTを活用した、具体的な税制や社会保障制度の検討は、もっとスピード感を持つべきです。

例えば、介護保険料は、65歳以上の第1号被保険者の場合、所得や世帯収入に応じて支払う仕組みですが、所得は少なくても資産を持っている人はいます。所得と資産の両面で見なければ、公平性が保てないのではないでしょうか。

マイナンバーカードを使えば、世帯所得を把握しやすくなるので、公平な納付につながります。資産を把握されることを嫌がる人もいるかもしれませんが、米国や英国では導入しています。マイナンバーカードで、社会保障は効率化できると思います。

――全てが明らかになることが敬遠されると

日本人の国に対する不信感はあると思います。例えば第一次世界大戦、第二次世界大戦ともに中立国だったスウェーデンは、国に対して信頼感があり、「国と個人は共同体だ」という意識があります。このため国民は、高額な税金や社会保険料も負担しますが、後から全てが返ってきます。日本では政権が国民の目を気にしすぎてしまっているように感じます。

●API機能を使って、さらに便利なサービスに

――マイナンバーカードの読み取りにiPhoneが使えるようになることが最近発表されました

多くの人が持つiPhoneが対応するようになり、普及が進む可能性はあります。無料通信アプリのLINEを使って保育園の利用申し込みができるなど、利便性も高まるでしょう。

マイナンバーカードのチップには空き容量があるので、それぞれの自治体の裁量で、図書館に本をリクエストするサービスを作ったり、民間のサービスと結びつける「API機能」を使って商店街と連携することもできます。ただ、現状では、どれだけ予算をかけることができるか自治体の財政状況によって、サービスに差が出てしまっています。

――マイナポータルが持つ機能を民間のサービスと結びつける、API連携はスムーズにいくでしょうか。

保険や住宅ローンの申し込みや、引っ越しの際の住所変更手続きへの活用が期待されています。ただ、システム改修などのコストを誰が負担するのかということが大きな課題です。大手企業は比較的スムーズにできるかもしれませんが、中小企業にとっては大きな負担になります。業界団体レベルで共通のシステムを作ることも検討すべきだと思います。

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