「コロナ復興特別税」導入で無駄遣いが増えるリスクも 東日本大震災では所得税などに上乗せ - 税理士ドットコム

税理士の無料紹介サービス24時間受付

05075861865

  1. 税理士ドットコム
  2. 税金・お金
  3. 「コロナ復興特別税」導入で無駄遣いが増えるリスクも 東日本大震災では所得税などに上乗せ

「コロナ復興特別税」導入で無駄遣いが増えるリスクも 東日本大震災では所得税などに上乗せ

税金・お金

「コロナ復興特別税」導入で無駄遣いが増えるリスクも 東日本大震災では所得税などに上乗せ
東日本大震災の復興特別税は、確定申告書にも項目として出てくる

NHKの新型コロナウイルスの特設サイトにある「世界ワクチンの接種状況」によると、少なくともワクチンを1回接種した人の割合は、5月28日時点で、イギリスが56.53%、アメリカが49.36%になっています。それに対して、日本は、6.01%にすぎません。

ワクチンの効果もあってか、イギリスもアメリカも感染者の数は、1月をピークに減少傾向が続いています。それに対し、日本では感染が収まらず、現在も緊急事態宣言が10都道府県に発出されている状態です。

イギリスやアメリカでは、コロナの終息が見えてきたことから、増税について議論がはじまっています。日本では国政選挙が今年の秋に迫っているため、表だって増税を主張する動きは見られませんが、選挙後は増税の議論がはじまるのでしょうか。

●東日本大震災の復興特別税とは?

コロナ後の増税として、東日本大震災の復興特別税を参考にすべきという意見があります。東日本大震災の復興特別税は、東日本大震災により甚大な被害を受けた東北地方の復興のための費用を捻出するための特別の税金です。「復興特別税」を支払っているということを意識している人はほとんどいないと思いますが、所得税を納税している人は皆「復興特別税」を支払っています。

正確には、「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」に基づき税が課せられています。この法律の主な目的は、①東日本大震災からの復興を図ること、②平成23年度から令和7年度までの間において実施する施策に必要な財源を確保すること、③復興特別所得税及び復興特別法人税を創設することです。

復興特別法人税は、法人税額に10%の税率を乗じた額になります。利子などについて復興特別所得税が課せられている場合には、その額は税額控除することができます。納税義務者は、法人はもちろん、人格のない社団も含まれます。

復興特別法人税は、平成24年4月1日以後に開始する課税期間から、課税されることになりましたが、平成26年度税制改正により、平成26年3月31日までに開始する事業年度までとなり、1年前倒しで終了しています。

一方、復興特別所得税は、平成25年1月1日から令和19年12月31日までの間に生ずる所得について課税されます。課税される割合は、所得税の額の2.1%相当額です。サラリーマンなどは、所得税が源泉徴収される際に一緒に復興特別所得税も源泉徴収されています。

●コロナ対策の支出、増税で対処すべきか

今回のコロナ対策費として国債が増発されており、令和2年度の公債発行額は112兆5,539億円となっています。国の借金は償還期限が来れば返済しなければならないので、返済のために再び国債を発行することになれば、自転車操業のような状態になってしまいます。そのため、しっかりと税収を確保し、借金を減らしていくことが必要になります。

ただ、コロナ対策で支出が増えたからと言って、安易に増税すればよいということではありません。税収の確保は必要ですが、それは、経済を回復させることによって回収すべきです。安易に増税を認めれば、政府が経済回復のための努力をしなくなるからです。

税収だけを考えれば、増税が最も簡単で手っ取り早いですが、落ち込んだ経済をまずは回復させることが重要であって、経済が落ち込んでいる状態で増税すれば、直接的、間接的に消費は減少するため、経済にマイナスの影響を与えます。

増税論者は、必ず「将来世代にツケは回せない」と言ってきます。これを言われると多くの人は増税に納得してしまいます。しかし、コロナの感染対策は、感染を防止することであり、それは今いる子どもたちを含めた将来世代のためでもあります。何も、将来世代にツケを回しているわけではありません。このような論法で増税を正当化されてしまわないよう注意が必要です。

●コロナ復興特別税創設のメリットとデメリット

安易な増税はするべきではありませんが、仮にコロナ復興特別税が導入された場合、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

(1)メリット
コロナ復興特別税が導入されれば、その分税収が増えるので、公債発行を減らすことができます。また、コロナで落ち込んだ経済を回復させるための施策を行うにもお金が必要なので、その施策のための財源になります。

消費税などを増税する場合、恒久的な増税になってしまいますが、復興特別税であれば、延長されるリスクはあるものの増税期間が限定されます。

(2)デメリット
復興特別税が課せられると、その分可処分所得が減るので消費が減少し、経済にマイナスの影響が出ます。復興特別法人税を増税した場合、法人の投資が減少し、経済活動が停滞することでかえって税収自体が減少するという可能性もあります。

コロナ復興特別税が創設された場合、各省庁はコロナとこじつけて予算を取ろうとしてきます。その結果、無駄なお金が使われる可能性があります。たとえば、「感染リスクを避けるため」という理由をつけて変える必要のないエレベーターを非接触のエレベーターに改修するなどです。

実際、「東日本大震災復興特別会計歳入歳出予定額各目明細」を見てみると、北海道大学から琉球大学まで全国の大学に対して運営交付金が計上されていたり、警察庁の施設費が計上されていたりします。東北の復興のためには、警察庁もきれいにしないといけないし、全国の大学もきれいにしなければならないということなのでしょう。

このように、「将来世代にツケは回せない」ということで増税に応じたはずなのに、国債の返済に使われるよりも、各省庁の予算が増えるだけということになるかもしれません。それが、増税の最大のリスクです。

●消費税の増税は困難、無駄な支出を抑制できるか

菅首相は、官房長官時代に「安倍晋三首相は今後10年上げる必要がないと発言した。私も同じ考えだ」と述べています。そのことから、菅首相が今後も首相でありつづける場合、消費税の増税は難しいと言えます。

ただ、コロナ禍という予想していなかったことが起こったということで、消費税の増税が必要だと財務省が主張してくる可能性はあります。コロナ禍がなければ、すぐに増税ということは難しかったはずですが、「将来世代にツケを回せない」という論法で、「コロナ対策費を回収するため」という大義名分を掲げて消費税率の増税を主張してくる可能性があります。

財政の健全化が求められるのは当然のことですが、その手段として安易に増税するのではなく、増え続ける歳出をまずは削減することが必要です 。歳出削減の話をすると、必ず経済対策のため補助金等が必要だと話がすり替えられます。

歳出の削減は経済対策費を減らすということではなく、社会保障費の見直しや議員や公務員も含めた無駄な支出を抑制することを中心に行うべきです。経済対策という名の下に補助金等が乱発されてはなりませんが、経済対策のため支出は効果が認められるものについては積極的にしていくべきです。

国会議員の定数削減や歳費の削減などは、国会議員がやる気になれば簡単にできることですが、自分の首を絞めるようなことを提案する人はいないでしょう。また、各府省担当者は予算を多く取れば取るほど褒められるので、自ら低い予算を請求する人はいません。したがって、国民が声を上げ続けるしか歳出削減は進みません。選挙という重要な時期が近づいていますので、国民のために働く政治家をしっかりと選ぶということがまずは求められます。

税金・お金の他のトピックスを見る

新着記事

もっと見る

公式アカウント

その日配信した記事やおすすめなニュースなどを、ツイッターなどでつぶやきます。

協力税理士募集中!

税理士ドットコムはコンテンツの執筆・編集・監修・寄稿などにご協力いただける方を募集しています。

募集概要を見る

ライター募集中!

税理士ドットコムはライターを募集しています。

募集概要を見る

「税理士ドットコム」を名乗る業者にご注意ください!