「交際相手の住宅ローンを半分負担」はあり?贈与税のリスクを税理士が解説
贈与税
「彼の持ち家(マンション)のローンを支払うべきか否か」――。ネット上やSNSを中心に、定期的に激しい議論が巻き起こるテーマがある。
きっかけは、結婚決断リアリティ番組『さよならプロポーズ』内での一幕だ。同棲中の彼氏が、自身の持ち家のローンについて、彼女に「半分負担してほしい」と求めたシーンが物議を醸した。
彼女の言い分は、「(彼名義の資産なのに)私が一緒に払っていくのがどうしても納得できない」というもの。管理費や光熱費などの公共料金はすでに彼女が負担している状況だが、彼は「半分払うのって当たり前のことなんじゃないか」と譲らない。彼には「彼女が浮いたお金を自分のために使ってしまい、将来に向けて貯金をしていない」という不満があるようだ。
実際のところ、独身で購入したマンションで同棲がスタートするケースは珍しくはない。
しかし、ここで見落とされがちなのが、こうした「個人間の金銭授受」がはらむ法的な危うさだ。愛着や不満といった感情論の裏で、税務上の義務や法的権利はどう動いているのか。税理士と弁護士の両資格を持つ菊地正志氏に聞いた。
●彼の住宅ローン支払いを負担することで「贈与」とみなされる可能性がある
ーー同棲中に彼の持ち家の住宅ローンの一部を彼女が支払うことで、贈与税の対象になるのでしょうか?もしくは「家賃」という名目で支払った場合はどうなりますか?
彼の住宅ローンを彼女が直接負担することは、贈与とみなされ、課税対象となる可能性が高いです。また、「家賃(生活費等)」の名目である場合、内縁関係といえるほどの実態があれば、共同生活維持のための必要な負担として、課税対象にならない可能性があります。
ただし、家賃相場よりかけ離れた支払いなどは、贈与を疑われる原因となるため注意が必要です。
●「清算ルールを記した合意書」の締結や「金銭消費貸借契約」を交わすという方法も
ーー同様のケースの場合、「所有権は100%彼のマンション」のローンを支払うことに、不公平感を抱くことはあると思います。法的にこの不満を解消する方法は現実的にあるのでしょうか?
現実的な解決法は、将来のために、支払った総額や万が一の清算ルールを記した合意書を締結することです。また、直接返済せず「彼への貸付」とする金銭消費貸借契約を交わす方法も有効で、債権として守ることができます。
一方、負担分に相当する所有権を共有名義に変更する方法もありますが、ローンが残っていると銀行の承諾を得ることが難しく、実務上は現実的ではありません。
●結婚後に2人で返済した部分は「財産分与の対象」になる
ーー今後結婚した場合「彼の持ち家」は財産分与の対象になりますか?「同棲中から彼女がローン返済を助けていた場合」と「そうでない場合」で、離婚時の扱いにどのような差が出るのでしょうか。
結婚前に購入した持ち家は、原則財産分与の対象外となります。もっとも、結婚後に2人で返済した部分は、夫婦の共有財産として、財産分与の対象となります。
結婚前に、彼女が返済を負担していた場合、財産分与とは別に不当利得(民法703条)等で負担分を請求できる可能性があります。負担していない場合は、一円も請求できません。
なお、離婚時の財産分与も、不当利得等による請求も、贈与税等の課税対象にはなりません。
【取材協力税理士】
江戸川葛西税理士事務所
菊地 正志(きくち まさし) 税理士
江戸川区西葛西駅前に事務所を構える弁護士、公認会計士準会員、宅地建物取引士。その豊富な知識と経験を駆使して、クライアントの多様なニーズに対応。税務申告ができる弁護士は希少な存在であり、失敗しない相続、事業承継、企業の税務及び法務における専門的なサポートを強みとしている。
江戸川葛西税理士事務所:https://ek-tax.jp/














