スーパー、コンビニの「半額」と「1つおまけ」、店側の税務は同じ?変わる?
計上
スーパーやコンビニでよく見かける「半額セール」や「1つ買うと、もう1つ無料」のキャンペーン。最近も、コンビニでスムージーが半額になり、長蛇の列ができたことで話題となった。確かに「半額」「1つおまけ」と聞くと、いつもよりお得なのでつい商品に手が伸びてしまう。
そこで、ふと疑問に思うのが「半額」「1つおまけ」の税務上の違いだ。
例えば、1個100円の商品を同時に2個購入すると仮定する。
・「半額」の場合: 50円 + 50円 = 100円
・「1つおまけ」の場合: 100円 + 0円 = 100円
支払う金額はどちらも同じ「100円」のため、私たち消費者からすれば違いはない。しかし、お店側の「税務上の扱い(売上の立て方や消費税の計算)」となると、実は大きな違いが生まれる可能性がある。
「たかが数十円のプロモーション」ではあるが、毎日膨大な取引を行うコンビニや小売店にとっては、利益や納税額を左右する重要な問題だ。そこで、「半額」と「1つおまけ」の税務上の違いについて、米世毅税理士に話を聞いた。
●「1つ無料」の経費は「販売促進費(広告宣伝費)」で処理する
ーー「半額」と「1つ買うと無料」とでは、会計上・税務上はそれぞれどのように処理されるのでしょうか?
「半額」は値引き販売です。会計上は値引き後の金額で売上を計上し(原価は売上原価)、消費税も実際に受け取った対価が課税標準になります。
一方「1つ無料」は、1個を定価で販売し、もう1個を無償で提供したという整理が基本です。売上は1個分だけ計上し、無償で渡した分の原価は『売上原価』ではなく『販売促進費(広告宣伝費)』として処理します。無償提供した分は対価を得ていないため、消費税の課税対象外(不課税)です。ただしレジのシステム上『2個で100円』の値引きとして処理していれば、半額と同じ扱いになります。
●最終利益は同じでも損益計算書の見え方は異なる
ーー価格が100円の商品(原価33円)を2つ購入すると仮定し、「半額」と「1つ買うと無料」とで、最終的な利益がどのように異なるのでしょうか?
どちらも受け取るお金は100円、出ていく原価は2個分の66円なので、最終利益は34円で同じです。ただし損益計算書の姿は変わります。
「半額」は『売上100円-原価66円=粗利34円』で粗利率は34%です。一方、「1つ買うと無料」は『売上100円-原価33円=粗利67円』で粗利率は67%となります。そして、無償提供分の原価33円は販売促進費(広告宣伝費)として販管費に計上します。
つまり、最終的な利益は同額でも、粗利率や販促費など経営指標の見え方が大きく異なります。なお、消費税の課税標準はどちらも100円で変わりません。
●プロモーションを行う際は、税務の観点も踏まえて検討を
ーーコンビニや小売店がプロモーションを行う際、「税務や利益の観点」から、それぞれの手法のメリット・デメリットをお教えください。
「半額」は、値引きとして売上を計上するだけなので処理がシンプルで、税務上の論点も少ない反面、粗利率が下がり、定価の値崩れ感が出やすい手法です。
「1つ買うと無料」は定価を守りつつ「無料」の訴求力で集客でき、一般消費者向けであれば、無償提供分の費用は『販売促進費(広告宣伝費)』として全額損金になります。
ただし、特定の取引先だけに同様の提供を行うと『交際費』とされるおそれがあります。そのほかにも、後日の引換券方式では、売上の一部を繰り延べる処理が求められる場合もあり、経理はやや複雑になります。
【取材協力税理士】
米世 毅(よねせ たけし)税理士
資生堂本社、資生堂パーラーの経理部門に勤務後、税理士米世毅事務所を開業。会計・税務の専門知識に加え、事業会社で培った視点と現場対応力を駆使し、税務や財務の複雑な課題に対して実践的な解決策を提案。企業経営者であるクライアントの視点を理解しつつ、よりよい未来のための戦略を共に考えることを使命としている。
事務所名 :税理士米世毅事務所
事務所URL:https://tax-yonese.jp/















