10年介護した「嫁には遺産0円」の現実。救済制度「特別寄与料」の4つの要件と手続きを税理士が解説
相続財産
「お義父さんのために、これだけ尽くしてきたのに…」。
長年、義理の父母の介護を献身的に担ってきた「息子の嫁」。自分の時間と体力を削って家族のために頑張ってきたという方は少なくありません。しかし、いざ義父が亡くなったとき、嫁には残酷な現実が突きつけられることになります。
それは、「法律上、(息子の)嫁には相続権がない」ということです。
日本の民法では、法定相続人は「血族」と配偶者が基本となります。つまり、どれだけ介護に尽くしても、嫁自身は法律上の相続人ではないため、遺産を受け取ることはできないのです。
この理不尽な状況を解決するため、2019年7月に施行されたのが「特別寄与料(とくべつきよりょう)」制度です。この制度は、相続人以外の親族(長男・次男の嫁など)が、無償で介護や看病に尽くした場合、他の相続人に対して「お金(特別寄与料)」を請求できるというもの。
<特別寄与料の請求が認められる4つの要件>
(1)被相続人の親族(6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族)である
※相続人、相続放棄をした者、相続欠格者、廃除により相続権を失った者は除く
(2)被相続人に対し無償で療養看護その他の労務の提供をしたこと
(3)被相続人の財産の維持または増加に特別な寄与があったこと
(4)療養看護等と財産の維持または増加に因果関係があること
ただし、この制度の新設により、夫の両親の介護をしてきた親族が無条件で金銭を請求できるわけではないので注意が必要です。
そこで、「特別寄与料」の実態と、その権利を確実に認めてもらうためのポイントについて、高山弥生税理士に話を聞きました。
●「特別寄与料の請求」は相続開始および相続人を知った時から6か月以内に行う
ーー特別寄与料の請求をする際の具体的な手続きや期限についてお教えください。
「特別寄与料」は、特別寄与者が、相続の開始および相続人を知った時から6か月以内に請求しなければなりません(または、相続開始の時から1年以内)。
まずは相続人と話し合いますが、合意できない、または話し合いが拒否された場合、家庭裁判所へ「特別の寄与に関する処分調停」を申し立てます。調停でも話し合いがまとまらない場合は、自動的に「審判(裁判官による判断)」へ移行します。
●特別寄与料には介護型と家業従事型の2種類ある
ーー要件にある「財産の維持または増加に特別な寄与があった」というのは、具体的にどのような状態や行為を指すのでしょうか?
「その人(=特別寄与者)の無償の努力がなければ、本来なら減っていたはずの遺産が減らずに済んだ(維持)、または遺産が増えた(増加)」という状態を指します。
具体的には、無償で介護や看病をしたことで施設入居費用やヘルパー費用がかからなかった、無償で事業を手伝ったことで人件費が浮いたなどです。
ーー要件を満たしている場合、特別寄与料の金額はどのように計算されるのでしょうか?
介護の場合、ヘルパー代を基準として、以下の計算式に基づいて計算されます。
<計算式>
1日あたりの介護報酬相当額(約5,000円〜8,000円)✕介護日数✕裁量割合(身内であることを考慮し0.5〜0.8程度)
事業を手伝っていた場合は、外部の人を雇ったらいくらになったかを基準に計算します。従事した事業や年数によっては高額になることもあるでしょう。
【取材協力税理士】
高山 弥生(たかやま やよい)税理士
VSG相続税理士法人溝の口オフィス代表税理士。実務の傍ら、執筆やセミナー講師を務める。
VSG相続税理士法人では、相続税申告において日本最大級の実績とノウハウにより、顧客の立場に立って一番有利な相続アドバイスを行う。グループの行政書士・司法書士・社会保険労務士法人と連携をとり、あらゆる相続の悩みに対応している。
事務所名 :VSG相続税理士法人
事務所URL:https://vs-group.jp/sozokuzei/
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