短期間の業務委託における青色申告・事業所得の適用可否について
現在正社員として勤務している会社を、2026年12月末または2027年1月末で退職し、その後、同じ会社と業務委託契約を結ぶことを検討しています。
想定しているパターンは以下の2つです。
・パターン①:2026年12月末退職 → 2027年1月〜3月の3か月間、業務委託
・パターン②:2027年1月末退職 → 2027年2月〜3月の2か月間、業務委託
業務委託の条件は以下を想定しています。
・報酬:月額66万円程度
・業務内容:データ分析・アナリティクスエンジニア業務
・雇用契約ではなく業務委託契約
・2027年4月以降は別会社に正社員として転職する予定
・現時点では、その後継続的に個人事業を行う予定はありません
・経費はほとんど発生しない想定です
この場合、業務委託で得た収入について「事業所得」として青色申告を行い、青色申告特別控除(最大65万円)を適用することは可能でしょうか。
特に以下を確認したいです。
1. 1〜3月の3か月間のみの業務委託でも、事業所得として認められる可能性があるか
2. 2〜3月の2か月間のみの場合でも、事業所得として認められる可能性があるか
3. それぞれのケースで青色申告特別控除65万円を利用できるか
4. 開業届・青色申告承認申請書をいつまでに提出すればよいか
5. 3月末で業務委託を終了し、4月から正社員に戻る予定でも問題ないか
6. 契約内容や実際の働き方について、事業所得と認められるために注意すべき点があるか
7. 当初3月末までの契約予定でも、途中で2月末などに契約終了となった場合、青色申告の扱いに影響するか
8. 正社員として勤務していた会社と、退職直後に業務委託契約を結ぶ場合に、税務上特に注意すべき点があるか
よろしくお願いいたします。
税理士の回答
前提として、今回のケースでは、元勤務先との業務委託が実態として給与所得ではなく、事業として行われているかを確認することが重要です。
◆1. 1~3月の3か月間のみでも、事業所得として認められる可能性があるか
3か月間という期間だけを理由に、事業所得として認められないとは限りません。
事業所得に該当するかは、期間だけではなく、その活動が社会通念上「事業」といえる程度で行われているかを、実際の働き方などから総合的に判断します。
◆2. 2~3月の2か月間のみでも、事業所得として認められる可能性があるか
2か月の場合も基本的な考え方は同じです。
ただし、今回は当初から短期間の予定で、その後は会社員に戻り、個人事業を継続する予定もないとのことですので、事業所得に該当するかは慎重に判断する必要があります。
◆3. 青色申告特別控除65万円を利用できるか
業務に係る雑所得や給与所得に該当する場合には、青色申告特別控除は利用できません。
事業所得に該当し、期限内に青色申告承認申請書を提出したうえで、複式簿記による記帳、決算書の添付、期限内のe-Taxによる申告などの要件を満たせば、2027年分について65万円控除を受けることができます。
◆4. 開業届・青色申告承認申請書の提出期限
開業届は、開業した年分の所得税の確定申告期限までです。
青色申告承認申請書は、
・1月1日~1月15日に開始した場合:3月15日まで
・1月16日以後に開始した場合:開始日から2か月以内
となります。
したがって、パターン①で1月1日~15日に開始する場合は2027年3月15日まで、パターン②で2月に開始する場合は開始日から2か月以内となります。
◆5. 3月末で業務委託を終了し、4月から正社員に戻っても問題ないか
4月から正社員に戻ること自体に問題はありません。
ただし、当初から短期間の業務委託で、その後事業を継続する予定がないことも、事業所得に該当するかを判断する際の事情の一つになります。
◆6. 事業所得と認められるために注意すべき点
契約書に「業務委託」と記載されているだけで、事業所得になるわけではない点に注意が必要です。
たとえば、
・業務の進め方について指揮命令を受けるか
・勤務時間や場所を拘束されているか
・必要な機器や費用を誰が負担するか
・自己の責任と裁量で業務を行っているか
など、実際の働き方が重要です。
また、収入や経費について帳簿をつけ、契約書・請求書などの書類を保存しておくことも重要です。
◆7. 途中で2月末などに契約終了となった場合
予定より早く終了したことだけを理由に、青色申告ができなくなるわけではありませんが、所得区分は実際の業務期間や働き方などを含めて判断しますので、結果的にさらに短期間となった事情も判断材料の一つになります。
◆8. 元勤務先と退職直後に業務委託契約を結ぶ場合の注意点
今回のケースでは、ここが特に重要です。
退職前と仕事内容や働き方がほとんど変わらず、元勤務先から指揮命令を受けて勤務する実態がある場合には、契約書上は業務委託でも、税務上は給与所得と判断される可能性があります。
そのため、契約書の名称だけではなく、退職前と退職後で実際の働き方がどのように変わるのかを確認したうえで、所得区分を判断する必要があります。
山本快夫
ご質問に対する回答)
↓
1. 短期間だからといって事業所得が認められないわけではありませんので、事業所得に該当する余地はあります。また、事業所得か雑所得だけでなく、給与所得に該当しないか、判定が必要と考えます。
2. 上記1.と同じです。
3. 上記1.のとおり、青色65万円控除は適用できる余地はあるとは考えますが、雑所得または給与所得に該当する可能性がありますので、否認リスクは残ります。
4. 青色申告承認申請書の提出期限はパターン①2027/3/15または開業日から2か月以内、パターン②開業日から2か月以内です。開業届に提出期限もなく提出無しでも罰則もありませんが、一般的には青色申請と同時に提出します。なお、たとえ開業届を提出しても、事業所得か否かの判定には影響しません。
5. 「予定」があることによって単発性が高まり、事業所得に該当しなくなる要素がより強まり、雑所得に該当する要素が強まると考えます。
6. 事業所得か雑所得だけでなく、給与所得に該当しないか、判定が必要と考えます。
7. 上記1.のとおり、そもそも事業所得に該当しない可能性がありますが、大きな違いはなく、判定にあたって影響は少ないと考えます。
8. 上記6.のとおり、事業所得か雑所得だけでなく、給与所得に該当しないか、判定が必要と考えます。
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補足)
雑所得か事業所得か・・・
ある所得が所得税法27条1項にいう事業所得に該当するか否かは、「自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得」であるか否かによって判断すべきである(最高裁昭和56年4月24日)とされています。
そして、同法27条1項にいう事業(同法施行令63条12号にいう「対価を得て継続的に行う事業」)に該当するかどうかを社会通念に従って判定する場合には、①営利性、有償性の有無、②継続性・反復性の有無、③自己の危険と計算による企画遂行性の有無、④その取引に費やした精神的あるいは肉体的労力の程度、⑤人的・物的設備の有無、⑥その取引の目的、⑦その者の職業・社会的地位・生活状況などの諸要素を総合的に検討し、社会通念に照らして判断するのが相当であるともされています。
参考資料
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/kaisei/221007/pdf/02.pdf
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雑所得か給与所得か・・・
質問者さまの場合、雑所得(外注費収入)か給与所得か・・の判定が必要となります。
税務上は契約という形式だけでは決まらず、実態で総合的に判定します。
次の5項目が「基本的な」ポイントになります。
・他人が代替して業務を遂行することが可能か?
・時間的拘束、空間的拘束は有るか?
・指揮監督命令下にあるか?
・納品前の商品やサービスが滅失した場合に金銭の要求をできるか?
・作業に必要な物品はどちらが準備するか?
しかし、この5項目だけでは判定しづらいため、これまでの多数の裁判例から積み上げられた内容をもとに、東京国税局が具体的で多くの項目につきチェックできるものを作成しています。検索すると出てきますので、一度判定されることをおすすめ致します。
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他の方のアドバイスも参考になさってください。少しでもご参考になりましたら幸いです。
本投稿は、2026年09月15日 01時40分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。






