Amazonギフト券贈られ、作家困惑…ファンの好意は「迷惑」?
贈与税

「下町ロケット」を手がける池井戸潤さんなど、人気作家の世界にハマって作品を読みあさる人もいるでしょう。なかには、感謝の気持ちを込めてか、作家に対して贈りものをするファンもいるようです。
税理士ドットコムには、ある作家から相談が寄せられました。この作家はファンから数千円程度のAmazonギフト券をもらい、確定申告の際にどのような扱いにするべきなのか悩んでいる様子でした。
この場合は金額的には高額とまでは言えませんが、ファンの資力によってはものすごい高価なプレゼントが贈られることもあるかもしれません。
その場合、もらった作家側に予期せぬ申告の手間や税負担が生じるなど、困ることになる可能性があります。どう考えればいいのか、高橋創税理士に聞きました。
●贈与税、もらった総額が年間110万円超かどうか
ーープレゼントをもらうと場合によっては贈与税がかかるのですよね
「はい。個人からお金や物をもらった場合には贈与税が課されます。もらって得をしたのであれば税金を払いましょうね、というわけです。
ですが、ちょっとしたやりとりにまで税金をかけられては大変ですので、贈与税がかかるのはもらった金額が年間で110万円を超える場合とされています」
ーー110万円ということなら今回のケースは申告不要ですね
「そうとは言い切れません。ここで注意が必要なのは、110万円というラインは1人からもらったものだけではないという点です。誰からもらったかは関係なく、年間でもらった総額が110万円を超えるかどうかで判断されます。
この作家さんはファンの方にAmazonギフト券をもらったとのことですが、年間でもらったものがそれだけであれば110万円以下になりますので税金の問題は生じません。
ですが、その他にももらったものがあって総額が110万円を超えてしまったらAmazonギフト券も贈与税の対象となってしまいます」
ーーそれだとプレゼントの価格によっては贈る側の好意が結果的に迷惑になってしまうことがあるということですか。なかなか難しいですね
「そうですね。プレゼントが課税の対象となってしまうのはちょっと切ないお話ではありますが、そういう可能性もあり得るということは認識した上で、あまり高級なものは送らないなどの気遣いは必要なのかもしれません。
プレゼントをもらうことはうれしいことですので、私などは『税金がかかってもいいからプレゼントほしい!』と思ってしまいますけど」
【取材協力税理士】
高橋 創 (たかはし・はじめ)税理士
資格予備校講師(所得税法)、会計事務所勤務を経て、2007年に独立。
事務所名 : 高橋創税理士事務所
事務所URL: https://takahashi-hajime.jp/