外国へ引っ越しても相続税から逃れられない!? 外国が関わる相続のポイントとは?

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外国へ引っ越しても相続税から逃れられない!? 外国が関わる相続のポイントとは?

著者: 相続110番

取材協力: 橘 慶太 税理士

外国人や外国在住の方が関わる相続の場合、日本国内だけでの相続に比べると手間や必要な知識がより必要になってきます。

被相続人が海外にいる場合、一般的な相続とどう違うのか、また相続税はどうやって算出するのかなど不安はつきません。

そこで今回は外国人の方や外国在住の方が関わる相続について説明します。

外国に不動産がある相続

まず外国に不動産がある方の相続について説明します。

このケースの面倒な点は、外国にある不動産の査定を行う必要がある点です。日本国内で不動産を相続する場合、路線価等の評価基準によって相続税額を計算します。しかし、海外では路線価等の評価基準がない場合があります。このような場合は、現地の人に査定を依頼し、不動産を評価するしか方法はありません。

また、この場合のように複雑な手続きが必要な場合であっても、相続税は被相続人が亡くなったことを知ったときから10ヶ月以内に申告する必要があります。そのため、海外の専門家の方に不動産査定の依頼をし、査定額を知るまでに申告期限が過ぎてしまう場合があります。

もし査定に時間がかかり、申告までに相続税額を正確に把握できない場合は、期限を過ぎてから申告するのではなく、まずはざっくりと税額を計算し、正しい査定が終わってから、数値を直して修正申告するようにしましょう。

外国に相続人がいる相続

次に外国に相続人がいる場合の相続について説明します。

相続が行われる際、複数の相続人がいるならば、遺産分割をしなければなりません。そこでは、遺産分割協議書という書類を作成することが一般的です。遺産分割協議書は、遺産分割の結果を記録し、すべての相続人が署名し、実印で捺印します。遺産分割協議書は各種の相続の手続きで必要になるだけでなく、相続のトラブルを防ぐことにもつながります。

もし、例えば、相続人である家族のひとりが海外にいる場合、遺産分割協議書を郵送でやりとりしなければなりません。しかしながら、外国には基本的に印鑑署名はありません。そのため、日本大使館でサイン証明というものをもらい、これを遺産分割協議書に添付します。

ここまでの説明でも分かる通り、相続に外国が絡むものは時間がかかるため、時間との戦いになります。

最近の日本は、富裕層を外国に行かせない改正が多い!?

近年の日本では新しい税制によって、海外に引っ越すからと言って、安易に課税を回避することができなくなりました。

例えば、日本では平成27年7月に国外転出時課税という新しい制度を取り入れました。この制度は、簡単に言えば、株式などの有価証券を1億円以上もっているひとが、海外に引っ越す際に儲けが出ている状態ならば、その20%を納税する必要があるという制度です。

本来、株式は売却しなければ所得税を支払う必要はありません。しかし、この制度では、株式を売却をしていなくても、海外転出の際にの含み益に所得税が課税されます。

そのため、この制度に該当する方は株式などのほか、現金を用意する必要がありますので注意しましょう。

わかりやすい例でいえば、現在、シンガポールなどでは株式を売った際に税金がかかりません。そのためシンガポールに引っ越してから株式を売却すれば、本来課税されるはずであった所得税を回避することができます。このような動きを抑制するために税制が改正されました。

また、最近ではビットコインなどの仮想通貨を海外の口座に送りこみ、課税を回避しようとしてるひとも多いようです。しかし、この部分も、同様に取締りが厳しくなるでしょう。

おわりに

外国人や外国在住の方がいる場合、一般的な相続より複雑になることがあります。また相続税の申告には期限も決まっているため、ひとりで解決することは非常に難しいでしょう。

自身では複雑な準備や申告ができない場合や、海外転出の節税について詳しく知りたいという方は専門家に相談・依頼してみてはいかがでしょう。

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