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  1. 海外に所有する不動産が日本で相続の対象になるケースとは?手続きと注意点のまとめ

海外に所有する不動産が日本で相続の対象になるケースとは?手続きと注意点のまとめ

近年、海外の不動産投資が人気で、海外に不動産や土地などを持っている方が増えているそうです。

海外で保有している不動産や預金口座などの資産を、日本に居住している方が相続することになった場合は、原則として日本で相続税を支払わなければなりません。

今回は、海外に不動産を持っている場合に、気をつけたい相続のポイントについて解説いたします。

※便宜上、相続人が1人の場合として解説しています。

目次

海外財産について相続税がかかる場合

海外にある財産を相続することになった場合、相続する人が日本に住んでいるか(居住者)かそうでないか(非居住者)や、日本の国籍の有無などで、その財産に相続税が課せられるかどうかが変わります。

相続税を課せられる人とその財産の範囲は次のとおりです。

「無制限納税義務者」は課税される

つまり、以下の例に該当するような方は「無制限納税義務者」に区分されるため、海外に所有する財産についても課税されることになります。

【海外財産に課税される人の例】
居住無制限納税義務者 ・相続時までずっと日本に住んでいる
・世界各地を転々としていたが、相続時には日本に住んでいる
非居住無制限納税義務者 ・相続時に海外転勤6年目である
・相続時に海外移住して9年目である

一方で、相続時点で「海外生活12年目」というような方は「制限納税義務者」となり、海外財産に対する相続税は課されません。

海外財産相続で必要になる手続きがある

海外財産を相続する場合、国内の相続時には無いような各種手続きを行うことがあります。具体的にどのような手続きが必要になるのかについて、ご説明致します。

納税管理人の選定

相続人(遺産を引き継ぐ人)が1年以上の期間、海外転勤や海外居住等をする(非居住者となる)場合は、納税管理人を立てなければなりません。

納税管理人とは、非居住者である相続人に代わって相続税の納付を行う人のことです。

納税管理人に選ぶにあたって、特に決まりはなく、日本国内に住所がある人であれば誰でも指定できます。しかし、納税に関わる書類を扱わなければならないので、実務上は税理士などの専門家に依頼するのが一般的です。

プロベートが必要になることも

例えば、保有している財産がアメリカにあり、その財産についての遺言がない場合は、「プロベート(検認裁判)」と呼ばれる手続きが必要になります。

プロベートとは、被相続人の財産が相続人に受け継がれるための法的なプロセスのことです。この制度は主に米国などで採用されているものです。

日本においても「遺言書の検認」という手続きが存在しますが、それとは全くの別物です。異なる点として、遺言書が存在しなくても行われる点や、遺言書の有効性の判断まで行うという点などが挙げられます。

プロベートを行うことになった場合、手続きのための書類を各種準備しなくてはならないため、手続きには概ね1年から3年もの期間を要することになります。

さらに、プロベートにかかる費用は現地の専門家に協力してもらった期間次第となるため、長期間にわたるものほど費用がかさんでいきます。

このような事態を招かないためには、予め以下のような対策を講じておくとよいでしょう。

  • ジョイントテナンシー(次項にて説明致します)
  • きちんと遺言を残す
  • 財産を信託財産へ移転する

回避の方法をより詳しく知りたい方は、現地の法律に詳しい専門家の方に話を訊いてみることをおすすめいたします。

ジョイントテナンシーを利用する

海外では、不動産等の財産に対する「ジョイントテナンシー」という制度があります。

この制度は、複数人で財産を共同所有し、所有者の1人が死亡したら生存者に所有権が継承される、というものです。ここでの所有者の所有割合は、均等になるものとされています。

例えば、ある不動産を祖父母、父母、兄、妹が共同所有していて、祖父が死亡した場合には、生存している5人に所有権がわたることになります。

この制度を用いていれば、自動的に相続が行われるため、プロベートの手続きは不要になります。

ただし、所有権の自動移転の際にも、日本においては相続税財産として課税処理がなされることになる点に注意しましょう。

海外財産の評価額は調査が必要

海外財産の相続税額を知るためには、その評価額を知る必要があります。

海外財産の相続税評価額算出にあたって、基本的には国内不動産と同じく路線価等に基づいて計算するものとされています。

しかし「路線価」が定められていないところも多くあり、この場合は、国税庁は以下の価額を参考に評価額を決めます。

  1. 実際の売買実例価額、すなわち時価評価額
  2. 精通者意見価格等、専門家の算出した価額

このような方法を用いて、個人が海外不動産の時価評価を行うことも可能ですが、算出価額の信頼性の点から、以下のいずれかの方法を取ることが一般的です。

不動産業者に査定を依頼する

海外不動産の購入時、大半の場合には日本国内の不動産仲介業者を通じて、物件の情報入手、及び売買を行うでしょう。そのときの不動産仲介業者に、現地不動産の時価算出を依頼するというのが一つ目の方法です。

このとき注意しなければならないのは、業者によって時価の算出結果に若干の開きが出てくることです。国税庁に提出する結果の信頼性を上げるため、時価算出は複数業者に任せ、適正な時価を算出できるようにすると良いでしょう。

不動産鑑定士等の専門家に依頼する

もし、不動産業者の協力を得られなかった場合や、広い敷地付き・温泉付き等の特殊な物件を保有している場合は、不動産鑑定士等の専門家に時価評価を依頼しましょう。

この専門家による評価額算出を、「精通者意見価格」として国税庁に提出することができます。

ただし、精通者意見価格についての調書の作成には、数十万円もの費用がかかってしまうため、その点は注意が必要です。

相続税額に関してのポイント

次に、海外財産の相続税評価額の他、海外財産の相続特有の注意点をご説明いたします。

換算レートの適用

海外不動産の相続税取得金額や、売却時の譲渡所得を日本通貨建の金額に直す際には、対顧客直物電信売相場(TTS)と対顧客直物電信買相場(TTB)の仲値(TTM)が用いられます。

この際、レートが円高に振れているときの方が節税になることを覚えておきましょう。

例えば、評価額が50万ドルの海外不動産を保有している場合で考えます。ドル円が100円のときの課税評価額は「5,000万円」となり、ドル円が80円のときには「4,000万円」になります。よって1,000万円の部分に対する税金分が、円高のときにお得になるということです。

小規模宅地等の特例を活用する

相続税における小規模宅地の特例は、相続不動産の所在地に関して特に取り決めを定めていません。したがって、海外不動産に対しても適用することが可能です。

小規模宅地等の特例とは、相続される居住用宅地が330㎡以下である場合、相続税評価額に対して80%の減額がなされる特例制度のことです。例えば評価額が1億円であれば、それを2,000万円にまで下げることができます。

この特例は、宅地の区分と取得者によって適用の条件がありますので、ご自身が該当しているのかどうか一度確認してみましょう。

外国税額控除も受けられる

外国税額控除とは、相続税・贈与税に関して、日本国内と海外とで二重に相続税が課されてしまう場合に、税額が控除される制度のことです。

海外財産についても、現地で相続税が課される場合がありますが、これについて税額控除を受けることができます。控除できる金額は以下2つの小さい方の金額となります。

  1. 外国で支払った相続税の額
  2. 各種税額控除後の相続税の額 × (相続人が海外保有している財産の価額/相続人の全相続財産の価額)

例として、日本に5億円分、米国に1億円分の財産を保有していた場合で考えてみます。計算方法については、以下の相続税率を元に簡略化して算出しています。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

まず、米国で支払った相続税が3千万円だとします。

一方日本での相続税額は「6億円 × 50% − 4千200万円 = 2億5千800万円」で、このうちの海外財産の割合1/6をかけて、4千300万円となります。

つまり、2つの金額を比べてより小さい3千万円の部分だけ、外国税額控除を受けることができるということです。

おわりに

近年、海外の不動産に投資をする人が増えてきているため、海外不動産の保有者に対して税務調査が行われる可能性が高くなっています。海外不動産を相続した際に申告漏れや間違いのないよう、本記事で紹介したようなポイントについてよく確認しておきましょう。

特に、プロベート等の日本には無い制度や、海外財産の評価額の算出方法等については注意が必要です。

自分のケースでは、相続税の対象となるのかわからない。など不明点があれば、税理士など専門家に相談してみるのも良いでしょう。

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