スタンドバイ・クレジット(SBLC)制度とは?海外展開を行う中小企業必見 - 節税や実務に役立つ専門家が監修するハウツー - 税理士ドットコム

税理士の無料紹介サービス24時間受付

05075863695

  1. 税理士ドットコム
  2. 資金調達
  3. 資金調達のハウツー
  4. スタンドバイ・クレジット(SBLC)制度とは?海外展開を行う中小企業必見

スタンドバイ・クレジット(SBLC)制度とは?海外展開を行う中小企業必見

海外進出をしたものの、海外現地法人の信用力が乏しく、融資を受けることができないという中小企業は多いものです。そんな悩みを解決するための資金調達制度として「スタンドバイ・クレジット(SBLC)制度」があります。

この制度を利用することで、海外で円滑に融資を受けることが可能になります。この記事では、スタンドバイ・クレジット制度のメリットや融資条件などを解説します。

目次

スタンドバイ・クレジット制度とは

そもそも海外に進出している企業や海外支店が資金調達をする方法は、大きく2つあります。1つは、日本の親会社やグループ会社から出資を受ける方法です。比較的容易に資金調達ができますが、為替手数料や送金などのコストがかかってしまいます。

もう1つは、海外の金融機関から直接融資を受ける方法です。現地で資金調達ができれば、前述のような為替手数料や送金などのコストを軽減できます。ただし、海外現地法人や海外支店に信用力がない場合、融資を受けるのは極めて困難になります。

その際に役立つのが「スタンドバイ・クレジット制度」です。この制度は、海外現地法人や日本企業の海外支店が、現地の海外金融機関から円滑な資金調達を行えるように、日本の金融機関が支援する融資制度です。Standby Letter of Creditを略してSBLCとも呼ばれます。

スタンドバイ・クレジット制度は、日本政策金融公庫商工中金、一部の都市・地方銀行など、さまざまな金融機関で取り扱っています。今回は、日本政策金融公庫が扱うスタンドバイ・クレジット制度について解説します。

日本政策金融公庫のスタンドバイ・クレジット制度

日本政策金融公庫のスタンドバイ・クレジット制度は、中小企業向けに融資を行う中小企業事業が扱っています。日本企業の海外支店や海外の現地法人(以下、海外現地法人)が海外の金融機関から融資を受ける際に、日本政策金融公庫が債務保証の信用状を発行します。

海外の金融機関は、もし海外現地法人から返済が受けられなくても日本政策金融公庫からの返済が保証されます。そのため、現地での資金調達が円滑に進むことが期待できるのです。

なお、海外の金融機関から融資を受けるのは海外現地法人ですが、日本政策金融公庫へ信用状の発行依頼を行ったり、審査の対象となるのは国内の親会社となります。

具体的な手続きの流れは、以下のフローチャートのとおりです。

SBLCのフローチャート

スタンドバイ・クレジット制度のメリット

スタンドバイ・クレジットを利用すると、以下のようなメリットがあります。

海外で円滑な資金調達ができる

日本政策金融公庫は政府が100%出資している政策金融機関です。そのため、日本政策金融公庫の信用状を担保に活用することで、海外の金融機関からの円滑な資金調達が可能になります。また、日本政策金融公庫の信用力を考慮した金利で融資が受けられます。

国内の親会社の財務体質を改善できる

海外現地法人が国内の親会社から資金調達をすると、親会社は海外現地法人へ長期貸し付けをするほか、日本の金融機関からの長期借り入れが必要になることがあります。スタンドバイ・クレジット制度では海外現地法人が直接資金調達を行うため、国内の親会社のバランスシート(貸借対照表)がスリム化でき、経営指標の改善が期待できます。

為替リスクを回避できる

国内と海外で資金のやり取りをする場合は、為替の変動リスクが生じます。しかしこの制度を利用すれば、現地通貨で借り入れできるので、現地の事業活動で得た資金をそのまま返済に当てることができます。そのため、資金調達にかかる為替リスクを回避することができ、予期していなかった損失を生むリスクも少なくなります。

海外での情報収集の強化

この制度の利用をきっかけに、海外の金融機関との取引を開始することができます。利用が拡大すれば、海外でのさらなる資金調達や情報収集の強化を図ることができます。

利用条件や融資内容

スタンドバイ・クレジット制度の利用条件や内容について、詳しく紹介しましょう。

対象となる人

制度の対象となるのは、海外現地法人が提携金融機関から現地通貨で融資を受けることを目的としていて、かつ以下のいずれかに当てはまる人です。

  1. 経営強化法に基づく経営革新計画の承認(変更承認を含む)を受けた人
  2. 経営強化法に基づく異分野連携新事業分野開拓計画の認定(変更認定を含む)を受けた人
  3. 経営強化法に基づく経営力向上計画の認定(変更認定を含む)を受けた人
  4. 地域資源活用促進法に基づく地域産業資源活用事業計画の認定(変更認定を含む)を受けた人
  5. 農商工等連携促進法に基づく農商工等連携事業計画の認定(変更認定を含む)を受けた人
  6. 農業競争力強化支援法に基づく事業再編計画の認定(変更認定を含む)を受けた人
  7. 農業競争力強化支援法に基づく事業参入計画の認定(変更認定を含む)を受けた人
  8. 食品等流通法に基づく食品等流通合理化計画の認定(変更認定を含む)を受けた人

信用状の発行条件

スタンドバイ・クレジット制度で融資を受けるためには、以下の信用状の発行条件をクリアする必要があります。

補償限度額1法人あたり4億5000万円
(1)海外支店や分工場など、国内親会社と法人格が同一の場合は国内親会社ごとに4億5000万円、(2)海外において別個に法人格を持つ場合は当該法人ごとに4億5000万が限度額
補償条件提携金融機関からの請求による支払い
信用状有効期間1年以上6年以内
適用ルールUCP600(国際商業会議所による信用状統一規則)またはISP98(国際銀行法銀行業務協会)が主体となって作成した国際スタンドバイ規則に準拠

信用状制度の利用条件

信用状制度の利用条件となる補償料率や補償料の支払方法などは以下のとおりです。

補償料率信用リスク・信用状有効期限等に応じて所定の料率を適用
補償料の支払方法信用状の発行前に一括払い
保証人一定の要件に該当する場合は、経営責任者の個人保証が必要
償還債務の金額日本政策金融公庫の補償履行金額に費用等を加えた金額を円換算した額

海外での借り入れ条件

融資条件(期間・返済方法・金利等)の詳細は提携金融機関が決定します。ただし、以下の内容を満たしている必要があります。

融資金額および通過信用状の補償金額の範囲内。現地流通通過建て
資金使途承認または認定を受けた計画事業を行うための設備資金および長期運転資金
融資期間1年以上5年以内

海外の提携金融機関

スタンドバイ・クレジット制度を利用して融資を受けられるのは、日本政策金融公庫が提携している提携金融機関となっています。現在は15の金融機関と提携しています。

平安銀行(中国)、インドステイト銀行(インド)、バンクネガラインドネシア(インドネシア)、山口銀行(日本)【対象地域:中国】、名古屋銀行(日本)【対象地域:中国】、横浜銀行(日本)【対象地域:中国】、KB國民銀行(韓国)、CIMB銀行(マレーシア)、バノルテ銀行(メキシコ)、メトロポリタン銀行(フィリピン)、ユナイテッド・オーバーシーズ銀行(シンガポール)、合作金庫銀行(台湾)、バンコック銀行(タイ)、ベト・イン・バンク(ベトナム)、HDバンク(ベトナム)

(カッコ内は本店所在国・地域)

業務連携を行う国内金融機関

より多くの企業でスタンバイ・クレジット制度が利用できるようにと、2013年からは国内の地域金融機関と連携したスキームを導入しています。これは、業務連携を行う国内の金融機関が、制度を利用したい国内親会社から相談を受けるほか、申し込み手続きの窓口となって海外での資金調達をサポートするというしくみです。現在は61の国内金融機関と提携しています(2018年12月11日現在)。

債務不履行になった場合

海外現地法人が経営が悪化し、債務不履行な状態になった場合には、海外の提携金融機関が日本政策金融公庫に対して、信用状を呈示することで補償を行うように請求します。日本政策金融公庫は信用状条件を充足していると認めた場合に、提携金融機関に対して補償債務を負担します。つまり、債務不履行となった場合も、日本政策金融公庫を仲介して手続きが取られるということになります。

また同時に、補償履行金額に費用等を加えた額を円に換算して、償還債務として国内の親会社に請求が行われます。

おわりに

海外に現地法人を持つ国内の親会社にとって、スタンドバイ・クレジット制度は資金調達方法として有効なしくみといえます。

ただし制度を利用するには、「対象となる人」で紹介したとおり、経営強化法に基づく経営革新計画の承認や、経営力向上計画の認定を受けるなど、さまざまな手続きが必要になります。

実際に融資を申し込む際には、日本政策金融公庫からの資金調達に強い税理士に相談してみるといいでしょう。

資金調達に関する他のハウツー記事を見る

もっと見る

協力税理士募集中!

税理士ドットコムはコンテンツの執筆・編集・監修・寄稿などにご協力いただける方を募集しています。

募集概要を見る

ライター募集中!

税理士ドットコムはライターを募集しています。

募集概要を見る

資金調達に関する税務相談Q&Aをみる

  • 住宅ローンの継続不可

    2018年7月に勤務先の取引金融機関の信用金庫を窓口として住宅ローンを申し込み融資実行を得て無事に物件は購入できました。しかし、勤務先の状況が変わり先月(201...
    税理士回答数:  1
    2019年07月17日 投稿
  • 自己破産者の役員登記について

    私は以前、会社経営をしていましたが、破産し、 自己破産もしました。法人、個人共に既に免責、管財事件終了済です。 こういう私が、妻が代表の会社で役員登記した場合...
    税理士回答数:  2
    2019年07月16日 投稿
  • 資金調達について教えて下さい。

    自社は、代表取締役の個人の不動産を事務所兼倉庫として賃借し,本社としています。 代表者の個人の債務で、その不動産が競売となり、その後取り下げられましたが,今後、...
    税理士回答数:  2
    2019年07月16日 投稿
  • 資金調達について

    VCから資金調達を先週行ったのですが、VCからの質問にキチンとした回答ができなかったので会計に詳しい方、教えて頂けると幸いです。 ①NPV(正味現在価値)②IR...
    税理士回答数:  2
    2019年07月11日 投稿
  • 第3者割当増資について

    会社役員が第3者割当増資として自社の通帳に1,000,000円を振り込んだ際の仕訳方法は下記で問題ないでしょうか。 借方 普通預金 1,000,000/貸方 資...
    税理士回答数:  2
    2019年06月28日 投稿

顧客満足度の高い税理士を無料でご紹介します。

このようなニーズがある方は、お気軽にご相談ください。

  • 税理士を変更したい
  • 初めての税理士を探したい
  • 相続税の申告をしたい
  • 会社設立・開業をしたい
  • 個人事業主の節税・申告をしたい
税理士選び〜契約までをサポート
  • 最短当日
  • 24時間受付
  • 年中無休
  • 全国対応