相続で税理士を変更した場合、自社株の評価は引き継ぐことは出来る?
被相続人が清算中の法人の役員で自社株を所有していました。
顧問税理士からは負債が清算価値よりも多く、株価価値は0との判断を頂いていますが
顧問税理士は相続税申告には対応できないとのことで、
相続に関しては別の税理士に依頼しようかと思っています。
その場合、自社株の評価証明書のようなものを貰っていたとしても
自社株評価は一から全部やり直しになるのでしょうか?
税理士の回答
米森まつ美
>自社株評価は一から全部やり直しになるのでしょうか?
⇒ 税理士によります。
他の税理士が評価をした金額については、おそらく相続申告をされる税理士も「参考」にすると考えられますが、一旦自身でも評価を行わないと正しい相続財産の査定ができないため再評価をすると考えらえます。
「全部」とおっしゃるのがどこまでを指すのか分かりませんが、先の税理士が評価した資料などを提示することにより、再評価はスムーズな評価になると考えます。
結論から申し上げますと、「全くのゼロからのやり直し」にはなりませんが、相続税申告を担当する税理士による「再評価(厳密な検証)と、税務署指定の形式での書類作成」は必須かと存じます。
その主な理由は以下の3点となります。
1. 「評価証明書」のような書面だけでは相続税申告ができないため
税務署へ相続税の申告をする際は、「株価が0円である」という結果の証明書だけではなく、その金額に至った客観的な計算プロセスを示す「取引相場のない株式等の評価明細書」などの詳細な資料を添付する必要がございます。
新しい税理士は、この明細書を基本的にはゼロから作成することになります。
2. 「法人税」と「相続税」で財産の評価ルールが異なるため
顧問税理士の先生が、仮に「法人税」のルールに基づき会社の状況を把握されている場合、相続税申告においては「相続税法(財産評価基本通達)」という全く別のルールで会社の資産を評価し直す必要がございます。
たとえ清算中の会社であっても、会社が所有している財産(不動産など)を相続税のルールで正しく評価し直した上で、本当に「負債が資産を上回っている(株価ゼロである)」ことを証明する事が、後々の税務調査で指摘を受けるリスクを低くするためには重要となります。
3. 申告する税理士の責任の問題
相続税申告書に署名捺印する税理士は、その申告内容のすべてに責任を持ちます。そのため、他の税理士が計算した「0円」という結果のみをそのまま流用することはできず、必ず元となるデータを確認し、自身の責任において再計算・検証を行う義務があります。
<今後のスムーズな進め方について>
上記のように検証作業は発生いたしますが、現在の顧問税理士の先生がお持ちのデータを引き継ぐことで、次の先生の作業をスムーズかつ正確に進めることが可能かと存じます。
そのため、顧問税理士の先生には、以下のようなかたちでご依頼いただくことをお勧めいたします。
「相続税申告については別の税理士に依頼することになりました。今後の相続税申告の基礎資料として使いたいので、御社で把握されている自社株評価の根拠資料(直近の決算書、法人税申告書、清算中の財産目録など)のデータや写しを頂けないでしょうか」
これらの書類をご用意いただければ、次の相続税専門の税理士がしっかりと内容を引き継ぎ、適正な相続税申告へとスムーズに繋げることが可能かと存じます。
回答は以上となります。
ご参考になりましたら幸いです。
本投稿は、2026年05月06日 11時33分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。






