延納・物納とは?相続税が払えないときの手続きや申請条件などをわかりやすく解説 - 節税や実務に役立つ専門家が監修するハウツー - 税理士ドットコム

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相続税の「延納」「物納」とは?条件や手続きをわかりやすく解説

監修: 大橋 一世 税理士

原則として相続税の納付は金銭一括となります。現金以外の相続財産が、有価証券などすぐに換金できるものがあれば良いですが、不動産などすぐに売却するのは難しい財産が多いと、期限までの納税が困難なケースもあります。

そこでこの記事では、相続税の納税資金が用意できないときに利用できる「延納」と「物納」制度について解説します。

目次

相続税が払えないときは

相続税は原則、発生したことを知った日の翌月から10か月以内が申告・納付期限です。

基本的に現金一括納付となりますが、クレジットカードでの納付も可能で、カード会社との契約によっては分割払いもできます。

しかし、相続の発生を正確に予期することはできないため、どうしても期限内の納付が困難な場合もあるでしょう。

その際の特例として「延納」、また、例外として「物納」という制度が設けられています。

相続税の「延納」とは

「延納」とは、相続税を分割して納めることができる制度で、金銭一括納付することが困難な場合のみ、一定の条件を満たすことで認められます。

延納ができる条件

延納が認められるためには、以下の条件をすべて満たした上で、相続税の納期限までに申請書などを提出しなければなりません。

  • 相続税が10万円を超える
  • 金銭で納付することが困難な状態である
  • 延納申請書に担保提供関係書類を添付して納期限(又は納付すべき日)までに提出する
  • 延納税額及び利子税に相当する担保(※)を提供する
    ※延納税額が100万円以下で延納期間が3年以下である場合は、担保の提供は必要ありません

内容に不備がなければ、延納申請期限から原則3か月以内に延納が許可されます。

延納の担保にできる財産

延納をする際は、担保として財産を提供しなければなりません。担保にできる財産は、相続した財産だけでなく、相続人の固有の財産や第三者が所有する財産も認められます。ただし、以下のような財産に限られます。

  • 国債および地方債
  • 社債やその他の有価証券(税務署長が確実と認めるもの)
  • 土地
  • 建物、船舶、自動車、建設機械などで保険に附したもの
  • 鉄道財団、工場財団等
  • 保証人の保証(税務署長が確実と認めたもの)

担保提供関係書類の提出は、原則相続税の納期限(又は納付すべき日)までとなっています。

延納が認められる金額と期限

延納が認められる金額

延納が認められる金額の上限は「納付すべき相続税額」から「期限までに現金で納付できる金額」を除した金額となります。

この「期限までに現金で納付できる金額」とは、「現金・預貯金・その他換価の容易な財産」から「3か月分の生活費」と「1か月分の事業資金」を除外した金額を指します。

延納が認められた場合の納付期限は原則5年以内となりますが、相続財産に占める不動産の割合などの条件を満たせば最長20年まで延長することができます。

延納の手続きの流れと必要書類

延納の手続きは以下のような流れで行います。

  1. 申請できる金額を算定する
  2. 担保にする財産を選ぶ
  3. 「担保提供関係書類」を作成する
  4. 納付期限までに必要書類を管轄の税務署に提出する
  5. 審査が行われる
  6. 「相続税延納許可通知書」が届く
  7. 期限の1ヶ月前に納付書が届き、金融機関家管轄の税務署へ提出する

申請時に必要な書類は以下のとおりです。

書類内容
相続税延納申請書延納申請税額やその内訳を記載します。
各種確約書抵当権の設定手続きを行ったという確約書を提出します。
金銭納付を困難とする理由書理由書を作成する上で使用した資料の写しを添付します。
延納申請書別紙(担保目録及び担保提供書)担保財産の種類によって必要となる書類が異なります。
不動産等の財産の明細書不動産等の価額の割合が75%以上の場合は提出しなければなりません。
担保提供関係書類提出期限延長届出書提出期限までに担保提供関係書類を提出できなかった場合は、提出する必要があります。

相続税の「物納」とは

「物納」とは、不動産などの相続財産を金銭の代わりに納めることができる制度です。延納による納税も困難となる場合に限り、条件を満たすことで物納が認められます。

物納ができる条件

物納が認められるためには以下の条件を満たした上で、相続税の納期限(又は納付すべき日)までに申請書を提出しなければなりません。

  • 期限までに必要書類を提出している
  • 延納による金銭での納付が困難とする理由があり、かつ延納による納付が困難な金額を限度としている
  • 申請した財産が定められた種類の財産、順位である
  • 物納財産として適当である

延納と同様、内容に不備がなければ、物納申請期限から原則3か月以内に物納が許可されます。

物納が認められる金額と期限

物納は、延納による納付でさえも困難とされる金額の範囲内で認められます。

つまり「納付すべき相続税額」から「期限までに現金で納付できる金額」と「延納によって納付することができる金額」を除した金額が物納が認められる限度額となります。

物納できる財産

物納にあてることができる財産は以下の条件を満たす必要があります。

  • 日本国内にあること
  • 国によって管理や処分ができる財産であること
  • 次にかかげる財産及び順位であること
    1. 不動産、船舶、国債、地方債、上場株式等
    2. 非上場株式等
    3. 動産

※上場株式および非上場株式は特別の法律により法人の発行する債権及び出資証券を含み、短期社債等は除きます
※特定登録美術品は、上記の順位に関わらず物納にあてることができます

ただし、相続財産の分割協議が終わっていない場合や遺留分侵害額請求(減殺請求)が行われている場合など、所有権が確定していない財産は物納が認められません

また、物納する際の金額は時価ではなく、相続税評価額によって充当されますので注意が必要です。たとえば、小規模宅地等の特例の適用を受けて節税した土地を物納に利用する場合は、特例を適用して大幅に下がったあとの相続税評価額となります。

ですので、市場に流通させることが可能であれば、一度売却して現金化してから納税する方が、たとえ譲渡所得税が発生したとしても金銭的に有利な場合があります。

不動産を売却した場合との比較

上記でも述べたように不動産を物納にあてる場合は相続税評価額となるため、路線価か固定資産税評価額で換算されることになります。

しかし、売却をするほうがよいのか、物納をするほうがよいのかは、相続税評価額を比較するだけで解決する話ではありません。以下のようなそれぞれのメリット、デメリットを比較しながら選択することになります。

 売却物納
メリット・相続税評価額よりも高額で売却できる可能性がある
・相続発生の翌日から3年10ヶ月以内に譲渡すれば所得費加算の特例を使える
・自宅または被相続人のみが居住していた家屋を売却した場合は、譲渡所得から最大3000万円特別に控除できる
・路線価より時価が低い土地は有利になる
・譲渡所得税等がかからない
・超過物納の場合、その超過分は還付される
デメリット・売却価格が安すぎる可能性がある
・譲渡所得税等がかかる
・測量および境界確定費用が必ずかかる(物納が却下された場合も費用は返還されない)
・納税者の欠陥責任は5年間である
・超過物の場合、超過した部分に所得税がかかる
・却下された場合、延納期間に利子税がかかる

物納手続きの流れと必要書類

物納の申請は以下の手順を踏んで手続きを行います。

  1. 申請できる金額を算定する
  2. 物納申請財産を選定する
  3. 「物納手続関係書類」を作成する
  4. 納付期限までに必要書類を管轄の税務署に提出する
  5. 不動産の場合には、税務署と財務局による現地調査が行われる
  6. 審査が行われる
  7. 許可されると「相続税物納許可通知書」が届く

物納を申請する際は以下の書類が必要となりますので、期限までに提出しましょう。

書類説明
相続税物納申請書物納申請税額などを記載します。
各種確約書領収書等の提出を求められた際は速やかに提出することを約束するものです。
金銭納付を困難とする理由書理由書を作成する上で使用した資料の写しを添付します。
物納財産目録財産の種類によって必要となる書類が異なります。
小規模宅地等を分割して物納に充てることの確認書小規模宅地の特例を利用した土地を分割して物納財産とする際に必要となります。
被相続人と共有していた不動産に関する確認書相続により取得した不動産のうち、持分相当分を物納財産とする際に必要となります。
物納劣後財産等を物納に充てる理由書特別な事情がある場合に、本来は物納できない財産を物納財産とする際に必要となります。
物納手続関係書類提出延長届出書提出期限までに物納手続関係書類を提出できなかった場合は、提出する必要があります。

延納から物納への変更もできる

延納申請後、何らかの理由により延納をすることが困難になった場合は、「物納」に切り替えることができます。ただし、期限から10年以内でまだ納税をしていない部分の金額のみ適用されます。また、物納に切り替える場合も条件がありますので注意してください。

延納・物納にかかる利子税

注意しておかなければならないのが、延納をする場合、不動産等の割合に応じて一定の利子税を収める必要がある、ということです。

税率は原則、財務大臣によって告示される割合に年1%の割合を加算した「延納特例基準割合」が基準となりますが、それが7.3%に満たない場合は以下の計算で算出される割合(特例割合)となります。

特例割合 = 延納利子税割合 × 特例基準割合 ÷ 7.3%

なお、2019年1月1日現在の特例基準割合は1.6%、延納利子税割合については国税庁のホームページにて参照できます。

物納の場合にも、申告してから財産の所有権を移転する日までの間、審査中を除く期間に利子税がかかります。つまり、書類に不備や不足があり、訂正をしている期間中は利子税が発生することになります。

繰り上げ納税も可能

延納が認められた後でも、資金に余裕ができて全額納税できる状態になった場合には、延納期間の変更申請をし、繰り上げ納税することもできます。

繰り上げて納税することで、その分の利子税を低減できることになります。

どうしても払えないなら相続放棄も

延納をしても物納をしても税金が払えないという場合は、「相続放棄」をすることができます。相続放棄とは、相続発生から3か月以内に手続きをすれば相続するはずの財産一切を相続する必要がなくなるという制度です。

たとえ被相続人が多額の借金などの負の財産を残していたとしても、引き継ぐ必要はありません。

ただし、一度相続放棄をしてしまうと原則撤回することができません。それだけでなく、放棄した人の代わりに新たな相続人が出てくるので、相続関係がより複雑化してしまう可能性があります。相続放棄をする際は十分に注意しましょう。

また、相続放棄のほかに「限定承認」をすることもできます。

相続放棄に対して、限定承認は、プラスの財産の範囲内でのみ借金などのマイナスの財産を弁済することができる制度です。限定承認は故人の借金の正確な総額をすぐに把握できない場合などに有効な手段です。

しかし、相続放棄や限定承認は判断することが難しく、手続きも複雑なので、検討する際は相続に強い税理士に相談することをおすすめします。

おわりに

相続では、誰が相続人か確認するほか、相続財産の把握や価額の調査を元に、延納や物納、相続放棄などを行う必要が出てきます。なお相続放棄の場合は、被相続人が亡くなったことを知ってから3か月以内に行わないといけません。

そして相続税の申告・納税は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内が期限です。しかし、実際に相続が発生した場合には、告別式などの相続手続き以外にもやるべきことがたくさんあり、気がついたら納税期限がせまっていた、ということにもなりかねません。

期限を過ぎると延滞税が発生してしまうので、相続が初めてで手続きが不安という人は、相続に詳しい税理士に相談しましょう。

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