不動産取引(賃貸・売買・仲介)に税理士は必要?費用や顧問契約のメリットを詳しく解説

不動産取引は税金と法律のかたまりでできていると言っても過言ではありません。そのため顧問税理士選びにおいて、不動産取引に精通しているかどうかは非常に重要です。そこで、顧問契約のメリットや税理士選びのポイントについて、佐原税理士事務所の佐原三枝子先生にお話を伺いました。
合わせて、不動産業における税理士費用の実例もご紹介します。
目次
不動産取引の確定申告を税理士に依頼するメリット
不動産における所得の確定申告を税理士に依頼すると、当然のことながら費用がかかります。それでも依頼することで、以下のようなメリットがあります。
- 正しく確定申告ができる
税理士は税務のスペシャリストであるため、税法に則った形で正しく確定申告を行えます。確定申告自体は申告者自身でもできますが、申告内容に間違いがあると「追徴課税」などのペナルティを受ける可能性もあります。
その点税理士であれば、こうした心配をすることなく、確定申告を完了することができます。 - 税務調査のリスクが減る
前述のように、税理士に依頼することで正しく申告できるため、税理調査に入るリスクを軽減することができます。また、税務調査が入った際には、税務署とのやり取りや、立ち会いのもと申告内容の説明などに、対応してもらうことが可能です。 - 本業に集中できる
確定申告に不慣れな場合は、確定申告書の作成や必要書類の用意などで、多くの時間を費やしてしまう可能性があります。その点税理士に依頼すれば、申告作業の一切を任せることができ、本業に注力することが可能です。
不動産業で税理士と顧問契約する必要はある?
「経理は自分でできる」という場合には、確定申告など、必要なときにだけ税理士に業務を依頼することで費用が抑えられます。一方で、顧問契約をすることで具体的にはどんなメリットが得られるのでしょうか。
佐原税理士事務所の佐原三枝子先生にお話をお聞きしました。
顧問税理士をつける利点はなんでしょうか?
ー 佐原 三枝子税理士「自身の損失ほかクライアントへのアドバイスミスを未然に防げる」
不動産取引は税金の落とし穴がたくさんあり、それが自社の損失になることもあれば、クライアントへのアドバイスミスにつながることもあります。
過去のケースで、ある不動産仲介会社が、売主に対して納税についてのアドバイスしなかったために、不動産仲介会社が損害賠償請求をされたという事案があります。
税務のアドバイスは不動産業者の仕事ではないとはいえ、このような事案を鑑みても、ご自身の事業を守るために、不動産取引に幅広く精通した税理士を顧問につけていただきたいと思います。
不動産業(賃貸・売買・仲介など)に強い税理士の特徴とは
不動産業でも賃貸・売買・仲介などさまざまな分野があるように、税理士においても専門とする業界や得意なジャンルがあります。そのため、実際に税理士を探すときも一定の基準を軸に選ぶ必要があります。
そこで、不動産業における税理士選びのポイントを、 佐原三枝子税理士にお聞きしました。
不動産業における税理士選びのポイントを教えて下さい
ー 佐原 三枝子税理士「不動産取引ほか資産税や消費税など、多方面の税務をカバーできる税理士が望ましい」
不動産賃貸業といういちばん身近なものを例にとっても、賃貸時の礼金・敷金・保証金は収入なのか単なる預かり金なのか、収入であればいつ計上すべきなのか、あるいは修繕費にできるかできないか、といった基本的なことであっても、不動産にまつわる取引の慣習とその税務を理解していなければ、すぐに税務調査の対象となってしまうような申告書を作りかねません。
仲介業だけを営む場合の会計と税務は比較的シンプルですが、不動産取引にまつわる税務を相談できる人がいないと、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。
税務はもちろんですが、不動産業の慣習や取引の概要をよく理解している税理士でないと、そもそも相談相手になりません。
不動産業の営業の一環として、ある程度お客様に税務のアドバイスをすることも契約成立に一役買うこともあるでしょうし、自社で物件を売買することもあるでしょう。
そうすると、所得税・法人税といった儲けにかかる税金だけでなく、相続・贈与といった資産税、さらには消費税や不動産取得税といった多方面の税務をカバーして適切なスキームを考えることができる税理士でなければ対応できません。
さらに、不動産取引の税務には多くの節税につながる特例があります。その特例を余すことなく使った提案を得るためにも、税制改正のアップデートやスキームの研究に熱心であることも大切な要素です。
実際いくら?不動産業の税理士費用実例
顧問税理士の必要性を知ったところで、気になるのが税理士費用でしょう。そこで、税理士ドットコムにこれまでに寄せられた約10万件のご相談の中から、実際に顧問契約された不動産業の方の料金例を紹介します。
実例1)年間顧問料:120,000円
売上高:300万円/不動産賃貸業・個人事業主(大阪府)
副業で不動産賃貸業を行う会社員の方から、税務顧問をお願いできる税理士を探しているとのご相談です。今後の確定申告と、定期的な税務相談を希望されていました。
複数の事務所と面談され、好印象だった税理士と確定申告料込み年間12万円(税別)でご契約となりました。
実例2)年間顧問料:260,000円
売上高:300万円/不動産賃貸業・法人(愛媛県)
マンション3棟を所有し、不動産賃貸業を営む法人の方からのご相談です。現在契約をされている税理士が廃業するとのことで、新たな税理士をお探しでした。
記帳は自社で行うため、今期の決算と、毎年の申告業務、年末調整を任せたいというご相談です。
申告期限が迫っていたため、今期の決算分については通常金額に特別料金が加算され、決算料込み年間26万円(税別)でご契約となりました。
実例3)年間顧問料:150,000円
売上高:未定/不動産仲介業・法人(東京都)
不動産仲介業をメイン事業とする方から、法人設立にあたり、顧問税理士をお探しとのご相談です。年に2回、銀行等金融機関提出用の決算書類を作成予定とのことで、2〜3か月に一度程度のご相談に対応してほしいというご希望でした。
直近で売上の見込みが不明であることから、設立当初はできるだけ税理士費用を抑えたいというご要望もありました。
複数の事務所をご紹介し、不動産に強く、フットワークよく対応いただける税理士と、年間15万円(税別)でご契約となりました。
実例4)年間顧問料:340,000円
売上高:1000万円/不動産売買、仲介業・法人(神奈川県)
不動産売買および仲介業を営む法人の方から、現在契約している税理士がいるものの、レスポンスが遅く、相性がよくないことから別の税理士に変更したいとのご相談をいただきました。
会計ソフトの導入は考えておらず、記帳代行から依頼したいとのことでした。複数の事務所をご紹介し、面談に至った税理士と記帳代行、決算料込み年間34万円(税別)でご契約となりました。
実例5)年間顧問料:240,000円
売上高:1000万円/不動産賃貸業・法人(埼玉県)
依頼者様の親族から事業を引き継ぐに当たり、これまで契約されていた税理士がご自宅から遠いため、お近くの税理士に変更したいというケースです。節税のアドバイスなど積極的にサポートいただける税理士をご希望でした。
税理士2名と面談を行った結果、代表税理士から事務所の強みを直接聞いたことが決め手となり、決算料込み年間24万円(税別)でご契約となりました。
実例6)年間顧問料:360,000円
売上高:1200万円(見込み)/不動産売買業・法人(愛知県)
不動産売買業を始められる法人の方が、ビジネスパートナーとなる税理士をお探しというケースです。法人登記をはじめとして、資金調達に強く不動産業に精通している税理士をご希望でした。
3名の税理士とご面談をされた後、報酬金額を加味した上で不動産業を得意とする先生をお選びになり、記帳代行、決算料込み年間36万円(税別)でご契約されました。
実例7)年間顧問料:450,000円
売上高:3300万円/不動産賃貸業・個人事業主(東京都)
依頼者様は不動産業を初めて間もない個人事業主の方で、年内に法人化する予定があるため、会社設立と不動産業の両方に精通する税理士をお探しでした。依頼したい内容としては、決算申告書の作成や顧問のほかに、記帳代行も含まれていました。
実際のご面談で好印象だった税理士と、記帳代行、決算申告料込み年間45万円(税別)でご契約されました。
不動産業に強い税理士をお探しのときは
「節税対策についてアドバイスしてくれる税理士が良い」「法人化を検討しているので会社設立のサポートをしてほしい」など税理士選びでお悩みの方は、税理士ドットコムの<税理士紹介サービス>までお問い合わせください。経験・実績豊富なコーディネーターがご要望に合う税理士をご提案します。
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