税理士が薦める会計ソフトランキング!選び方やそれぞれの特徴も解説

近年は、パッケージ型の会計ソフトだけでなく、クラウド会計ソフトもシェアを伸ばしています。数ある会計ソフトの中で、どれを選べば良いのでしょうか。現役税理士へのアンケートのもと、個人事業主と中小企業者におすすめの会計ソフトをまとめました。
目次
主要な会計ソフト
会計ソフトには、パッケージ型(インストール型)とクラウド型があります。インストール型は、ソフトを購入しパソコンなどのデバイスにダウンロードして使うのに対し、クラウド型はソフトのインストールは不要で、インターネット環境があればさまざまなデバイスからアクセスできるようになっています。
さまざまな企業が会計ソフトを販売していますが、ここでは、シェア率の高いブランドの会計ソフトの金額と特徴をまとめました。
金額はプランによって異なります。ここでは最低価格を記載しています。
種類 | ブランド | 製品名 | 対象 | 金額 |
---|---|---|---|---|
インストール型 | 弥生会計 | やよいの青色申告 | 個人事業者向け | 12,000円(税抜) |
弥生会計 スタンダード | 中小規模法人向け | 44,000円(税抜) ※セルフプラン付き | ||
クラウド型 | freee | 個人事業主プラン | 個人事業主向け | 年間 11,760円(税抜)/年 ※スタータープラン |
法人プラン | 中小規模法人向け | 23,760円(税抜)/年 ※ミニマムプラン | ||
MFクラウド | MFクラウド確定申告 | 個人事業主向け | 9,600円(税抜)/年 ※パーソナルミニプラン | |
MFクラウド会計 | 法人向け | 35,760円(税抜)/年 ※スモールビジネスプラン |
「弥生会計」のパッケージ型(インストール型)は従来からある会計ソフトで、税理士の中でも既に使用されていたり導入を検討される事の多いものです。
「freee」は2013年3月スタート、「MFクラウド」は2013年11月スタートのどちらも比較的新しいサービスになりますが、急速にシェアを伸ばし、注目を浴びています。
freeeは知識がなくても使えるというのを謳い文句にしているため、会計ソフト初心者でも使いやすいソフトです。MFクラウドは作業の効率化のために作られていて、ある程度の知識がある人向けとなっています。
現在、従来のインストール型でなくクラウド型と呼ばれる会計ソフトが注目を浴びているのは、次のようなメリットがあるからです。
クラウド型会計ソフトのメリット
- 銀行、クレジットカード会社など金融機関の取引明細を取り込み、自動で仕訳を提案してくれる
- インストール不要でインターネットが使えればどこからでもアクセス出来る
- 様々な新しいサービスとの連携ができる
- 簿記の知識が薄くても使える
- データ保存先がクラウドのため紛失の心配がない
この中で何より注目を浴びたのは、取引明細からの自動仕訳ではないでしょうか。
経理業務の効率化を考えたときに、多くの会社で現金勘定以上に金銭のやり取りが多いであろう預金やカード決済などの取引明細を取り込み、自動で仕訳をしてくれるという事は大きな時間の短縮になります。
取引明細の取り込みは、金融機関やクレジットカードのIDとパスワードがあれば簡単に行えます。また、仕訳ルールの学習機能もあるので、手動で設定を繰り返すうちに精度は上がり、使いやすくなっていきます。
短期間で記帳が出来るのであれば、これまで時間の都合で難しかった月次決算や、自計化の足がかりになるものと言えます。
データの保存先がクラウド上にあるため、自分でPCに保存しなくてもよく、インターネットが使用出来ればどこからでも情報にアクセス出来ます。取引データについては、CSV形式などで出力も可能です。
クラウド型会計ソフトのデメリット
一方で、以下のようなデメリットもあります。
- 急なトラブルなどでインターネット接続ができない状況になると利用できない
- インターネット環境に依存するためインストール型に比べレスポンスが悪いことも
- 会計ソフトのログイン情報さえあればどこからでもアクセスできるため、セキュリティ面で不安
- 現金取引や手形、小切手での取引が多い場合には預金などの自動化だけでは大きなメリットにならない
また、簿記の知識の薄い、もしくは無い人向けに作られているため、元々経理や簿記の経験があり従来型の会計ソフトで素早く入力が出来ている人からすると入力が回りくどく、操作感でも劣ります。
現役税理士が選ぶ会計ソフト
では、どんな会計ソフトを選べば良いのでしょうか。
まず、大半のものは個人事業主用・中小企業用・大企業用に分けられているので、それぞれ合ったプランを選んでください。お試し期間があるので、実際にいくつか操作してみて使い勝手を確認し、自社に合うものを見つけるのが良いでしょう。
迷う場合は、顧問や確定申告を依頼する税理士に、事務所で対応している会計ソフトの種類を聞いて選ぶという方法もあります。
選ぶ際の参考として、29名の現役税理士におすすめ会計ソフトのアンケート調査(※)を行いました。検討材料のひとつにしてみてください。
個人事業主におすすめ
1位【弥生会計(インストール型)】
「操作がシンプル」というコメントのほか、価格がリーズナブル、導入している税理士事務所が多いので税理士との連携がしやすい、などといったおすすめコメントが挙げられていました。
2位【MFクラウド会計】
税理士からの推薦コメントとして、「仕訳の学習機能があり自動連携の機能が優れている」「請求書や給与機能との連動性が良い」という内容が寄せられていました。
経理だけでなく業務フロー全体を効率化したい方におすすめです。
3位【クラウド会計freee】
推薦理由として、自動記帳ができ、拡張性も高い。会計の知識がなくても自計化できる、等が挙げられました。
法人(中小企業)におすすめ
1位【弥生会計(インストール型)】
中小企業向けでは圧倒的に票数が多い結果に。
個人向けと同様に、導入している税理士事務所が多いため、「顧問税理士が代わっても問題が起こるリスクが少ないと考えられる」などの推薦コメントが寄せられました。
2位【弥生会計オンライン】
インストール型と同様に、操作がシンプルで、価格がリーズナブル、使い勝手が良いという理由が挙げられています。
3位【MFクラウド会計、クラウド会計freee、JDL IBEX会計】
MFクラウド会計、クラウド会計freeeについては、個人事業主で紹介した理由と同様です。JDL IBEX会計は、無料で導入でき、使いやすいという理由で推奨されていました。
※アンケートについて
・実施時期:2022年4月
・実施方法:WEBアンケート
・ご回答頂いた先生方:
宮本晃 税理士、福山豊裕 税理士、塚本静雄 税理士、天野徹 税理士、松田憲三税理士事務所 所長・松田憲三 税理士、田中友崇 税理士、アオキヒロシ 税理士、ほか29名(順不同)
会計ソフトがあれば税理士は不要?
会計ソフトは年々アップデートされており、昔と比較すると使い勝手も格段によくなっています。会計ソフトからそのまま税務申告できる仕組みにもなっているものもあるため、会計ソフトがあれば税理士は不要では?と考える方もいるでしょう。
個人事業主で、ある程度の会計と税務知識があれば不要になるケースも多くありますが、基本的には税理士は必要であると考えられます。
なぜなら会計ソフトは、入力した内容に沿って決算書類の作成ができるもので、内容の誤りや、税務申告で必要な処理を教えてくれるわけではありません。
間違った申告をすれば、のちに追徴課税がされたり、計上できる経費を見落としていたり、本来納めるべき税金よりも多くの金額を納めることになることもあります。
会計ソフトは、自計化や経営分析、月次決算資料などがすぐに参照できるなど、的確な経営判断の指標として活用するものとして考えるのがよいでしょう。
また、自計化できれば記帳代行を依頼しない分、税理士へ支払う顧問料を下げることも可能です。
おわりに
中小企業のITを使った業務効率化、そして、自社で記帳を完了する自計化の流れは、今後さらに加速して行くでしょう。
昔ながらの経理作業ではなかなか取り組む事の出来なかった自社データの経営分析、月次決算資料などがすぐに参照でき、的確な経営判断の指標となるのであれば、それは会社を元気にすることに他なりません。会社を元気にするためのより良い道具選びの参考となれば幸いです。
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