経営者が見るべき決算書の3つのチェックポイント

会社の経営者は常に経営判断を迫られる立場にあります。適切な経営判断ができなければ、業績を上げることができず会社の存続にも影響が出るでしょう。適切な経営判断をするために必要な情報はいくつかありますが、重要なものの1つとして決算書があります。今回は、経営者が注意してみるべき3つの決算書のポイントを解説します。
目次
貸借対照表の見るべきポイント
経営者が注意してみるべき決算書の1つが「貸借対照表」です。
貸借対照表は、決算日現在の財政状態を示すものです。会社が持っている財産の内訳である資産、会社が将来支払わなければならない負債、そしてその差額で、会社に返済義務のない純資産がわかります。
貸借対照表で知っておきたいポイントの1つは、会社が持っている財産のうち、会社に返済義務のない純資産がどれくらい占めるかというバランスです。
持っている財産が、将来返済する必要のない純資産で賄われている割合が高い方がより安全と考えられます。資産に対しての純資産の比率を自己資本比率と言います。
自己資本比率(%)=純資産÷資産×100
一般的にはこの数値が50%を超えていると超優良水準、逆に10%を下回っていると危険水準とされています。
貸借対照表で知っておきたいポイントの2つ目は、短期的に資金化できる資産と、同じく短期的に支払うべき債務のバランスです。
短期的な資産は流動資産と呼ばれ、現預金、売掛金、1年以内に返済期限がくる貸付金などが該当します。短期的な負債は流動負債といい、買掛金や1年以内に返済期限が到来する借入金などが該当します。流動資産が流動負債よりも多い状態を保つようにすることがポイントです。流動負債に対しての流動資産の比率を流動比率といいます。
流動比率(%) = 流動資産 ÷ 流動負債 × 100
この数値が100%を下回っていると、流動負債が上回っているので要注意です。一般的には、120%以上が適切といえるひとつの目安となります。
損益計算書の見るべきポイント
経営者が知っておくべき決算書の2つ目は「損益計算書」です。
損益計算書とは、会社の売上などの収益や人件費や仕入原価などの費用、そしてその差額である利益、つまりその事業年度にどれほどの利益が獲得したのかがわかる決算書です。
損益計算書を見るときのポイントとしては、損益計算書の利益には複数の種類があるため、その目的によってチェックすべき利益が異なる、ということが挙げられます。
売上から仕入れコストなどの売上原価を引いたものが「売上総利益」ですが、この利益を見ることで商品力がわかります。
売上総利益から営業コストや管理コストを引いたものを「営業利益」といいます。この利益を見ることで本業の力を判断できます。
さらに、金利の受取りや支払いなどの財務収益と費用まで考慮した利益は「経常利益」と呼ばれ、会社の実力を表すといわれています。
損益計算書の分析をする場合は、利益の種類と性格の違いを理解しておくことが重要です。
キャッシュフロー計算書のポイント
経営者が知っておきたい3つ目の決算書は「キャッシュフロー計算書」です。
キャッシュフロー計算書は事業期間のお金の流れを示すものです。たとえ売上があったとしても、実際に使えるお金がなければ、会社は潰れてしまいます。会社にキャッシュがいくらあるかを知ることができる計算書です。
キャッシュフロー計算書のポイントは、その入出金が営業と投資と財務の3つに区分されていることです。
最重要なキャッシュフローは「営業キャッシュフロー」になります。文字通り営業活動により資金がどれだけ生み出されているかを表すものです。通常、この数値はプラスになることがほとんどです。なお、営利利益と比べたときに大きく下回っている場合には問題があります。在庫、売掛金、買掛金などを調べてみましょう。
設備投資をした場合は、「投資キャッシュフロー」に区分されます。そのため、多くの場合、資金が出ていくことを表すマイナスの数値になります。
最後は「財務キャッシュフロー」です。資金調達や返済、配当金支払いなどがここに含まれます。マイナスであることが多いですが、融資を受けたり、増資をした場合には、プラスになります。
経営者は、資金の流れをこの3つの区分で常に把握するように心がけることが重要です。
おわりに
「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」の見るべきポイントを簡単にご紹介しました。それぞれの決算書の詳しい読み方・チェックポイントは関連記事のページも参考にしてみてください。
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